2013年2月14日

「量より質」という発想は、ほとんどキレイゴト【エレベーターピッチ】

● 今回のテクニック:【エレベーターピッチ(6)】

エレベーターピッチとは、起業家が、あるプロの投資家と偶然エレベーターに
乗り合わせた際、エレベーターが目的の階に着くまでのわずかな時間(数十秒
から1分以内)で、自身のビジネスプランの魅力、優位性を伝えられるか?
伝えられるか伝えられないかでビジネスの明暗を分ける、と言われたことに由
来するプレゼンテーションスキルの概念。

営業がお客様に商材のトピックを伝えるときはもちろんのこと、マネージャの、
部下に対するコミュニケーションにおいても同じことが言える。

短い時間でポイントを正しく伝えることの大切さをあらわしている。


───────────────────────────────────

● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「この会社に出向に来て、ものすごく違和感を覚えます。行動量を上げろ、
行動量を上げろと、やたらと言われるんです。いろんな人に……。それで、
正直申し上げて、量よりも質だと私は思ってるんですね。それはこれまでの
経験というか、前の会社でも言われていたことなんですが……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「前の会社の上司がですね、建設会社を経営していたことがあるんです。1
ヶ月の売上を2日か3日で達成してしまような上司だったんです。名前は私
と一字違いで……あ、それはいいんですけど」


マネージャー :
「……」


部下 :
「それでですね、なんかこう……。私の部下にも言われたんです。部下は量
よりも質ですよね、なんて。それで私はですね……」


マネージャー :
「君の部下?」


部下 :
「はい、私にも部下が2人いましたから」


マネージャー :
「さっき、前の会社の上司の話をしていたじゃないか」


部下 :
「ああ、その上司が量よりも質だと言ったんです。そうしたら私の部下がそ
うだろうなと言いはじめたんです。私もまったく同意見だな、とこう思いま
してですね」


マネージャー :
「……」


部下 :
「ですから、私もその会社にいるとき、質を向上させるよう、何とかがんば
って、そして、いろいろなことがあったわけですが、それなりにやれた、こ
ういう風に思うわけです」


マネージャー :
「もういい、もういい」


部下 :
「どうかされたんですか」


マネージャー :
「悪いけど、何を言ってるのかさっぱりわからない」


部下 :
「……え? ですから 私はなぜ量よりも質が大事なのかを伝えたいだけな
のです。この前だって私、お客様にこう言われましたよ。どこの会社でした
っけ。えーっと……先週、水曜日に課長に同行してもらった商社ってどこで
したか?」


マネージャー :
「そんなこと知らない。課長に聞きたまえ」


部下 :
「主任、いつもそんな風に言われますけれど、そういう言い方ですと、私た
ちもですね、こう、なんて言うか……。やりきれないというか」


マネージャー :
「もういい、もういい。君は話が長い!」


部下 :
「す、すみません」


マネージャー :
「結局、【質】とは何だ?」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「行動の【質】とは何だ? 行動量に対するリターンの確率ではないのか?
100回実行して、2回成功していた確率を上げ、成功回数を3回とか4回
にすることじゃないのか?」


部下 :
「え、まァ……そうですか。そうでしょうか、ね……」


マネージャー :
「前の会社で、君は質の向上を心がけて行動したようだが、目標は達成した
のか?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「成功率を上げることが目的じゃない。成功率に目を向けたら、行動量を減
らせばいい。理論上を、確率は増えるだろう?」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「成功率を上げて目標を達成させることができるのなら、それでいい。そう
でもないなら、適当に【質】を上げたいだなんて言うな」


部下 :
「す、すみません」


マネージャー :
「君は話が長い。君がお客様のところの滞在時間が長いのは、話が長いから
だ」


部下 :
「そうかもしれません……」


マネージャー :
「論点が長い話の中に埋没してしまって、聞いているほうは理解しにくい。
前にも話しただろう。エレベーターピッチを意識しろと」


部下 :
「ううう、私は話下手なので……」


マネージャー :
「話下手でも、目標は達成できる。俺の言うとおりにしろ。量だ。二度と【
質】だなんて言うな。質は結果だ」


部下 :
「質は……結果?」


マネージャー :
「場数を重ねることによって質がアップするんだよ。目の前の仕事から逃げ
てる奴ほど、『量より質だ』なんて言う。二度と言うな」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「俺は、質のことばかり言う奴が大っきらいだ。以上!」


部下 :
「わ、わかりました」



……「量」を徹底的に追求した概念『超・行動」が、日経BP社からムックと
なって3月4日に刊行されます。

全ページ、カラー写真やイラストで彩られていますし、私のインタビュー記事、
コンサルティング先の社長や営業さんたちへのいたビュー記事、それに予材管
理表の実物大付録も入っていたりと、

かなりインパクトのあるムックに仕上がっています。

正直なところ、

「売り込まなくても売れる」「お願いしなくても売れる」「こんなに簡単に売
れる」「ラクチンに売れる」「何もしなくても売れる」

といった、ふざけたキャッチコピーとは真逆のテイスト。

現在の「ラクして結果を出したい」という潮流に、真っ向から挑戦状を叩きつ
ける、『頭にハチマキ』的な作品となりました。

社内に寄生する「パラサイト営業」を表現した写真なども掲載されています。
コラムの内容をさらにソリッドにしたような、衝撃の一作となっています。

3月4日です。お楽しみに!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】

本日ご紹介した「エレベーターピッチ」は、とても大切な技術だと思っていま
す。

企業の営業さんならともかく、

自分で起業して、会社を経営している経営者の皆さんに、

「どんな会社ですか?」「どういうところが特徴ですか?」「どうやってお客
様を集めているのですか?」「どうやってマーケティングしていますか?」

と質問しても、

「まあ、どこにでもある会社ですよ」

「取り立てて特徴はありません。普通のデザイン会社です」

「お客様は紹介で来ますね。何か特別なことをやっているかというと……。ど
うなんでしょうね」

などと、答える人がほとんどです。

要約を1分ぐらいで、ビシッと答えられないのだろうか、と私は思ってしまい
ます。

ちなみに私なら、

「クライアントの行動量を爆発的に増やして現状維持バイアスを破壊し、高速
にPDCAサイクルをまわして目標を絶対達成させるコンサルティングをして
います。『絶対達成』とは、目標未達成で終わるリスクを回避することであり、
目標の2倍の材料を積み上げてマネジメントする『予材管理』などの手法をセ
ミナーや講演、書籍、コラムなどで紹介しています」

と答えるでしょう。

話すのに1分もかかりません。しかし、それだけで相手は

「ほほう」

と興味を示し、

「もう少し、詳しく聞かせてくれませんか」

と言ってくださいます。

何事も論点をまとめる練習が必要ですよね。