2013年6月6日

本田選手はなぜPKを決めることができたのか?【ピア・プレッシャー】

● 今回のテクニック:【ピア・プレッシャー(9)】

ピア・プレッシャーとは、人間は通常、同じ組織内の仲間に認められたい、疎
外感を味わいたくないと考え、仲間のあいだで自分がどのように見られている
かを気にする傾向がある。

そのせいで、仲間や社会と同じ考えでなければならないという圧力(プレッシ
ャー)を常日頃から感じているものだ。

これをピア・プレッシャーと言う。

特に「和」を尊ぶ日本人に対しては、このピア・プレッシャーは強力と言えよ
う。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「社長が今期の目標を10億と言っていたけれど、とてもじゃないが無理だと
思う。現場を知らない社長だから仕方がないが」


営業マンA :
「……」


マネージャー :
「達成できないような目標を立ててもしょうがない。俺としてはできても9億
だと思うが、君たちはどう思う?」


営業マンA :
「ええっと……。ちょっと、意味がわからないんですが」


マネージャー :
「何が?」


営業マンA :
「支店長、その言い方は、何か意図があるんですか?」


マネージャー :
「意図って、どういうことだ」


営業マンA :
「だって、目標は目標ですから、達成できないなどと最初から言うのはおかし
いと思ったので」


マネージャー :
「え? いや……。去年までの実績を見たら9億も達成できてないじゃないか。
我々を取り巻く環境は厳しさを増している。社長が言う10億なんて、とても
できない」


営業マンB :
「私もAさんと同じように、意味わからないんですが、支店長って4月にこの
支店に来たばかりじゃないですか。どうしてそんなことがわかるんですか?」


マネージャー :
「去年までの実績を見れば一目瞭然だ」


営業マンB :
「え?」


営業マンC :
「すみません。私も意味がわかりません」


営業マンB :
「前の支店でも、そのように言われてやってたんですか?」


マネジャー :
「前の支店でも、ものすごく厳しいノルマだった。当社は目標の立て方がおか
しいんだ。社長が現場を知らないから」


営業マンC :
「……」


営業マンA :
「うーん……」


営業マンB :
「あのォ、『ミラーニューロン』ってご存知ですか?」


マネージャー :
「は? みら……?」


営業マンC :
「脳の神経細胞です。周囲の行動や考え方が、知らず知らずのうちに伝染して
【鏡】のような反応をするんです」


営業マンA :
「緊張する人の近くにいくと、緊張するもんな」


営業マンB :
「運の悪い人と一緒にいると、自分も運が悪くなる。脳が周囲の真似をしてし
まう原理だよね」


マネジャー :
「ほう……」


営業マンC :
「課長、サッカー日本代表の試合、観てましたか?」


マネジャー :
「ワールドカップ出場を決めた試合か? 最後のほうだけ観た」


営業マンC :
「じゃあ、本田選手がPKを決めた瞬間を観てたんですね」


マネジャー :
「そうそう! 見逃さなくてよかった。本当に凄いな、本田選手は。あの場面
であのPKを決めるなんて、どんな心臓をしてるんだと思った」


営業マンC :
「『ミラーニューロン』ですよ」


マネジャー :
「はァ?」


営業マンB :
「俺もそう思った」


営業マンA :
「本田選手なら絶対に決める、とチームメイトは誰もが確信していただろうし、
6万人以上のサポーターも心の底から思っていた」


営業マンB :
「テレビ観戦している、日本全国の人のほとんどがそう思ったんじゃないか」


営業マンC :
「本田選手なら絶対にゴールを決めてくれる、と」


マネジャー :
「……そりゃ」


営業マンA :
「失敗するんじゃないかと、1割でも2割の人が疑ったら、その思いは通じし
てしまう」


マネジャー :
「むゥ……」


営業マンB :
「負け続けるチームって言うのは、チーム内でも、サポーターにも、『また負
けるんじゃないか』『今日も勝てないんじゃないか』と疑っている人が何人か
いるものです」


営業マンC :
「だから伝わっちゃうんだよな。お互いが影響を与え合ってしまう」


営業マンA :
「ですから支店長、過去の実績なんていいじゃないですか。過去のことはキチ
ンと踏まえて改善します。今期は絶対達成しましょう」


マネジャー :
「し、しかし、そんなこと言って、10億の目標を達成しなかったら……」


営業マンB :
「達成しなかったらどうなるんですか?」


マネジャー :
「え」


営業マンB :
「絶対達成する、と言いながら達成しなかったら恥ずかしいんですか?」


営業マンC :
「俺は、目標が高すぎるから達成できない、と言うほうが恥ずかしい」


営業マンA :
「そうだな。絶対にできると、支店全員が思いながら毎日を過ごすことが大事
だと思う」


営業マンC :
「あと3分、というアディショナルタイムの中で、しかもあれほどの大観衆の
前でペナルティーキックを決めるという、極限状態でもない。俺たちには1年
間も時間があって、その中で目標を達成させればいい」


営業マンA :
「本田選手のあのPKを見て、『去年よりも目標が高くなってるから達成でき
ません』なんて言えるわけがない」


営業マンB :
「それを言った瞬間に、この支店全体の雰囲気が悪くなる」


営業マンC :
「ミラーニューロンか……。やっぱそうだよなァ」


マネジャー :
「君たちがそのような気持ちで臨んでくれるんだったら、いいんだよ。うん、
いや……その……。うん、とにかく達成させよう。わかった……」



……私はセミナー中、「目標は絶対達成する!」と凄まじい形相で語ったりし
ます。

昨日も大阪で150名超の皆さんに、激しい講演をしてきました。

受講者の力を借りて話すから、私の講演には熱が入ります。『ミラーニューロ
ン』です。

2013年になってから、本当にセミナー受講者の方々の熱をいただいていま
す。私が皆さんに乗せられているのです。

皆さんの脳の中にある「情熱」が、鏡のように反射して私を燃えさせるからだ
と思います。

目標達成を「あたりまえ化」したい方は、たまに講演やセミナーに来てくださ
いね。

極端な話、私の話はどうでもよく、

会場に、絶対達成をあたりまえに思っている人が多数いて、その熱情を頭から
浴びることが大事だと思うからです。

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【編集後記】

皆さん、「ニッチロー」という芸人をご存知ですか?

イチロー選手のモノマネをする芸人さんで、先日テレビで初めて観ました。

打撃フォームや、守備の時のボールの処理の仕方など、とってもよく似ている
のです。

表情や仕草も、本人じゃないか? と思うぐらい似ています。

ちなみに……

ウソだと思うかもしれませんが、実は私のモノマネをする方がいます。京都に
いる人事コンサルタントの方です。

私は残念ながら拝見したことがない(ご本人が私の前でやってくれないので)
のですが、かなり似ているようで、周囲の方々が、それを見て爆笑するようで
す。

横山の講演のモノマネをして「爆笑する」って——。

なんだか複雑な気分ですが、でも凄く光栄でもあります。

そんなに特徴的な話し方をしているかな、と思うのですが、自分のことはわか
らないものですね。