2012年11月25日

パワーの出る「暗示効果」とは?【プラシーボ効果】

● 今回のテクニック:【プラシーボ効果(11)】

プラシーボ効果(プラセボ効果・偽薬効果)とは、実際には効き目のない偽薬
を処方しても、薬だと信じて相手が服用することで、何らかの治療効果がみら
れることを言う。

暗示効果のひとつである。

もちろんのことだが乱用はご法度だ。

行動を変革させるためとはいえ、相手を騙すことにかわりはない。営業マネー
ジャが「狼少年」にならないよう気をつける必要がある。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「この石、見てくれ」


部下 :
「お。それはどういう石ですか。ヒスイですか」


マネージャー :
「よくわかるな」


部下 :
「深い緑色をしていますから……。かなりグレードの高いヒスイですね」


マネージャー :
「どうして、そんなことまでわかる?」


部下 :
「いや、何となくです。うちの実家が三重の鳥羽にあるので、真珠について
はある程度、詳しいんです」


マネージャー :
「真珠? そうなのか」


部下 :
「はい。そのときから宝石のことは全般的に興味があってですね……。一通
りは知識があります」


マネージャー :
「女性にウンチクを語って、モテようとしたことあるだろ?」


部下 :
「うーん……。ウンチクよりも、宝石を買う経済性のほうが重要かと」


マネージャー :
「そりゃ、そうだな」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「ところで、この石、お前にやる」


部下 :
「ええっ!? どうしたんですか」


マネージャー :
「その石は、俺が以前の会社を辞めて、3ヶ月間、中南米を放浪していたと
きに、現地の人からもらったものだ」


部下 :
「へェ。確かに、中南米はヒスイの産地ですものね」


マネージャー :
「さすがに、よく知ってるな。そう。それからだ。その石をもらってから、
俺はツキまくってる」


部下 :
「……冗談でしょう?」


マネージャー :
「本当だ。日本に帰ってからこの会社に転職できたのも、社長をはじめ先輩
たちに可愛がってもらえたのも、多くのお客様に支えられたのも、この石の
おかげだ」


部下 :
「うーーーん」


マネージャー :
「来年から、いよいよお前が課長だ。お前にその石をやる」


部下 :
「それはありがたいですけど……。でも、部長がここまでこれたのは、別に、
このヒスイのせいでは、ないんじゃないでしょうか」


マネージャー :
「ん?」


部下 :
「社歴25年の庶務、Sさんが言ってましたけど、部長が会社に中途で入っ
たとき、周囲からほとんど相手にされず、かなり苦労されたと聞きました」


マネージャー :
「……」


部下 :
「もう今は会社にいないようですが、当時の古参社員が、けっこう陰湿なイ
ジメをしていたとも」


マネージャー :
「陰湿なイジメか……。まァ、なかったとは言えないな。家に早く帰ろうと
すると怒られたから。毎日、夜中の12時前に帰宅するのは許されなかっ
た」


部下 :
「ひでェ……」


マネージャー :
「いろいろあったけど、乗り越えられたのは、この石のおかげだよ。本当に
感謝している」


部下 :
「本当にこのヒスイのおかげなんですか?」


マネージャー :
「イヤ、違う」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「それ、ヒスイじゃない」


部下 :
「えっ!」


マネージャー :
「お前がヒスイだ、と言ってるだけで、俺は一度もヒスイだとは言ってない。
それはただの石だ」


部下 :
「え……! ただの石なんですか?」


マネージャー :
「そうだ。俺もヒスイだと思って買ったんだが、どうも騙されたらしい。最
近、ある人に鑑定してもらったら、ただの石だということがわかった」


部下 :
「部長、失礼ですけど、なんかバカ正直ですね……」


マネージャー :
「バカ正直だから、騙されるんだ」


部下 :
「まァ。確かに」


マネージャー :
「俺、今まで、いろいろな人にいろいろなことをアドバイスされて、ほとん
どその通りにやってきた。頭が悪くてバカ正直だろ? だから疑うことをし
なかった」


部下 :
「……」


マネージャー :
「本を読んだら、バカ正直に本に書いてあるようにした。研修を受けたら、
講師の言うとおりにした。もちろん先輩にアドバイスを受けたらそのとおり
にした」


部下 :
「……」


マネージャー :
「失敗もたくさんしたし、非効率的なことも多かったけど、10年以上、そ
ういうことをしていたら、いつの間にかうまくいっていた」


部下 :
「じゃあ、この石は……」


マネージャー :
「『バカ正直になる石』、と言えるかもしれん」


部下 :
「すごい、石ですね」


マネージャー :
「短期的に見ると『正直者はバカを見る』かもしれないが、長期的に見ると、
素直に人の言うことを聞いたほうがうまくいくと俺は思ってる」


部下 :
「だから、バカ正直、ですか」


マネージャー :
「バカ正直になるためには、けっこうパワーがいるもんだ」


部下 :
「自分の過去を、その都度、断ち切っていかないといけないですもんね」


マネージャー :
「そのとおり」


部下 :
「バカ正直になる石、か……。ありがとうございます。もらいます、この石。
今まで意固地になりすぎるところがありましたから」


……誰かの助言や、世の中に溢れるノウハウなどに対して、

素直に受け入れられず、条件反射で否定してしまう人がいます。

自分の都合のいいものだけを選択して認知し、都合の悪い事柄は反射的に「ろ
過」してしまうと、人は成長していかないですよね。

人を否定してばかりの人もいますが、人は総じて「バカ正直」でいいと私は考
えています。

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【編集後記】

11月24、25日の2日間、紅葉を見に、家族で京都旅行へ行きました。

さすがに3連休でしたので、どこへ行っても観光客でものすごい人で、京都の
街中が「お祭り騒ぎ」という感じでした。

「詩仙堂」や「実相院」といった名所もまわったのですが、私が印象に残って
いるのは、

「晴明神社」です。

まったく行く予定がなかったのですが、京都御所を訪れたあと、晴明神社が比
較的近くにあると聞いて、私が「どうしても行ってみたい」と言い出したから
妻が承諾してくれました。

晴明神社とは、夢枕獏の小説で、映画化もされた「陰陽師」という作品で一躍
有名になった「安部晴明」が祀られている神社です。

2009年の1月……友人と一緒に京都を訪れた際、何となく立ち寄った場所
です。

私は「陰陽師」の小説を読んでもいないし、映画を観てもいないので、あまり
関心がなかったのですが、

星の形をした「晴明紋」に何となく魅せられて、

500円を出してお守りを買いました。

「絶対達成マインドのつくり方」を読まれた人はご存知かと思いますが、

4年近く前といえば、ようやく年間30回程度のセミナーが実施できるように
なってきた時期です。

プロ野球選手でたとえると、1軍に上がり、5、6試合は登板できるようにな
ってきたレベル。

セミナー講師として立つときは、慣れないせいで、まだまだ緊張した頃です。

私は財布に、この「晴明神社」で買ったお守りを入れていたので、緊張してい
るときは、たまにこのお守りを眺めて、

「大丈夫、大丈夫、俺は陰陽師のパワーをもらってるんだ」

と自分に言い聞かせていました。

(陰陽師が、どのような人物なのかも知らないくせに、です)

そのおかげなのか、どうなのかわかりませんが、今では人前で話すとき、緊張
することはほとんどありません。

陰陽師のパワーのおかげしょうか。

それから財布を2回、変えているのですが、そのたびにこのお守りを処分しよ
うと思ったのですが、なぜか捨てられず、

どこへ行くにしても常に持ち歩いてきました。

今回、たまたま「晴明神社」の近くに来たので、これまで4年近く持ち歩いて
いたお守りを返し、

また同じお守りを500円で買って、財布の中に入れました。

験を担ぐ(げんをかつぐ)、ということは、ほとんどしない性格なのですが、

何だか、とてもスッキリしました。