2013年7月5日

意味を成さない質問が多すぎる【エレン・ランガーの循環論法】

● 今回のテクニック:【エレン・ランガーの循環論法(6)】

「それらしき理由」がある場合、人は説得されやすくなる。これを証明したの
がエレン・ランガーであり、エレン・ランガーの循環論法とも言う。

循環論法とは、結論の真理が前提の真理に依存し、その前提の真理はそのまた
前提の真理に依存する……。というように、AだからBであり、BなのはCだ
からであり、CなのはAだからである……というように、論拠がぐるぐる循環
していること。

思い込みが思い込みを呼び、頭をどんなにひねっても、その思い込みの根拠が
別の思い込みによって証明される場合、解決しようがない。

ここで紹介するランガーの循環論法は、少し乱暴な説得技術のように聞こえる
が、人間は説得される「理由/証明」を探しているのかもしれない。

「コピーをとらせてもらえませんか?」

と聞くと60%の承諾率だが、

「コピーをとらないといけないので、コピーをとらせてもらえませんか?」

と質問すると承諾率は93%に跳ね上がる。「理由」になっていなくても、
「それらしき理由」があれば、人は説得されやすくなる。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「部長、今度の方針発表会のあと、質疑応答の時間をつくりたいと思います
が、どれぐらいがいいでしょう? 30分ぐらいですか」


マネージャー :
「質疑応答なんて必要ない」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「だいたい、質疑応答の時間をつくる理由はなんだ? その論拠は?」


部下 :
「はい。今回、部長が発表される部内方針は、けっこうハードルが高いもの
だと思います。ですから、みんなの腹に落とさせるには、質疑応答の時間が
あったほうがいいと思ったのです」


マネージャー :
「それでは、論拠になってない」


部下 :
「え」


マネージャー :
「だいたい、誰がハードルが高いと言った?」


部下 :
「ハードルは高いですよ。新規事業の営業利益を5億まで引き上げるという
方針じゃないですか。昨年まで2年連続で赤字の事業です。かなりハードル
が高いですよ」


マネージャー :
「前から言おうと思っていたけど、君はコミュニケーション力が低いな。私
の質問にまず答えろ」


部下 :
「えっと……」


マネージャー :
「私の質問を忘れたのか?」


部下 :
「ええ……。誰が、ハードルが高いと言った、でしたっけ?」


マネージャー :
「そう」


部下 :
「いや、その……。誰が、ということではなくてですね。誰だってそう思い
ますよ」


マネージャー :
「私の質問に答えられないなら、君の要望も聞かない」


部下 :
「ちょ、ちょっと待ってください。それでは、部員にアンケートをとってみ
ます。今回の方針はハードルが高いか、低いか、と……」


マネジャー :
「君はバカか? 自分が言ったことを証明したいがためにアンケートをとる
のか? ハードルが高いと聞かれたら『ハードルは高いです』と答えるだろ
う。なぜかわかるか?」


部下 :
「あ、いえ……」


マネジャー :
「ハードルが高いですか、と質問されたからだ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「意味がわかるか? 相手にネガティブな言葉を出させることによって、思
考もネガティブになっていくし、逆もしかり」


部下 :
「じゃあ、ポジティブな言葉を出させればいいと……」


マネジャー :
「もちろんそうだが、そういう雰囲気でなければ、あえて何もしなくていい。
本当は必要のない言葉を出すことで、思考がねじれていく」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君はね、難しく考えすぎだ」


部下 :
「そ、そうでしょうか?」


マネジャー :
「言うじゃないか。頭が悪い人は、シンプルなものを複雑にとらえ、頭が良
い人は、複雑なものをシンプルにとらえるって……」


部下 :
「うーーーん。私はどうしても、複雑に考えてしまいます……」


マネジャー :
「質疑応答の時間をとったって、誰からも質問は出ない。だから司会者の君
がいつも煽るじゃないか。『この際だから部長に質問してください』って」


部下 :
「ああ、確かにそうですね」


マネジャー :
「すると出てくる質問は適当なものばかりだ」


部下 :
「そうでしょうか?」


マネジャー :
「『それではあえて質問しますが、その5億円の根拠は何ですか?』『それ
ではあえて聞きますが、どうして営業利益にこだわるのでしょうか?』とか
だろ」


部下 :
「ええ、そうでしょうねェ」


マネジャー :
「すぐに想像できるわ! そういった質問のほとんどはすでに、こちらから
伝えてあるものばかり。私が『先ほども言ったとおり、なぜ営業利益5億円
かというと……』と、また私は同じ説明をすることになる」


部下 :
「……」


マネジャー :
「形式上の質疑応答なんて要らない。『あえて質問させていただくと……』
と、無理やり作った質問はろくなものがない」


部下 :
「しかし、質問も受け付けないのだと腹に落ちないんじゃないかと」


マネジャー :
「だから君は難しく考えすぎだって。なぜこれをやらなくてはならないの
か? その理由はどこにあるのか? それは行動してはじめてわかるもの
だ」


部下 :
「そ、そう言われると、そうかもしれませんが」


マネジャー :
「私たちが本当にバカな意思決定をしている、というのならともかく、そう
ではない。まずは動き出さないと、正しい質問も出てこないものなんだ。質
問を受け付けていると、相手をよけいに悩ませるだけ」



……人が意思決定する、決断するのに、「正しい理由」が必要なのではなくて、
「理由らしからぬ理由」でもいいのです。

そのことは「絶対達成する決断力のつけ方」に書きました。

ところで、

どうしても難しく考えてしまいがちな人は、難しく考えなくても決断できるよ
うになる研修プログラムがあります。

口コミで広がっているので、案内をしなくてもすぐに満員となる人気セミナー
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【編集後記】

バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを複雑に考える。
賢い奴は複雑なことを単純に考える。

私は稲盛和夫さんのこの名言が大好きです。

シンプルなことなのに、難しく考える人が多すぎます。

本当は簡単なことなのに、難しく考えて、「……がないとわからない」「……
といった経験がないのでうまくいかない」「……さんだからできるのであって、
私なんかとてもとても」と、ついつい言ってしまいます。

たとえば私が、これから構造力学の勉強をしようとしたら「難しい」と思うで
しょう。

しかし葛藤はありません。誰がやっても、最初は難しいだろうということを知
っているし、難しいことをやるのだという覚悟も決まっていますから。

反対に、単純なことを難しく考えている人は葛藤があるはずです。本当は難し
くないことだと、心の片隅で理解しているからです。

何かあると、すぐ「難しいなぁ……」と口にする人がいます。

この口癖はやめたいですね。

何かをするのに「理由」は必要ですが、「クオリティの高い理由」は要らない
のです。

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