2012年9月23日

なぜ会議では「意見」が出てこないのか?【アンカリング効果】

● 今回のテクニック:【アンカリング効果(10)】

アンカリング効果とは、最初に示された情報が頭に残り、その後の判断に影響
を与えることを言う。

このアンカリング効果を利用し、相手の発言を誘導させるテクニックを使う。
逆に影響を与えさせないようにするためには、他者の意見に左右されないよう、
いっせいに紙に書かせるなどのテクニックが有効だ。

※ しっかりアンカーさせるためには、冒頭に有無を言わせないような態度と
裏づけのある事実をもって説明するとさらに効果的である。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「10月から新しい期がはじまる。そこで、みんなと教育について議論した
い。どんなに業績が不安定なときでも、教育費だけは削ってはならないと私
は思っている。効果があるかどうかをあまり議論していても仕方がないから
な」


営業マン全員:
「はい」


マネージャー :
「人事部長が退任されるのを機会に、当社の教育を変えていきたい。先ほど
も言ったように、教育効果は正確に測定できない。費用対効果などを声高に
言っていても仕方がない。俺はそう思うんだ。みんなはどう思う? 研修を
受講したりする時間が増えれば労働時間はその分、減る。しかし毎月のよう
に研修を受けるわけじゃない。定期的な教育は必要だ、と思ってるんだ」


営業マンA :
「そうですね。私もそうだと思います」


マネージャー :
「なるほど、俺に遠慮せずに言えばいいんだよ。B君は?」


営業マンB :
「まァ、そうですね。マネジャーの仰るとおりかと。投資対効果ばかり考え
ていたら、教育なんてやっても意味がないという論調になってしまうかもし
れません」


マネージャー :
「C君は?」


営業マンC :
「営業になって、なかなか教育を受ける機会がないと思っていたら、人事部
長がそういう方針を出していたんですね。何となく受講するのはよくないと
思いますが、定期的にそういう機会があってほしいです」


マネージャー :
「確かにC君が言うとおり、漫然と教育を受講するのはよくない」


営業マンA :
「ま、そうですけど、1回や2回の研修を受けただけで成果を出せと言うの
もどうかと思います。とにかく教育制度がしっかりとできていない会社には、
いい人財が入ってこないとも言いますし、きっちり制度化したほうがいいで
す」


マネージャー :
「前の人事部長は、個人の自主性を重んじすぎてたんだよ。しかし俺は主体
性のない人を切り捨てていく風土はよくないと思う」


営業マンC :
「賛成です。個人の自主性に任せすぎるのはよくないと思います。それを会
社全体でやってしまうと、管理者の負担が重くなるだけです」


営業マンB :
「言いにくいですが、今のままだと管理者になりたがらない人も多いと思い
ますよ。部下を育てられないのは管理者の責任だ、というのは簡単ですが、
そういう風潮が蔓延するのは問題です」


営業マンA :
「手を挙げた人だけしか教育を受けられない、というのだと、参加しにくい
ですね」


営業マンB :
「研修を受ける人は暇だ、と思われるのが一番イヤです」


マネージャー :
「君たちの意見はよくわかった。新しい人事部長にそう伝えておくよ。(そ
れにしても、これがアンカリング効果か……。半年ぐらい前に、教育につい
て聞いたら、『とても教育なんか受けている暇ない』『本当に意味のある研
修だけにしてもらえませんか』と、ブーブー言っていたくせに……」



……会議の場で「議論」して、全員が活発な意見交換をしながら最適な解決策
を導き出す。

誰もがそうしたいでしょうが、なかなか難しいですね。

皆で集まってディスカッションしようとすると、人数に比例して「社会的怠
惰」という現象が起きる。意見が出づらくなるのです。

そして誰かが最初にした発言によって「アンカリング効果」が働くこともあり
ます。

この功罪は無視できません。

これら、会議の功罪をまとめた書が、拙作「脱会議」です。

会議を単純に減らせばいいというわけではありません。目標を達成させるため
に会議はどうあるべきか、について記しています。

■「脱会議」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274004/attaxsales-22/ref=nosim


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【編集後記】

約10年ぶりぐらいに、「鼓童」の公演を妻と鑑賞してきました。

坂東玉三郎氏がプロデュースしたという「鼓童ワン・アース・ツアー 2012」
です。
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html

ここ数年はやっていませんが、私は過去10年以上も和太鼓をやってきました。
そんな私にとって、いつも「鼓童」の演奏はインパクトが絶大です。

その卓抜した技術。

揺らぐことのない精神性など

何度観ても圧倒され、毎回、感動は大きくなっていきます。

特に今回は、私の得意演目のひとつだった「八丈島太鼓」もアレンジして紹介
され、感動して涙が出そうでした。

和太鼓は、私の青春でしたね。

公演後、鳴り止まぬ拍手を耳にしていると、会場にいた全員が、まず間違いな
く、

「これはスゴイ! 本当にスゴイ!」

と文句なしに感じていることが伝わってきます。

本物とは何か、プロとは何か、について考えさせられた夜でした。

自分が、本当にちっぽけに感じてしまい、もっともっともっともっと鍛錬しな
いと、と思い知らされています。

さっそく、私は鍛錬の道を探し始めました。