2010年7月22日

【時間的フレーミング】絶望に陥る営業マンの嘆き、そして嘘

● 今回のテクニック:【時間的フレーミング(5)】

時間的フレーミング(テンポラルフレーミング)とは、時間の単位を変えて表
現することにより、敢えて物事の捉え方を変えさせることをいう。
 
大きな期間で表現するよりも、小さな時間の単位で伝えたほうが、より具体的
で身近に感じられるため説得効果が高まる。
 
会議の終了間際にコミットメントをとる場合に使うと、非常に有効である。誰
でも簡単に使えるテクニックであり、セルフコーチングにも役立つ。

※ 詳しくは → http://attax-sales.jp/blog/000269.html

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● 今回のコミュニケーション例


営業マン :
「もうダメかもしれません……。昨夜、妻と話し合って、子供をどちらが引
き取るかについても話し合いをしました」


マネージャー :
「去年、何とか乗り換えただろうが」


営業マン :
「いや、そうだと思ってたんですが、妻の心は離れたままでした。私が勘違
いしていたんです」


マネージャー :
「約束したんだろ。一週間に一回は必ず定時で帰る。そして休日出勤は一ヶ
月に一度だけって。守れなかったのか」


営業マン :
「はい……」


マネージャー :
「E課長は?」


営業マン :
「あまり理解してもらえないと思います」


マネージャー :
「ウチの課にいたときに症状が悪化して一ヶ月間休養していたことは俺も言
っていたはずだが」


営業マン :
「課長は、そういうこと、あんまり理解してくれない人で……」


マネージャー :
「それで症状が悪化して、このザマか」


営業マン :
「はい。朝、目を覚ますと絶望的な気持ちになります。どうしても出社する
気持ちにならない私を見て、妻から愛想をつかされました」


マネージャー :
「そうか」


営業マン :
「E課長の下になってから、何もかも悪循環に陥ってるような気がして」


マネージャー :
「それでどうしたいんだ?」


営業マン :
「え? いや、できれば、また部長の下でできないかと。E課長は、私のこ
とをあまり理解されていない。いや私が持っている症状についての理解がな
いというか……」


マネージャー :
「わかった。実は今日の朝、E課長から連絡があってな。そういうことにな
った。だから安心しろ。またこっちへ異動することになると思う。8月から
だ」


営業マン :
「え!? 本当ですか? よかった……」


マネージャー :
「そうだ。それでも目標ノルマは変わらないぞ。君が異動したからと言って
会社の予算計画が変動するなんてことはないんだから」


営業マン :
「あ、はァ……」


マネージャー :
「今期の目標予算のうち半分の6000万がまだまったく見えていない。8
月から12月までの4ヶ月間で見ると、ひと月いくらになる?」


営業マン :
「1500万です」


マネージャー :
「昨年の毎月の実績が1200万だ。君の場合。つまり昨年と同じ営業活動
をしても毎月300万足りない。そういうことだな?」


営業マン :
「は、はい」


マネージャー :
「過去の君のコンバージョン率を見ると、20%が平均だ。300万の数字
を上乗せするためには1500万の商談を作らないとダメ。毎月1500万
の商談、わかるか? そうすれば確率的に300万成約できる計算になる」


営業マン :
「ええ」


マネージャー :
「商談単価が平均100万とすると15商談が必要で、それに費やす活動量
を1商談5回とすると75回の活動量のアップが必要だ。昨年の顧客訪問回
数は120回だったから、8月からは195回平均して活動してもらうこと
になる。ざっくりと言うと、こういうことだ。ま、キリのいいところで20
0ってところだな」


営業マン :
「活動量が1.5倍……。いやそれ以上ですね。とても家に帰宅できません。
週末もないぐらいに働かないと、こなせないです」


マネージャー :
「そりゃそうだろ」


営業マン :
「でも、私には、その……病気があって」


マネージャー :
「はあ? じゃあオレの部下になって何をするんだ? 営業なんだろ、お
前? E課長が厳しいから、オレのところに来れば楽になるとでも思ったの
か?」


営業マン :
「いや、そうじゃなくて、部長は私の症状を理解してくれてると思ったんで
す。それと家庭の事情も……」


マネージャー :
「バカヤロウ!!」


営業マン :
「えっ……!」


マネージャー :
「ゴタゴタ言ってんじゃねーよ。もっと外に出て、汗かいてお客さんトコま
わってこいっての。そうすればお前の『怠け癖』も治るわ」


営業マン :
「『怠け癖』って、何てことを……」


マネージャー :
「いい加減に演技はやめろ。ちゃんと裏はとれてんだよ。昨日の夜、お前ん
とこ奥さんと話した。お前の家での態度。そして療養と称して一ヶ月会社を
休んだとき何をしてたかも全部だ」


営業マン :
「……!」


マネージャー :
「精神的な病ってことで会社を休んでおきながら、隠れて転職活動してたら
しいじゃないか。毎日再就職先を見つけようとしたが見つからない。それで
E課長の配下でやり直そうとしたが厳しすぎてオレに泣きついてきた。そう
だろ?」


営業マン :
「……」


マネージャー :
「離婚話は狂言だ。奥さんから聞いた。念のためにお前が通院していた病院
にも顔を出してきた。院長先生はお前のオヤジの教え子らしいな。一喝ぶち
かましておいたぞ。ニセの診断なんて書きやがって」


営業マン :
「す、すみません……!」


マネージャー :
「オレの前で土下座するんじゃねェ! お客さんの前でやってこい。それぐ
らいの根性みせろ!」


営業マン :
「は、はいィ……」


マネージャー :
「現状維持バイアスをはずせ。とにかく現状を維持したい、何も変えたくな
い、と強く望んでいるから嘘をついてまで周囲の感情をもてあそんでしまう
んだ。成果が出るかどうかは関係ない。とにかく行動を起こせ」


営業マン :
「……」


マネージャー :
「1.5倍ぐらいの活動量なんて、1秒たりとも労働時間を増やさなくたっ
て実現できるわ。それぐらいの創意工夫しろ」


営業マン :
「はいィ……」


マネージャー :
「オレも協力してやる。絶対に可能だ」

……成果が出るかどうかではなく、「現状維持バイアス」をはずさない限り、
その先には何も見えてきません。

「迷い」が形を変えて人間の行動スピードを落とします。そして「ストレス」
となって内面に蓄積されていきます。

本当に精神的に参ってしまっている人はダメです。

しかし、そうでないなら営業は社内にいてはダメです。北欧の人たちも日照時
間が極端に少なくなる「冬」になると鬱病の症状の方々が急増すると言われて
います。

営業も、考えてばかりいて外へ出ないとポジティブにはなれません。活動量が
極端に少ない人は、時間の密度が薄いために、「直観力」や「集中力」が欠乏
していきます。

活動量の少ない営業に、何もいいことなどありません。高度情報化時代になっ
て精神的に病んでいる人が増えたのは、情報の洪水によって「迷い」が増えた
からです。

「迷い」を断ち切らなければなりません! 「量」です。絶対に!

現状維持バイアスをはずし、行動の「量」と「スピード」をアップさせるため
のキラーコンテンツ「DVD」を発売いたします。

ぜひ会社に1本ご購入いただき、全営業で見ていただけたら嬉しいです。


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【編集後記】

私は高校2年、17歳のとき、三重県の石油コンビナートの一角で清掃のア
ルバイトをしていました。今から24年前の夏休みのことでした。

名古屋の小さな事務所に朝の7時に集められ、そこからマイクロバスに乗せ
られて四日市を目指します。マイクロバスに乗り込んでいる連中は両極端で、
40〜50代の日雇いの労働者と、小遣い稼ぎに集まった不良の少年たちば
かりです。

私は中学を卒業してからフラフラしていたスキンヘッドの不良少年A君と、
千葉からやってきた日雇い労働者のBさんと3人でチームを作り、石油コン
ビナートの工場の清掃を毎日やっていました。

随分昔のことですので記憶が定かではありませんが、日雇いの方々はかなり
危険な仕事をさせられていたと思います。傍から見ても不恰好なマスクを付
けないと清掃できないところまで入らされ、汗だくで作業をさせられていま
した。

コンビナートの中にあるバラック小屋で休憩時間を過ごしていると、日雇い
のBさんがよくジュースを奢ってくれました。スキンヘッドのA君は見た目
は「不良そのもの」であるにもかかわらず心優しい男で、

「おっちゃん、取り分一緒なんだから毎日奢ってくれんでもいいのにな」

と私にこそっと耳打ちするのでした。

実際に、16歳のA君も17歳の私も、50歳を過ぎたBさんも日当は毎日
8000円で変わらなかったのです。

A君はまだ16歳であったにもかかわらず、そのことにかなり不条理を感じ
ているようでした。年齢も違えば仕事の内容も違う。なのに日当が同じなん
ておかしいと言うのです。

私もそう思っていましたが、口には出しませんでした。それを班長に進言し
て自分の日当が下げられでもしたらかなわんと、自分のことばかり考えてい
たからです。

8月の中旬、お盆休みに入る前、休憩時間中にBさんがこぼした愚痴が忘れ
られません。日ごろ温和なBさんが、珍しく険しい表情でため息をもらした
のです。

「休みになるのは困る。生きていけるか心配だ」

Bさんは缶コーヒーを飲みながらそう愚痴りました。Bさんの生い立ちはこ
うです。父親が千葉で印刷業をしていた。息子の自分はサラリーマンをして
いたが後を継ぐために辞めて30歳のときから父の手伝いをはじめた。いず
れ社長にさせてやるからと言われ、安い給料で働かされたがうまくいかず会
社は廃業。父は蒸発し、借金だけが残った——。

妻と子供二人、そして母の生活費のため、そして借金返済のために仕送りを
しなくちゃいけないが、今は事務所から当てられた簡易宿舎に払う金と風呂
代、食事代を引いたら毎日ほとんど残らない。盆休みに入っても宿代や食事
代はかかる。もう借金はしたくない、どうやって生きていいかわからん。

そう呟いたのです。

私は暗い気持ちになりました。しかしそれ以上に、自分はまだ17歳なんだ
からこの人に何もしてやれることはないという自己弁護のような醜い感情に
頭は支配されていました。

そんなA君とBさんとのチームは8月の終わりごろ解散しました。

Bさんが千葉へ戻ると言ったからです。名古屋にいても仕送りできるほど貯
金できないから地元に戻って出直すということでした。

Bさんとのチーム、最後の日、A君が突然ポケットからくちゃくちゃの茶封
筒を取り出してBさんの手に握らせました。

「俺、毎日1000円貯めてた。これ使って。2万円あるから」

私は驚きました。A君は確か、3歳年上の19歳の彼女を妊娠させてしまい、
何とか結婚を許してもらえるようにとバイトしていたはず。彼にとって2万
円は大きな金額のはずだった。

Bさんもそれを知っています。「そんなの絶対に受け取れない。すごく嬉し
いけど絶対に受け取らない」と首を横に振りました。

「だって何か……。俺、何かしたいんだよ」

A君はもう二度とBさんには会えないだろう、だからあの人に何かをしたい
と、私と二人きりになるといつもそう話していました。

Bさんがお金を受け取らないので、A君は何を考えたのか、「じゃあ千葉ま
で送っていくよ」と言い出したのです。

私は当時、知り合いから1万円で譲り受けたスクーターで事務所まで乗り付
けていました。A君はそのスクーターを指差して「横山君、これ貸してくれ
よ。ガソリン代払うから」

私はA君の剣幕に気圧され、とても断ることができずに「いいよ」と言いま
した。A君は50CCのスクーターにBさんと二人乗りして、千葉まで行く
と言い出したのです。Bさんは断ったのですがA君は譲りません。

「俺、何かしたいんだよ、おっちゃんに何かしたいんだよ。毎日ジュース奢っ
てくれたから」

私のヘルメットを被っているため表情は見えませんでしたが、A君が泣いて
いるのはその声の様子でわかりました。私もこみ上げてくるものを押さえら
れませんでした。

「おっちゃん、どこまで行けるかわかんないけど、乗ってやってください」

私がそう言うと、Bさんは悲しげな表情をして私に最後、こう言いました。

「横山君、俺みたいな人間になるなよ。人生の敗北者って、こういう人間のこ
とを言うんだから。いいか、俺みたいになっちゃダメだぞ」

「なんでそんなこと言うんですか」

「俺は人生の敗北者なんだ」

自嘲気味に笑い、A君と二人乗りしてBさんは去っていきました。手荷物は
小さなボストンバッグひとつ。A君の足元にも納まるような小さなサイズの
ものでした。

後日談になりますが、結局二人は浜松を過ぎた頃に警察に捕まり、A君は事
故処理車にスクーターごと乗せられ名古屋まで戻されました。Bさんはとい
うと、自腹で鈍行列車に乗り、千葉まで帰ったということでした。

今回、私が販売するDVDの中で、私はかなり怒っています。

何がそのように私を「怒らせる」のか。それは実のところ私自身もよくわか
りません。

https://i-magazine.jp/bm/p/bn/list.php?i=attaxsales2&no=all&m=68

DVD録画に臨んだ日に綴ったメルマガ編集後記にも書きましたが、私が社
会全体に不条理なものを感じていることは確かです。しかしそれよりも——

まともに仕事があるにもかかわらず、「自分が変わらることなく誰かがやっ
てくれたらうまくいくのに」と、無意識のうちに感じている人がたくさんい
て、その事実を何とかしたいという激しい感情が「怒り」に姿を変えて表に
出てくるからなのかもしれません。私は最近、そう思っています。

「人生の敗北者になるなよ」

そう言われて20年以上が経ちました。

誰ひとりとして「敗北者」などではない。しかし、そう思い込んでいる人が
たくさんいます。少しでも私の「怒り」の熱量が、皆さんのポジティブなエ
ネルギーに変えてくれると願っています。

http://www.attax.co.jp/seminar/detail/00819.html

━━<セミナー案内>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【有料セミナー】

●『話し方教室プレミアム 
  相手の行動を変える科学的な説得/クロージング技術』
【東京  7/28】 http://www.attax.co.jp/seminar/detail/00766.html

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【東京  8/20】 http://www.attax.co.jp/seminar/detail/00772.html
【名古屋 8/31】 http://www.attax.co.jp/seminar/detail/00770.html

●『営業マネージャ「1日特訓」セミナー
  仕組みとコミュニケーション、モチベーション管理を徹底解説!』
【名古屋 9/22】 http://www.attax.co.jp/seminar/detail/00767.html
【東京  9/29】 http://www.attax.co.jp/seminar/detail/00768.html

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http://www.attax.co.jp/seminar/archive/genre/article.tag%2E0011.html