2012年6月4日

「ベイビーステップ」と「やりきる技術」【ダブルバインド】

● 今回のテクニック:【ダブルバインド(17)】

ダブルバインドとは一般的には「二重拘束」を指す。

そのダブルバインドの理論を精神治療用に変化させたのがミルトン・エリクソ
ンであり、迷える相手を「二者択一」の質問をすることにより、催眠誘導する
技。

相手がまだ決断をしていないにもかかわらず、「Aがよいか、Bがよいか」と
迫るため、リーディングするまでは十分にペーシングしておくことが不可欠で
ある。

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マネージャー :
「スマホを持つと、常に思考ノイズが入ってきて、頭が整理ができなくなっ
てくるときがあるよね」


部下 :
「はい。常にネットワークに繋がっている端末を持つわけですから気をつけ
たいですね」


マネージャー :
「思考ノイズに浸っていると、脳が『根腐れ』してくるという話もしたよ
ね」


部下 :
「そうですね。知識ばっかり増えても、正しく成長しないですから」


マネージャー :
「本当だよな」


部下 :
「ところで、なんだかんだ言って、スマートフォン買ってしまいました」


マネージャー :
「そうなのか。ま、あんまりスマホに振り回されないようにな」


部下 :
「そうですねー……」


マネージャー :
「どうした?」


部下 :
「いやァ……。まだ1ヶ月しか使ってませんが、すでに影響が出ています」


マネージャー :
「なんだ、ストレートネックか?」


部下 :
「ストレートネック? ああ……長時間うつむいていると頚椎がまっすぐに
伸びてしまう症状ですか? いや、そうじゃなくて読書量です」


マネージャー :
「読書量?」


部下 :
「私は移動時間とか、時間があるときは必ず読書をするように習慣づけてい
たんですが、今は全部スマホに時間をとられてしまって……」


マネージャー :
「読書をする時間が減った、ってことだな?」


部下 :
「そうなんです。何をそんなにスマホを見ているか、わからないんですけど、
ついつい見てしまいます。これは、これまでの携帯電話とは違うデバイスで
すね」


マネージャー :
「そうなんだよ。意外と、スマホに振り回されないようにするのは大変だ」


部下 :
「家に帰っても、全然本を読まなくなっちゃって……。せっかく身についた
良い習慣が、どっかへいってしまいました」


マネージャー :
「以前は、月に5、6冊は読んでただろう?」


部下 :
「最低でも、それぐらいは読みましたね。週に2冊のペースを目指していま
したから。ところが先月はゼロなんです」


マネージャー :
「それは重症だな!」


部下 :
「どうしたらいいんでしょう。スマホを見る時間を制限しようとしても、な
んか誘惑に負けてしまうんです」


マネージャー :
「人間って、何事も減らすのは難しいよね。何かを増やして、結果的に減ら
したいものが減っていったという状況を作り出さないと」


部下 :
「つまり、スマホを見る時間を減らしてから読書の時間を確保するのではな
く、むりやり読書の時間を増やすことで、スマホを見る時間が減っていく、
という手順にするということですか」


マネージャー :
「そのとおり!」


部下 :
「うん……」


マネージャー :
「ベイビーステップって、知ってるか? 達成可能なレベルまでハードルを
下げた目標のことだ」


部下 :
「へェ。ベイビーステップ、ですか」


マネージャー :
「読書が習慣になっていない状態だと、本を読むという行為も意外とハード
ルが高いことなんだよな。だから『本を開く』というベイビーステップか、
『本の表紙を眺める』ベイビーステップかにしたらいいだろう。どっちがい
い?」


部下 :
「本を開く? 表紙を眺める?」


マネージャー :
「そう。必ずしも本を読まなくてもいい。ただ、開くか、表紙を眺めるか、
それを一日に何回かすればいい」


部下 :
「うーん」


マネージャー :
「どっちにする?」


部下 :
「そうですねェ……。どちらかというと、本を開く、でしょうか」


マネージャー :
「読まなくてもいいんだ。本を開くだけで。気が向いたら読めばいい。それ
で、その『本を開く』のは、1日、何回やる?」


部下 :
「そうですね。……最低、3回はします。朝と夕方の通勤時間と、夜の寝る
前です」


マネージャー :
「わかった。それなら、できそうだろ?」


部下 :
「はい。それさえできないなんて、あり得ないですものね」


マネージャー :
「そうだよな。1日3回、本を開く。それをロックするか?」


部下 :
「うーーん、わかりました。ロックします」



……この「ベイビーステップ」という手法は、「任せる技術」などで有名な小
倉広さんの最新刊「やりきる技術」で紹介されています。

小倉広さんとは、日経セミナーなどでご一緒させていただいており、最近は精
力的に書籍を出版されています。

何冊も献本していただいたのですが、

この「やりきる技術」は、私のメルマガ読者が特に興味を持ちそうだと思いま
したので、ご紹介しますね。

「やり直す」ことを続けることで「やりきる」「続けられる」という着眼点が
とても秀逸です!

【参考書籍】「やりきる技術 最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532317916/mysterycon0c-22/ref=nosim


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【編集後記】

小倉さんの「やりきる技術」を読んでいて、

なんだか「救われるな」と感じるのは、著者である小倉さんご自身も、

「やろう!」と決めていたことを半年ぐらいも放置していたり、先送りする自
分に対して自己嫌悪に陥ったりすることが、まだまだ多いという話が書かれて
いること。

それでも、

「やり直す技術」があるため、少しぐらいは遠回りしても、結果的に「やりき
る」ことができているところは、とてもスゴイことと思います。

日経セミナーで、「教える技術」が大ベストセラーとなっている、石田淳さん
ともよくご一緒させていただいています。

先日の大阪でのセミナーでも、石田さんは私のセミナーを聴きにきてください
ました。

石田さんは現在、トライアスロンをはじめとする、数々の鉄人レースに出場し
ています。

前出した小倉さんも早朝のランニングを日課にしていて、昨年フルマラソンに
も挑戦し、見事完走しています。

どちらもすごいのは、40歳を過ぎてから習慣化させていることです。

私も筋トレをしたり、歩いたり走ったりしていますが、とてもそんなレベルで
はありません。

数年かけて「やり直し」続け、いつか習慣化したいと思っています……。
(ロックはしませんが)