2012年6月7日

問題の「すり替え」という言い訳【マイ・フレンド・ジョン】

● 今回のテクニック:【マイ・フレンド・ジョン(6)】

マイ・フレンド・ジョンとは、「話し手」の知人や知人を介して聞いた話、も
しくは「一般論」の中に、相手をイメージ誘導させたい内容を意図的に含ませ
る方法。

他人の体験も、自分の体験のように聞こえてしまい、「話し手」が直接的にリ
ーディングせずとも相手を誘導できる、説得技術。

「お客様の声」というのは、まさに「マイ・フレンド・ジョン」の典型例。

相手との深い信頼関係(ラポール)が必要であることが前提である。

───────────────────────────────────

マネージャー :
「いつでもインターネットが使える環境にいると思考ノイズが入ってきて、
頭が『根腐れ』してくるって言ったよね?」


部下 :
「ええ。」


マネージャー :
「ものを減らすことは難しいけど、何かを増やすことで、結果的に減らした
いものが減ってくるという状態にすることができるって、これも言ったよ
ね?」


部下 :
「そうですね。行動を増やすことで、結果的にムダな会議が減ったり、営業
日報がなくなったりする、ということですよね」


マネージャー :
「そうだよな。便利になると、よけいにノイズが入ってきて、生産性が下が
ってくる」


部下 :
「うーん、私もけっこう反省しないといけません。なかなか、先送りする習
慣を変えることができなくて……」


マネージャー :
「先送りの習慣か……。ところでオレの知ってる奴で、こんなとんでもない
へ理屈を言う奴がいた」


部下 :
「とんでもない、へ理屈ですか……」


マネージャー :
「そう。やらなくてはならない仕事は『皮を剥いたリンゴ』だ、とオレが言
ったんだ。はやく食べないと変色してしまうから、食べる気がなくなってい
く、と」


部下 :
「ええ」


マネージャー :
「つまり、今やっておけばいい仕事を先送りにすると、よけいにその仕事を
進めようという意欲も萎えてくるということ」


部下 :
「なるほど、皮を剥いたリンゴ、ですか」


マネージャー :
「ところが、オレがそう言ったら、そいつは何と言ったと思う? 少し考え
てから——」


部下 :
「少し考えてから……?」


マネージャー :
「『リンゴにはポリフェノールという物質が含まれていて、これが空気に触
れると酸化して茶色っぽく変色する。けれど、ポリフェノールがあまり含ま
れていないリンゴなら、それほど変色しない』、こう言いやがった」


部下 :
「……はは」


マネージャー :
「そういうことは知らないけど、とにかくリンゴは皮を剥くと変色するじゃ
ないか、と言うと『部長、そういうことは知らないのに、というような、そ
んな無責任なたとえ話はやめてください』って言われた」


部下 :
「おお」


マネージャー :
「あきれちゃったよ」


部下 :
「た、確かに、そんな風に言われたら、困っちゃいますね」


マネージャー :
「だろ?」


部下 :
「ええ」


マネージャー :
「これは『すり替え』という言い訳だ」


部下 :
「すり替え、ですか」


マネージャー :
「ところで先日、本を1週間に1冊は読むために、毎日3回は『本を開く』
って言っていたよね?」


部下 :
「あ、はい……そうですね」


マネージャー :
「どうなの? 本を開く、というベイビーステップを設定することで、少し
は本を読めるようになった?」


部下 :
「ええっと……。ちょっと、聞こうと思ってたことがあるんです」


マネージャー :
「何?」


部下 :
「この前、聞けばよかったことなんですが、ベイビーステップって適切な表
現なのかな、と思って」


マネージャー :
「?」


部下 :
「何かを始めやすくするために低いハードルを設定する、という意味で『ベ
イビーステップ』というのでしょうが、赤ちゃんってステップを踏むでしょ
うか?」


マネージャー :
「は?」


部下 :
「というか、今気付いたんですけど、赤ちゃんが乗り越えられるぐらいの低
いステップって、ことでしょうか?」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……ど」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……どうでも、いいですかね?」




マネージャー :
「どうでもいいよ」


部下 :
「すみません……」


マネージャー :
「そんな問題の『すり替え』をしていないで、本を毎日3回、開きたまえ」


部下 :
「すみません……」



……「すり替え」の言い訳をしてしまう人は、ほとんど自覚していません。

聞かされるほうは、正直なところ「ドン引き」しています。

「何を言い出したんだ、こいつは?」

という受け止め方をしているのですが、「すり替え」表現をする人は自覚して
いないので、真顔で言うんですよね。

「お前もAKB48の大島さんのように、トップに返り咲くぐらいの気持ちで
やれ」

「部長、でもどうなんですかね。あの総選挙のやり方は、僕はどうかと思いま
すよ」

「オレはそういう話をしてるんじゃない!」

「いや、僕としては世代交代があっていいと思うんです」

「だーかーら、そういうことじゃないって!」

……と、こんな感じですね。

他人からあまり指摘されないでしょうから、ご自身で「すり替え」の言い訳を
していないか、気をつけていきましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

最近、

「あのメルマガ草創花伝って、本当に横山さんが書いてるんですか?」

と、よく聞かれます。

「聞きにくいんですけど、ゴーストライターがいるんじゃないですか?」

とか

「ストックがあるんでしょ? どれぐらい書き溜めてるんですか?」

とも質問されます。

まず、

良いか悪いか別にして、こんなメルマガを書けるのは私しかいないと思います。

誰かに頼んでも、「どう書けばいいかわからない」と言われるでしょうから。

あと、

メルマガはいつも、送信する直前に書いています。

ですから今回も、昨日開催された「AKB48の総選挙」ネタをちょっと出し
てみました。

フェイスブックも最近、毎日のようにネタを書いています。

これも他に誰も書いてはくれませんよね。

今日のフェイスブックに書いた記事は、「横山節」が炸裂していますから、お
そらく皆さんの心に火をつけられると思います。
http://www.facebook.com/nyattx

フェイスブックもたまにチェックしていただけたらと!