2012年10月15日

どのようにして人は「突然」変わるのか?【アクノリッジメント】

● 今回のテクニック:【アクノリッジメント(11)】

アクノリッジメント(アクノリッジ)とは、相手に関心を寄せて承認し、その
ことを肯定的な言葉で伝えることである。

どのようなときも感謝の気持ちを忘れず、相手の可能性だけを見つめることに
より、行動の変革を促すことができるようになる。

承認することを目的とするぐらいに、承認を意識することが重要である。

承認が目的になってしまうと心が伴わない、と思われる方も多いだろうが、そ
れを気にしていたら何もできない。

「気持ちはあとからついてくる」

と考えるようにして、まずは「相手を承認する」という体験を積むことにフォ
ーカスして取り組むぐらいがちょうどよい。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「行動を起こすのに、モチベーションは一切関係がないことはわかってるん
ですが、そうは言っても体が動かないんです。どうしたらいいんでしょう」


マネージャー :
「いろいろとゴチャゴチャ考えちゃうんじゃないか?」


部下 :
「はい。考えてしまいます。やっぱりモチベーションは必要なんじゃないか
って」


マネージャー :
「具体的に、どのような行動をスタートできないの?」


部下 :
「実は、全国にいる、難病で苦しんでいる子供たちに手紙を出そうというプ
ロジェクトを友人と始めたんです」


マネージャー :
「ほう……。すごく意義深い活動のようだね」


部下 :
「ええ。そうなんですけど」


マネージャー :
「どうした?」


部下 :
「なんていうか……。書けないんです。手紙が」


マネージャー :
「どうして?」


部下 :
「それが、わからないんです」


マネージャー :
「……」


部下 :
「私は27年間、生きてきて、とにかく自分で決めたことを続けられた体験
がほとんどないんです。高校時代にやってた部活動も、すぐやめてしまいま
したし、交際した彼女ともすぐ別れてしまうし」


マネージャー :
「……」


部下 :
「病気で外に出られない、東北にいる母に週に1回は電話しようと決めたと
きも、続いたのは1ヶ月程度でした」


マネージャー :
「仕事も、けっこう変わってるよな?」


部下 :
「はい。この会社が4社目です。大学を出てからまだ5年しか経っていない
のに……。ですから、心の底から意義のある活動を始めれば、絶対に続けら
れると思いました」


マネージャー :
「でも……続かない?」


部下 :
「どうしようもないですね、私は」


マネージャー :
「……」


部下 :
「友人2人は、定期的に手紙を書いて、キチンと送っているんです。でも、
私の場合は、なんか忙しさを理由に書けなくて……。そうこうしているうち
に、友人たちも私にアキレはじめたんじゃないかと」


マネージャー :
「……」


部下 :
「どうしたらいいかわかなくて、家の壁に、『今日こそは手紙を書け!』
『難病の子供たちがお前の手紙を待ってるぞ』『これが自分を変える最後の
チャンスだ!』と書いた紙を貼ってるんです。でも……」


マネージャー :
「自分の体が動かない?」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「……」


部下 :
「ひょっとして私は、心の病気なんでしょうか?」


マネージャー :
「そうは思わない」


部下 :
「そうですか?」


マネージャー :
「私は医者じゃないから、専門的なことはわからないけれど、自分にもそう
いう時期があったから」


部下 :
「え! 部長にも、ですか?」


マネージャー :
「程度の差はあっても、ほとんどの人にはそういう経験があるんじゃない
か?」


部下 :
「え……。3年連続で『社長賞』を獲ってるという部長が?」


マネージャー :
「『社長賞』? ああ、あんなのタマタマだよ。私の部下たちががんばって
くれてるおかげだ」


部下 :
「そんな……。ほとんど部長が先頭に立ち、新しい事業を立ち上げて成功さ
せていったと聞きました」


マネージャー :
「そういうのもあるかもしれんが、すべてじゃない」


部下 :
「私もいつか、自分の功績を謙遜して言ってみたいです」


マネージャー :
「人を動かすためには、その人との信頼関係を構築しておくことが必要だ。
それは以前、話したことがあるよね?」


部下 :
「……その通りですね。私は、友人たちとの関係を壊しかけています」


マネージャー :
「相手との関係を良好にするためには、相手とペースを合わせて接すること
が必要だ」


部下 :
「わかります。いきなり相手を動かそうとしても、無理ですものね」


マネージャー :
「そう。相手を承認することが必要だ」


部下 :
「承認、ですか」


マネージャー :
「自分を承認してるか?」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「君は、自分を承認してるのだろうか?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……と、申しますと?」


マネージャー :
「さっき、壁に『手紙を書け』とか『自分を変えろ』みたいなことを書いて
貼ってあると言ってたよね?」


部下 :
「ええ」


マネージャー :
「あれは、自分を責めることになるんじゃないかと思ってね。自分とペース
を合わせて承認してる行為じゃない」


部下 :
「……!」


マネージャー :
「私は、大学受験を2度失敗している。あの当時、私は壁に『必勝!』とか
『夢を諦めるな!』と書いて貼ったものさ。でも、しばらくしてから、そう
いった自分を鼓舞するようなメッセージから目を背けて家で過ごすようにな
った」


部下 :
「……」


マネージャー :
「ああいうのは、自分を責め立てるメッセージであって、承認にはならな
い。そして自分を責めていると、いつまで経っても自信喪失の状態から抜け
出ることができないんだよ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「毎日、毎日、私は自分を責めてばかりいたよ。結局、大学には行かずに、
親戚の紹介で小さな会社に入って営業をやり、それから職を転々として、落
ち着いたのがこの会社だ」


部下 :
「そうなんですか……」


マネージャー :
「30歳を過ぎてからだよ。ようやく、自分を責めるのをやめたのは。そう
したら1年で変わった」


部下 :
「1年で」


マネージャー :
「現時点の自分は承認できないけど、未来の自分を承認しつづけた。必ず自
分は変われるから大丈夫。絶対に変われると、つぶやき続けた」


部下 :
「それで、変われたんですか?」


マネージャー :
「変われた。突然、時間が未来から流れてくるようになった」


部下 :
「未来から?」


マネージャー :
「そう。AだからBになってしまう、じゃなくて、Bにならないために、A
をしなければいいと、こうやって逆に考えるようになると、科学的にポジテ
ィブになる」


部下 :
「どうしてですか?」


マネージャー :
「今はネガティブでも、未来から時間が流れてくるという思考になると、ど
うしてもポジティブになってしまう。だってそうだろう? 明るい未来を想
像し、その未来から時間が流れてくるんだから」


部下 :
「……」


マネージャー :
「時間が未来から流れてくるまで、自分を承認しろ。『今のままでいい』で
はなく、『いつかは必ず変われるから大丈夫』と承認するんだ」


部下 :
「……なんか、救われました」


マネージャー :
「自分に自信がないんだろ?」


部下 :
「そうです。結局は、そういうことです」


マネージャー :
「自信は科学的に身につけられる。自分との信頼関係を構築するためにどう
すればいいか。これを考えればいい」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「そうすれば、マインドチャージされていく。そして突然、何かのきっかけ
で動き始めるものだ。時間はかかるかもしれないけれど、焦って自分を責め
立てていると、いつまでも自分を信頼できないままだ」



……「自信」があるから結果が出る、

のではなく、

結果が出るから「自信」が身につく、のです。

「自信」があるから続けられる、

のではなく、

続けられるからこそ「自信」が身につく、のです。

この「逆算思考」を皆さんも身につけてみませんか?

時間が未来から流れてくる感覚を味わうために、

NLP理論を元に、「思考のあたりまえ化 4ステップ」について、まとめま
した。

ダイヤモンド社からの新刊「絶対達成マインドのつくり方」は、

11月2日(金)から発売スタートです。お楽しみに!

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【編集後記】

来月の11月2日(金)に、新刊「絶対達成マインドのつくり方」がダイヤ
モンド社から発売されます。

「自信を持て!」「君には可能性がある、自分を信じていれば大丈夫だ!」と
言われても、

それで、本当に自信が持てるような人は、はじめから「自信がある人」であ
って、

最初からそんな「自信などない人」、「心が折れてしまって、立ち直るきっ
かけさえ掴めない人」に、

そのような呼びかけは何の効力にもなりません。

それでは、どのようにして人は科学的に「自信」を身につけられるのか?

どのようにすれば「当たり前のこと」を当たり前にでき、

時間が未来からやってくるような感覚を味わえるのか?

「逆算思考」で物事を捉えられるようになるのか?

精神論や、心構えではなく、NLP(神経言語プログラミング)理論に基づ
いて、

論理的に解説しています。

それが、

11月2日に出版される「絶対達成マインドのつくり方 —科学的に自信を
つける4つのステップ—」です。

この書籍は、昨年12月に出版された「絶対達成する部下の育て方」のカ
バー色「黒」とは正反対の、

「まっ白」な装丁となっています。

なぜ「白」なのか、というのは、いろいろな理由があるからですが、著者の
私としては、

昨年の12月25日のメルマガ編集後記に書いた以下のエピソードが、本書
にも登場し、

この「まっ白で、がらんどうの状態」からどのように抜け出し、毎年当たり
前のように「目標達成」していくのか、

マインドがどのように醸成されていくかについて記しているからでもありま
す。

前作の10倍以上、苦労して作った書籍です。

今回もキャンペーンを実施いたします。メルマガで徐々にアナウンスいたし
ますので、お楽しみに。



……昨年12月25日のメルマガ編集後記はここから


今日12月25日は、朝から雪が降っていました。

岐阜に近いからでしょうか。午後からは本降りとなり、一面、雪景色となり
ました。

私には、雪を見るとフラッシュバックする、嫌な思い出があります。

子供が生まれ、妻が実家に戻っているとき、8年ほど前のことでしょうか。
私は毎晩、終電でアパートに帰り、虚ろな日々を送っていました。

1月の予算編成時期のころだったと思います。

当時、日立製作所にいた私は、予算を策定したら辞表を出すと決めており、
風の強い日に落ちてくる雪のように、不安定な自分でありました。

ある日、

いつもどおり終電で、アパートの最寄駅まで帰った夜のこと。

駅についてもアパートに帰ることなく、私はなぜか地下鉄の駅の周りをウロ
ウロとさまよい、歩いていたのでした。

35歳。

第一子が生まれたばかりだというのに、結婚以前よりも責任感を抱くことが
できないほど、心の中はがらんどうでした。

駐輪場に置いてある自分の自転車には雪が積もっていました。

いつから雪が降っていたのか。

それさえ気付かないほど、ぼんやりと駅の周辺をしばらく徘徊していたのだ
と思います。

サドルに積もった雪をはらい、自転車に乗ろうとすると、かごの中に置かれ
たポケットティッシュが目に入りました。

駅前でティッシュ配りをしていた人が、自転車のかごの中に置いていったの
だろうか。

私はふと疑問に思い、自分の自転車から離れて、他の自転車のかごの中を見
て回りました。

夜更けの駐輪場に置かれた自転車は、かぞえるほどしかありません。

すべての自転車をチェックすると、大量のティッシュが手に入りました。私
は当時、ダウンのコートを着ており、そのコートのポケットに入りきれない
ほどのティッシュを押し込んで、持ち帰ろうとしたのです。

さらに、

駐輪場に突っ立ち、頭から雪をかぶってティッシュをかき集めていた私は、
何かを察知するのです。

もしかして……

私は駐輪場の地面を見ました。

雪でところどころ白く濁っていましたが、目をこらすと地面にもポケットテ
ィッシュが落ちているのです。

自転車のかごに入っていたティッシュを、その場で捨てていった方がたくさ
んいたのでしょう。

足で雪を払いながら探すと、さらに大量のティッシュが手に入ったのです。
私はコートのポケットの中に、ぎゅうぎゅうに押し込んで、誰もいないア
パートにそのティッシュを持ち帰りました。

なぜその夜、私はポケットティッシュを欲しがったのか?

ただ、あると便利だと思ったからです。

自転車のかごの中にあるとはいえ、落ちているのと一緒だ。もらってしまっ
たもかまわないだろう。

そういう気分で、コートのポケットに入る分だけのティッシュを持って帰っ
てきたのです。

もちろん、

私はそのとき、普通の精神状態ではありませんでした。

自身を正しく制御する何らかの装置が、私の体の中で正常に動作していなか
ったのだと思います。

つい先日、そのことを妻に質問すると、

「覚えてる、覚えてる。あれから家を引っ越したあとも、まだあのティッシュ、
大量に残ってたから」

雪を見ると、なぜか思い出すのです。

われ知らずポケットティッシュを拾い集めた夜のことを。

今は12月25日です。

明日は12月26日。

日本最大級のメガ書店、東京丸の内の「丸善」での講演の日です。この聖地
での講演に、私は今年のすべてを賭けたいと思います。

そのために、明日、私は、あの夜着ていたダウンのコートを身にまとい、上
京します。

あの夜の私のように、心の調子を崩す人がひとりでも出ないように、私は今
私しかできない言葉で、会場に来られた方々に伝えたいのです。

伝えたいことが、あるのです。


……ここまで。

この「ポケットティッシュ」のエピソードには続きがあり、

それが新刊に書かれています。

私にとって、とても恥ずかしいエピソードなのですが。