2013年5月12日

リーダーシップのレベル「3段階」とは?【ウィンザー効果】

● 今回のテクニック:【ウィンザー効果(4)】

ウィンザー効果とは、第三者を介した情報、噂話のほうが、直接言われるより
も効果が大きくなるという心理効果。

ミステリー小説「伯爵夫人はスパイ」に登場してくるウィンザー伯爵夫人が
『第三者の誉め言葉が、どんな時にも一番効果があるのよ、忘れないでね』と
言ったのが由来とされている。

相手を承認したり、褒め称えたりするときに活用すると効果的である。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「突然、前任のリーダーが転勤になったので、私がグループリーダーとなり、
浜松支店からやってきました。よろしくお願いします」


マネージャー :
「うん。よろしく」


部下 :
「課長のお噂は聞いています」


マネージャー :
「『ノイキャン課長』ってか? 私の課に来てもらったら、必ずノイズキャ
ンセリングしてもらう」


部下 :
「私は仕事中に、ネットを見ることはほとんどありません。それにスマート
フォンも持ってませんし、無駄なノイズに触れることは少ないと思います」


マネージャー :
「外部からのノイズに触れ続けていると、あーでもない、こーでもないと、
優柔不断に悩むことが増える。それによって行動のスピード感がなくなって
いく」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「君は意思決定スピードがとても速い、と聞いた」


部下 :
「え、そうですか?」


マネージャー :
「浜松の次長がそう言っていた。全国に先駆けて、営業の『ペア制』を導入
し、1日50枚の販促チラシを配布したという話は有名だ」


部下 :
「1ヶ月に2日だけ、ペアで50件、チラシを持たせて訪問させるようにし
たんです」


マネージャー :
「かなり反対されただろ?」


部下 :
「そりゃ……。部下からはブーイングの嵐でした。そんなことをしたら既存
のお客様の対応がおろそかになる、とか。クレームが増えるんじゃないか、
とか」


マネージャー :
「リスク過敏バイアスだ」


部下 :
「え……。リスク、過敏?」


マネージャー :
「そう。決断力のない人間は、新しいことをするとき、過剰にリスクをとら
えようとする」


部下 :
「ああ、確かに。やらない理由って『万が一のことがあったら……』とか
『もしも、……になったら大変なことになる』なんて言いますよね」


マネージャー :
「どう反論した?」


部下 :
「私が責任をとる、と言いました」


マネジャー :
「そうしたら?」


部下 :
「私よりも年上の部下から、『本当に責任がとれるのか?』と詰め寄られた
ので、本部長にその場で電話をし、了承を得てもらいました」


マネジャー :
「さすがだ」


部下 :
「課長だったら、どう言い返しますか?」


マネジャー :
「期限内に、目標を達成できないリスクよりも大きなリスクなど、ない」


部下 :
「……!」


マネジャー :
「俺なら、こう答える」


部下 :
「……おお。インパクトありますね」


マネージャー :
「目標未達成リスク以上に、大きなリスクを考え始めたら何も決められない
人間になってしまう。決断力のないリーダーは、人間として信頼もされ
ない」


部下 :
「人から信頼されなくなるリスクって、途方もなく大きいですね」


マネージャー :
「そのとおり」


部下 :
「課長は、リーダーには3種類のレベルがある、と言っているそうですね」


マネージャー :
「ああ。決断力は最低限のレベルだ。決断しなければ、何も始まらないだろ。
だからレベル1」


部下 :
「レベル2は?」


マネージャー :
「やり切ることだ。決断したことをやり切ること」


部下 :
「ああ」


マネージャー :
「そしてレベル3は、『執着心』」


部下 :
「執着心……」


マネージャー :
「まずは何をやるか、リーダーとして意思決定することだ。そして決めたこ
とをブレずにやり切る。しかしやり切ったとしても、期待したどおりの結果
が出るとは限らない」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「だから、結果が出るまで創意工夫し、粘り強く行動することだ。こういう
姿勢を『執着心がある』と言うわけだ」


部下 :
「レベル3は執着心……」


マネージャー :
「君は意思決定スピードがとても速いと聞いている。その潔さは立派だ。し
かし、昨年、98%の達成率で終わっている」


部下 :
「そ、そうですが、その前の年は達成率87%だったのです。それを1年で
98%まで押し上げて……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「う」


マネージャー :
「それで、満足か?」


部下 :
「いや……、一昨年よりも、かなり成果がアップしたので、途中で満足して
しまったのかもしれません」


マネージャー :
「俺の下でグループリーダーをするからには、100%は絶対に超えてもら
う。過去との相対比較じゃない」


部下 :
「わかりました」



……「決断力」はリーダーにとって最低限の資質です。

決断できないリーダーは、リーダーとしての信頼を失うという大きなリスクを
抱えています。

「リスク過敏バイアス」をはじめ、決断力を失わせる「直感トラップ」を理解
しましょう。

5月31日発売の「絶対達成する決断力のつけ方」で、詳細を記述しました。

ところで、

「執着心」についてコラムを書いています。自分で書いたコラムで、これほど
納得できた文章は他にありません。

ご参考まで。


◆ 「執着心」とは何か? ……ロジカルに「執着心」を考えてみる
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20130511-00024881/

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【編集後記】

Yahoo!のコラムで、

「心構え」や「精神論」をロジカルに表現するとどうなるのか?

について少しずつ書き続けています。

私の頭を整理するうえでも、これはひとつの挑戦です。

これまで、

「謙虚さ」

「気合と根性」

「情熱」

「やらされ感」

「本気」

「褒める」

そして、

「執着心」

といったテーマについて書いてきました。

前述したとおり、今回書いた「執着心」が、私のコンサルティング先でも、そ
して私自身にも、もっと必要としていることではないかと、書いていて気付か
されました。

経営コンサルタントはどうしても「頭でっかち」になりがちです。

しかし、それだけではダメ。

理論もメソッドも必要ですが、最後はマインドです。「執着心」です。

「プロセス至上主義」に陥ってはいけませんね。


◆ 横山信弘のコラム「草創花伝(そうそうかでん)」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/


※これまで最もアクセスが多かったのは、やはり『気合と根性』のコラムです。