2012年9月18日

「自分探しの旅」へ出かける前に【エレベーターピッチ】

● 今回のテクニック:【エレベーターピッチ(5)】

エレベーターピッチとは、起業家が、あるプロの投資家と偶然エレベーターに
乗り合わせた際、エレベーターが目的の階に着くまでのわずかな時間(数十秒
から1分以内)で、自身のビジネスプランの魅力、優位性を伝えられるか?
伝えられるか伝えられないかでビジネスの明暗を分ける、と言われたことに由
来するプレゼンテーションスキルの概念。

営業がお客様に商材のトピックを伝えるときはもちろんのこと、マネージャの、
部下に対するコミュニケーションにおいても同じことが言える。

短い時間でポイントを正しく伝えることの大切さをあらわしている。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「マネジャーって、そんなに昔からモチベーションが高かったんですか?」


マネージャー :
「どういうこと?」


部下 :
「だって、すごく意欲があるじゃないですか。先日だって社長と言い争って
も、自分を曲げようとしなかったし。あのとき正直、スゴイな、と思ったん
です。だってそうでしょう? みんなも驚いてたと思いますよ」


マネージャー :
「そりゃあ、自分の考えのほうが正しいと思ったからだ。当たり前のことを
しただけだよ」


部下 :
「僕だったら、無理だなと思いました。以前、主任と意見の食い違いがあっ
たんですが、あのとき僕はすぐに引き下がりました。どうしてかっていうと、
主任の言い分にも一理あるかなとも思ったし……」


マネージャー :
「何を言い出すかと思ったら」


部下 :
「会社に入ったときから、そんなに意欲的だったんですか? そこら辺を聞
かせていただけませんか」


マネージャー :
「は?」


部下 :
「なんか……。最近、自分が何をしたいのか、よくわからなくなってきたん
です。昨日も、妻が仕事を辞めると言い出して、あ! 私の妻はショッピン
グセンターで働いてるんですが、労働時間の割りに給料が安いんで、という
感じで……。昨日は遅くまで言い合ってしまいました」


マネージャー :
「穏やかじゃないな」


部下 :
「はい。妻は、学校の教師をしていたので、レジで打つ仕事をしているのは
モチベーションがアップしないようなんです。そういう妻を見ていて、何だ
か自分はどうなのかな、と思ったりしはじめて……。自分の本当にやりたい
ことって……」


マネージャー :
「うーん」


部下 :
「ですから、自分のやりたいことって本当に何だろうって真剣に考え始めた
んです。どうすればいいのか、それがよくわからなくなって、それで、うー
ん……。どう言ったらいいのか……。すみません、私って話がヘタですよ
ね?」


マネージャー :
「え?」


部下 :
「営業をやっていても、お客さんが私の話をちゃんと聞いてくれないんです。
実は営業トークを勉強してるんですけど、なかなか上手になれなくって、そ
のことも妻に指摘されるんです。営業なんだからもっと練習してよって」


マネージャー :
「営業トークか」


部下 :
「ええ……。昔っから、なんか、孤独を感じるときがあります。喋りがヘタ
なんで、友達も少なかったし、相手にされることも少なくって、それで営業
になったら、ちょっとは変わるかなと思ったんですけど、よけいに自分のや
りたいことがわからなくなって、本当に、その……」


マネージャー :
「それで、トイレットペーパーを持ち帰っているのか?」


部下 :
「え…………!」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「トイレへ行くとき、いつも鞄を持っていってるだろ? そこにトイレット
ペーパーを詰め込んでるんじゃないのか?」


部下 :
「……!」


マネージャー :
「俺しか知らない。心配するな」


部下 :
「……」


マネージャー :
「いつも鞄を持ってトイレへ行くから、おかしいなと思ってたんだ。君が入
ったあと、必ずトイレットペーパーが一つなくなっている。あ、そういうこ
とか、と思ったんだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「君の家庭は、それほど経済的に苦しいのか?」


部下 :
「え、いえ……。その……。そういうわけじゃないんです、でも、そ……」


マネージャー :
「コミュニケーション能力を高める方法を教えようか?」


部下 :
「は、はい……。ぜひ……」


マネージャー :
「自信を持つことだ」


部下 :
「……!」


マネージャー :
「コミュニケーションの型を覚えても、自信がなければうまく使いこなせな
い。逆に、自信さえあれば、多少、テクニックを知らなくても大丈夫。キャ
スターを目指してるわけじゃないんだから」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「そして自信を身につけるための方法は、ただ一つだけだ」


部下 :
「ハイ」


マネージャー :
「結果を出すことだ」


部下 :
「!」


マネージャー :
「そう思うだろう?」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「会社のトイレットペーパーを一つや二つ、家に持ち帰ったからといってペ
ナルティがあるわけじゃない。でも、自分に対する自信のなさが、そういう
衝動を引き寄せてしまうんだろう」


部下 :
「……」


マネージャー :
「あと、少なからず言いたいことは短くしたほうがいい。以前も言っただろ
う、エレベーターピッチだ。自信がないから喋りすぎる」


部下 :
「はい……。申し訳ありません」


マネージャー :
「言いたいことは?」


部下 :
「2つだけです。結果を出します。そして、結果を出すための相談を、2日
に1回はさせてください」


マネージャー :
「わかった」


部下 :
「必ずトイレットペーパーはお返しいたします」


マネージャー :
「自分のケツは自分で拭け。自分探しもいいけど、まずは結果を出すんだ」



……コミュニケーションの目的は「リーディング」です。相手を動かすことに
あります。

キャスターやアナウンサーでないのなら「伝えること」ではなく「動かすこ
と」です。

そのためには相手との「ラポール(信頼関係)」が不可欠です。

「自信」とは、自分との「ラポール」のことを差します。自分を信じられるか
どうかということ。

「自信」がない人が、人を動かすことは難しいと言えます。

10月に実施する「絶対達成コミュニケーション」のセミナーでは、まずはこ
ういった「非言語コミュニケーション」の大切さを語ります。

目の前にある、やるべきこともやらない人間がどんなに理想を語っても、人を
動かすことなどできません。


● 相手から軽く扱われない科学的な手法!
 絶対達成するコミュニケーションのとり方「布石管理」
【東京 10/9】http://www.attax.co.jp/seminar/detail/01410.html
【名古屋 10/12】http://www.attax.co.jp/seminar/detail/01409.html

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【編集後記】

先週の金、土と、長野県の小淵沢にある「リゾナーレ八ヶ岳」で合宿セミナー
がありました。

http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbsemi/0930/neo7/

大分、福岡、岡山、兵庫、愛知、神奈川、東京……と、日本全国から集まった
部課長13名でスタート。

25万円の研修費用をご自身で支払い、参加されたマネジャーの方もいらっし
ゃいました。

夜の懇親会のときに聞いてみると、ほぼ全員が「上司から行け、と言われたの
で参加しました」とのこと。

しかし、

全員が全員、ものすごく意欲が高く、2日目の研修最後の「ロックタイム」で
も、通常の2倍以上の行動量を宣言するマネジャーが続出しました。

※「ロックタイム」とは、やり切る行動量を全員の前でプレゼンする、私の研
修の恒例イベントです。

マネジャーご自身の行動量ではなく、部下全員の行動量をコミットしてもらい
ました。

中には、30人以上の部下を持つ部長もいらっしゃるのです。

しかし、「こんな遠くまで来たからには、それぐらいは宣言します」と言って
くださり、30人分の部下の行動量を「ロック」かけていきました。

今週から、参加されたマネジャーの部下の行動がどう変わるか、楽しみですね。

修羅場は、次回10月の2回目の研修日です。

だいたい、このような特訓コースは2回目が「修羅場」になります。

1ヶ月間、凄まじい葛藤を乗り越えて2回目の研修に臨むマネジャーに、私は
鬼のように厳しく接します。

2回目に「締める」ことで、次回以降の研修も緊張感を持って参加していただ
けます。

ま、今回の参加者の方々に、それは必要ないかもしれませんが……。

いずれにしても、「非日常」を感じられるような、遠い場所で研修をすること
で、自分の殻を破りやすくなりますね。

八ヶ岳山麓の高原で、素晴らしい思い出ができました。