2012年10月22日

「やり切るコツ」とは?【無言クロージング】

● 今回のテクニック:【無言クロージング(5)】

クロージングを最も強力にしたい場合は、「無言」を貫くことである。

相手の要望・ニーズに沿った解決策/提案をしても、なかなか相手が決められ
ないときがある。理屈ではなく、踏ん切りがつかないケース。

ダブルバインドを活用して二者択一を迫ってもいいが、敢えて言葉を発せずに
待つという手もある。

人間は普通、「間」を嫌う。しかしその「間」を恐れずに無言を貫く相手から
は強烈なプレッシャーを感じるものである。無言が最強クロージング技術。し
かし難易度はかなり高い。


───────────────────────────────────

● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「え、そんなことで悩んでるの?」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「どうやったら『やり切る』ことができるかって……」


部下 :
「申し訳ありません。なんか変な質問ですけど、この前、若手で集まって飲
み会を開いたんですけど、『なかなかやり切ることって難しいよな』って話
が出て……」


マネージャー :
「それで?」


部下 :
「それで、本部長は若いころから凄かったって話になったんです」


マネージャー :
「誰がそんなこと言ったんだ?」


部下 :
「K課長です」


マネージャー :
「若手の飲み会なのに、K課長が出席していたのか?」


部下 :
「はい。一応、K課長が企画してくださったので」


マネージャー :
「ふーん」


部下 :
「何をさせても、とにかくやり切ってみせたと聞いています。何が本部長を
そこまでやる気にさせるんですか?」


マネージャー :
「何もないからだろ」


部下 :
「何もない?」


マネージャー :
「オウ」


部下 :
「……えーっと、ハングリーだったってことですか? 何もないってことは、
お金も彼女も仕事もなかったんで、それで……」


マネージャー :
「違う違う! 失礼だな。そういう言い方は」


部下 :
「す、すみません!」


マネージャー :
「俺は普通だったよ。何も恵まれてなかったけど、それほど不自由していた
わけでもない」


部下 :
「じゃあ、何がそこまで意欲的に行動させたんでしょう? ぜひ聞かせてく
ださい」


マネージャー :
「だから言ったじゃないか! 何もないからだって!」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「お前みたいに、ゴチャゴチャ考えるようなことが、なーんにもなかったか
らだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「やり切るコツを教えてやろうか?」


部下 :
「はい! ぜひ!」


マネージャー :
「ないよ」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「コツなんかない。お前、会社に定時どおりに出勤するコツって何だ?」


部下 :
「いや……。どうでしょう。定時どおりに会社に来るのは、あたりまえです
から……」


マネージャー :
「だろ? あたりまえのことをやるのにコツなんかいるか?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「どうなの?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「な、ないですね……」


マネージャー :
「だろ?」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「それだけだよ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「お前さ、俺の手元に資料があるけど、チラシの配布量が、4月から半年間、
90%を下回ってるよな?」


部下 :
「は、はい」


マネージャー :
「目標の達成率が90%を下回ってるんじゃなくて、チラシの配布量だよ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「自分が宣言したチラシ配布量をやり切るコツを教えてやろうか?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「いえ」


マネージャー :
「……」


部下 :
「や、やります。……やるだけです」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「やれよ」


……ゴチャゴチャ言わず、とにかくやれよ!

と誰かに言いたいときってありますよね。自分に対して言いたいときもありま
す。

11月2日に発売される新刊「絶対達成マインドのつくり方」では、すべての
人に対して、

「やれよ!」

とは書いていません。

相手(もしくは自分)を正しく観察できるキャリブレーション・アイ(観察
眼)がなければダメです。

そうでなければ副作用があるからです。

相手(もしくは自分)を正しくキャリブレーションする簡単な方法も紹介して
いますので、ぜひ新刊でチェックしてみてくださいね。

さてその新刊のキャンペーン(先着1000名様にDVDが当たる!)は、今
週中にアナウンスいたします。

それまで、少しお待ちください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

数ヶ月間、入院していた母が、先日ようやく退院しました。

子供を連れて、両親が住む家へ訪れたところ、母は元気そうでした。

相変わらず父は、母に小言を言われながらも酒をあおっていましたが、なんだ
か二人、楽しそうに生活している風に見えました。

数年間、別居していたふたりが、もう一度生活を共にすると決めたとき、

私は父に対し、馬乗りになって、母との生活を再スタートさせるなら、酒とギ
ャンブルをやめろ、

そうでないと生活は破綻する。

母の病気も治らないと迫りました。

しかし、小さくなった父にもプライドがあったのか、

「お前の世話には絶対にならない!」

と私の要求を跳ね返し、

毎月の仕送りなどいっさい受け取らず、年金だけで生活すると決めてしまいま
した。

家庭のことなど、ほとんど何もせず、酒におぼれ、ギャンブルで命を削ってき
た父に、私は心の底から失望したのですが、

母との同居をはじめると、

父はなんとギャンブルをやめたのです。

私や姉が小さなころ、家じゅうの箪笥や引き出しを開けて「100円玉」を血
眼になって探した父は、すでに老いていたということもあるのですが、

父は「ギャンブル好き」というよりも、

それ以上に、

「ケチ」

だったのです。

どんなに好きなことがあっても、借金してでもやろうとは思わない。

70歳を過ぎてから、ようやく知った父の姿でした。

私はずっと貧乏を憎んできました。

以前も、メルマガ編集後記にそのことを記しましたが、貧乏だったからお金の
大切さを私は知っているつもりです。

だからこそ、目標を達成もせずに「われ関せず」という顔をしている営業に対
して、理解できない気持ちを抱くのです。

しかし、

父母を救ってくれたのは、貧乏だったのです。

中途半端ではない貧乏が、父を改心させたと言えるでしょう。

家計にまったく余裕がないとわかり、父は自分で家計簿をつけ、病弱の母に代
わって家事をし、

わずかなお金で生活する術を、70歳を超えてから身につけていきます。

父の「現状維持バイアス」がはずれた瞬間と言えるでしょう。

この世がひっくり返っても、父はギャンブルをやめられない。依存症は治らな
いと信じていましたが、

あっさりとやめてしまった父を見て、

いまだに「父を殴る夢」を見続ける私を嫌悪したりします。

新刊「絶対達成マインドのつくり方」には、私がダメ人間だったときのエピ
ソードが赤裸々に書かれています。

父や母には、読ませられないエピソードだなーと、今しんみりと思います。