2012年11月5日

お金で「モチベーション」は上がるか?【アンダーマイニング効果】

● 今回のテクニック:【アンダーマイニング効果(2)】

内的動機づけ(モチベーション)に対して、報酬を与えるなど外的動機づけ
(インセンティブ)を行うことによって、反対に意欲が低くなる現象。

「過正当化効果」とも呼ぶ。

意欲的な活動をしている人物を評価し、金銭的報酬を与えると、かえって逆効
果になりやすい、などの例がある。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「私の部下が、これだけ一所懸命にやっているのに、待遇が変わらないと言
って、ぶつくさ言っています」


マネージャー :
「ほう」


部下 :
「ええ、そうなんです」


マネージャー :
「だから?」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「それを私に伝えに来たのか? もう遅いんだから帰りなさい」


部下 :
「え? いやいや……。ですから部下が、ぶつくさ言うもんですから」


マネージャー :
「だから、何だ? その件は聞いた。それ以上、何も言ってないだろ」


部下 :
「あ、ですから、不満があるようなんです」


マネージャー :
「わかった。君の部下がお給料に不満があるということなんだね? それを
私が知ればいいのかな?」


部下 :
「うーん……。と言いますか、できれば改善してもらえないか、と思って。
わ、私は別にいいんですけど、部下がそのように言うもんですから」


マネージャー :
「ハッキリしないな。君の態度は」


部下 :
「す、すみません」


マネージャー :
「部下が待遇に不満を持っている。だから改善して欲しい、と最初から言え
ばいいじゃないか。物事をハッキリ言わないと、とても効率が悪い」


部下 :
「申し訳ありません」


マネージャー :
「それで? どうして不満に思ってるの」


部下 :
「えっと……。どういうことでしょうか?」


マネージャー :
「不満の根拠を言わないと、ハイ、そうですかと私は言えないだろう? ど
うやってそんなことを人事部に私が伝えればいいんだ? 一所懸命にやって
る人間が報われるような人事制度にしてくれと、そんな言い方で相手は納得
するのか」


部下 :
「い、いいえ」


マネージャー :
「じゃあ、何だ」


部下 :
「そう、ですね……」


マネージャー :
「一所懸命やってるのに給料が少ない? 『一所懸命』というフレーズと、
『少ない』というフレーズに着目して、その論拠を指し示してくれ」


部下 :
「う……」


マネージャー :
「基準を明らかにしよう。何が一所懸命で、何と比較して少ないのか」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「君は今年から、被災地のボランティアへ行ってるそうだな」


部下 :
「はい。岩手の陸前高田に、ちょくちょく」


マネージャー :
「お金をもらってるのか?」


部下 :
「お金? とんでもないです! そんなもの、もらってません!」


マネージャー :
「だろうな。ボランティア保険も自分で払ってるんだろ」


部下 :
「そ、そりゃあそうです」


マネージャー :
「一所懸命やってるのか?」


部下 :
「……一所懸命かどうかはわかりませんが……。自分なりには、やってるつ
もりです」


マネージャー :
「君の部下から聞いてる」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「君の部下たちは、君を尊敬してるよ」


部下 :
「え」


マネージャー :
「君はお金と聞いて、『そんなもの』と言った」


部下 :
「……」


マネージャー :
「お金は貴重なものだ。被災地の皆さんにとっても、そうだろう」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「来月、北上市まで部下と行くそうじゃないか」


部下 :
「はい。……12月の岩手は、かなり厳しく、寒くなると思いますが」


マネージャー :
「なぜ、そこまでする?」


部下 :
「……わ、わかりません」


マネージャー :
「そうだよな。理由なんてない。一所懸命、何かに打ち込めるのはなぜか?
その理由なんて、わからないよ」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「でも、一所懸命やった後、未来の自分が教えてくれそうな気がしない
か?」


部下 :
「……未来の、自分が?」


マネージャー :
「そう」


部下 :
「……」


マネージャー :
「一所懸命、仕事をして結果を出したら、給料が増える。俺もそれでいいと
思う。でも、給料が増えないから一所懸命、仕事をしないという理由にはな
らないんじゃないか」


部下 :
「そ、そうですね……」


マネージャー :
「仕事とボランティアは同じじゃない。しかし、社会に貢献するという意味
合いでは同じだ」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「しかし会社からは『お金』という対価が支払われる。だから勘違いする人
もいるかもしれないが、原理は近い」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「とはいえ、お給料のことはデリケートな話なので、放置できない。君の部
下と面談してみるよ」



……目標達成に向けて頑張ってる人の評価をどうしたらいいか、という相談を
よく受けます。

私は、「達成に向けて頑張ってる」ときが、一番ドーパミンが出ている状態な
ので、その人は幸福なはず。

(たとえ幸福そうに見えなくても)

しかし、そこに別の報酬を与えることによって、

頭は混乱します。

目標を達成してしまうとドーパミンは出なくなるので、そこで報酬を与えたほ
うがいいのでは、と答えるようにしています。

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【編集後記】

11月2日に、拙作「絶対達成マインドのつくり方」が出版されました。

書籍キャンペーンが5日の夜中まで続き、

今は、まさに「宴の後」の状態。

アマゾン総合ランキング1位となり、

現在(11月5日8:00)、ドラゴンクエストの公式ガイドブックに抜かれ
て2位に落ちるまで、

3日間、首位を守りました。

キャンペーンに参加された方、そうでない方も、ご購入いただいた方に心より
感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

昨年、処女作で1位をとったあとと同じように、今はとにかく「謙虚」でいた
いなと考えています。

今週も土曜日まで、ほとんど余裕なく、動き回ることになります。

日曜日には、私にとって「生涯初のイベント」が待っていますので、それまで
は、体調を整えておきたいと思っています。

今週も、どうぞよろしくお願いいたします!