2013年3月28日

「情熱は、足りているか?」【アズ・イフ・フレーム】

● 今回のテクニック:【アズ・イフ・フレーム(15)】

アズ・イフ・フレームとは、「もし……だったとしたら、どのように……する
か」「もし……実現したら、どのような気持ちとなるか」等と質問をすること
により、相手がかけている色眼鏡(フレーム)をはずさせるテクニック。
(アウトフレーム)

相手の先入観/固定概念を打破するために有効な、魔法の言葉。

通常は、実現したい目標がかなっている「未来」までイメージの中で空間移動
し、そのシーンを十分に味わってもらってから、それまでの実現プロセスを語
ってもらう。そのことにより「ドツボ」にはまっているフレームから抜けやす
くなる。

ただ、言葉だけを使ってもうまくはいかない。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「ついに今年度も終わりですね。なんだか長かったです、今年度は」


マネージャー :
「ほう、今年度は長く感じたんだね」


部下 :
「はい。課長がいつも言っている『心理的時間』という奴ですね。今年度は
時間感覚がゆがみました。アッという間に過ぎた、という感じではなかった
です」


マネージャー :
「それで、今年度を振り返ってどうだ」


部下 :
「うーーん、やれることをすべてやったか、というとそうではないんですが、
自分のできる範囲ではやったかな、と思ってます」


マネージャー :
「ほう」


部下 :
「はい。結果はまだまだ出ていませんが」


マネージャー :
「自分のできる範囲でやった、か」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「それで恥ずかしくないか?」


部下 :
「え」


マネージャー :
「今年度の終わりに、そんなことを言ってて、恥ずかしくないか、と聞いた
んだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「どうして自分のできる範囲でしかやらなかった?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「今期の目標、7800万円に対して、君の実績は6900万円。達成率は
90%を下回った」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「何度も言うとおり、達成率はどうでもいい。0.01%でも目標を超えな
ければ意味がない。達成率は99%でもダメ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「今年度の命題は、新規の開拓だった。新規開拓の目標件数は10件。それ
に対する実績は6件だ」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「新規開拓の目標に対するアプローチ目標は月に50社。そのアプローチ目
標は毎月キチンと超えている」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「だから自分のできる範囲でやった、と言いたいんだろう」


部下 :
「そ、それは……」


マネージャー :
「しかし結果が出なかったのは事実だ」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「君はサッカーの本田選手の大ファンだったな」


部下 :
「あ、はい。同じ26歳ですし……。憧れています」


マネージャー :
「先日のNHKの特番、『プロフェッショナル 仕事の流儀』を観たか」


部下 :
「あ! はい。観ました。本田選手が出てて」


マネージャー :
「私も観た。派手な感じに見える本田選手が、どれほどの挫折を味わってき
ているかを知って……。正直、観ててキツかった」


部下 :
「そうですね。目立っているので華やかそうに見えますが、怪我が多く、挫
折の繰り返し。うまくいかないことばかりで、私も観てて辛かったです」


マネージャー :
「本田選手は、うまくいかない状況のときに、自分に問い掛ける言葉がある
と言っていた。覚えているか?」


部下 :
「あ……。何でしたっけ」


マネージャー :
「『情熱は、足りているか』、だ」


部下 :
「ああ! そうでした」


マネージャー :
「君は、情熱が、足りているか?」


部下 :
「……!」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「君の挫折って何だ?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「挫折って、味わったことがあるか? 君が思う挫折って何だ?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「今年度、どれぐらい修羅場をくぐった?」


部下 :
「う……」


マネージャー :
「思うようにいかなくて、悩んで悩んで、それでも……自分に勝とうとして、
歯を食いしばって会社に出てきて、何かをやり遂げた。そういう経験は、今
年度、どれぐらいあった? 何度、体験した?」


部下 :
「……んん」


マネージャー :
「そういうのは嫌か? ツライのは嫌か? 毎日、いま現時点で好きな仕事
を、好きな分だけ、好きな人とだけ、やりたいと思っているのか?」


部下 :
「いや、そういうわけじゃ……」


マネージャー :
「もう一度聞く、情熱は、足りているか?」


部下 :
「……た、足りていません」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「自分の主観でいい」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「もしも、もしも、君が、自分の情熱が足りている、と思うような状態にな
ったとき、君はどんな気分になる?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「どうだ」


部下 :
「幸せな……。幸せな、気分になります」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「じゃあ、幸せになれよ」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「……」



……今年度最後のメルマガは、ロジカルなノウハウではなく、熱い精神論を書
いてみました。

先日のメルマガで紹介した、トップセールスにインタビューをし続けている
水田と、一昨日の夜、語り合いました。

結果を出す人は共通していて、結果を出せない人も共通しているのです。

ロジカルな「理論」だけでは、絶対に目標は達成できません。

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【編集後記】

先日のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 本田圭佑スペシャル」を観
ていて、

「自分に克つ」

というキーワードが何度か出てきて、考えさせられました。

論理的に、「自分に克つ」ということはどういうことか?

自分なりに考えると、

面倒くさい、ツラい、キツい、ダルい、そんなことやっても、必ずしもうまく
いくとは限らない……などといった、自分の中にある「負の感情」を正しく制
御し、それでも、やったほうが良いだろうと判断したことを実践する。

このようなことかな、と思いました。

先日、「テラモーターズ」の社長、徳重徹さんと東京で飲みに行きました。

「テラモーターズ」は電動バイクの会社です。

設立からたった2年で年間約3000台を販売し、ホンダやヤマハを押しのけ
て、国内のリーディングカンパニーに躍り出た、という注目のベンチャー企業。

世界で注目されています。

徳重社長が私の「絶対達成する部下の育て方」の愛読者であることがきっかけ
でお会いすることになったのですが、

久しぶりに、骨太の「情熱家」にお会いしたということもあり、話がはずみま
した。

しかしながら、

私は翌日、朝早く起きて、ホテル周辺を5〜6キロはランニングする。そのた
めにこの日、夜10時半には就寝する、と決めていました。

徳重社長と話が盛り上がっている最中でしたが、

時計を確認し、10時目前のところで、

「先日お伝えしたとおり、10時で失礼させてください。申し訳ありませんが、
毎日のようにある講演をこなすたまには、体力づくりが欠かせないのです。プ
ロである以上、妥協できません」

このようにお伝えしたところ、

「そうは言わずに、せっかくですから、もうちょっといいじゃないですか!」

などと徳重社長は言わず、

「わかりました! 明日の講演がんばってください。またお会いしましょう」

と、私のワガママを聞いてくださいました。

私はそのバーを辞したあと、すぐにホテルへ戻り、そのままベッドイン。

徳重社長と話したことを反芻していると、体が火照ってくるのですぐにクール
ダウンしようと努めました。

そして見事、10時半に就寝できたとき、

「自分に克った!」

と思ったのです。

いろいろな誘惑がありましたが、その誘惑をリストアップして眺め始めたらキ
リがありません。

すべてシャットアウトして、未来のために今できることをやる。

たかが「夜早く寝る」というだけのことですが、この積み重ねが重要かな、と
思っています。

小さなことでも感情のコントロールができないと、大きな決断をするときにも
「自分に克つ」ことなど、できないですからね。