2013年7月30日

部下と口をきかなくなる上司の心理【好意の返報性】

● 今回のテクニック:【好意の返報性(9)】

好意の返報性とは、人は好意を受けられると、それを返したくなるという習性
のことで、ミラーリング効果ともいう。

相手とコミュニケーションをする際も、好意をもって接するのと、そうでない
のとでは相手の反応も異なる。特に信頼関係(ラポール)が崩れてきたときに
は、「きっと……に違いない」と思い込み、決め付けたような悪意ある物言い
をしてしまうものである。

ニューロロジカルレベルの概念を意識し、どんな相手であろうと、その「アイ
デンティティ」や「価値観」には好意を持ち(承認し)、相手のとった「行
動」にこそフィードバックしたいものだ。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「君は最近、K君と口をきいてないらしいじゃないか」


部下 :
「あ」


マネージャー :
「みんなが心配してる」


部下 :
「はい……」


マネージャー :
「もう1ヶ月ぐらい、話をしてないそうだな」


部下 :
「まァ、はい」


マネージャー :
「どんな理由であれ、ダメだ」


部下 :
「私の話を聞いてもらえませんか」


マネージャー :
「聞かない」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「え? じゃないよ。聞かない」


部下 :
「ちょっと待ってください。上司として部下の話には耳を傾けたほうがいい
んじゃないですか?」


マネージャー :
「わかった。じゃあ、聞こう」


部下 :
「は? ……そうなんですか? じゃ、じゃあ、言いますけど、私がK君と
口をきかなくなったのは、彼があまりに仕事の期限を守らないものですから」


マネージャー :
「よそう」


部下 :
「は?」


マネージャー :
「やはり聞かない」


部下 :
「ど、どうしてですか」


マネージャー :
「君はK君そのものに嫌悪している」


部下 :
「……」


マネージャー :
「K君のアイデンティティに意識をフォーカスしてはならない」


部下 :
「それじゃ」


マネージャー :
「K君の行動にフィードバックしたまえ。相手のアイデンティティを否定し
てはダメだ。K君の価値観や能力、そして行動すべてが気に入らなくなる。
それこそK君が何をしてもすべてが気に食わなくなる」


部下 :
「確かに……」


マネージャー :
「K君そのものには好意をもって接しろ。相手自身を嫌えば、自分も嫌われ
る。返報性の法則だ」


部下 :
「それじゃあ、私にK君を好きになれと言いたいのですか?」


マネージャー :
「君が憎むべきはK君のとった行動であり、K君そのものじゃない」


部下 :
「しかし、K君の行動は、K君そのものがさせているとも考えられません
か?」


マネージャー :
「考えられない」


部下 :
「ええっ!」


マネージャー :
「脳のプログラムは、過去の偶発的な体験のインパクトと回数によってでき
ている。本人の意図した体験は少ない」


部下 :
「……」


マネージャー :
「その思考プログラムを変えるためには、未来における意図した体験のイン
パクトと回数だ。その体験をさせてやるのが君の務めだ」


部下 :
「うーん……」


マネージャー :
「私たちは産まれた後、いろいろな偶発的な体験で思考プログラムができて
いる。それを変えるのは周囲の人間だ」


部下 :
「しつけ、って奴ですか」


マネージャー :
「そう。この前の東アジアカップで大活躍した柿谷選手も、いろいろな記事
を読むと、昔は素行が悪かったそうじゃないか」


部下 :
「ええ。小さな頃から『天才』と呼ばれていても、挫折を味わっているんで
すね」


マネージャー :
「柿谷選手の周りに、彼のことが気に食わないからといって、口をきかない
大人ばかりだったら、彼はどうなっていたと思う?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「部下が気に食わないからといって、口をきかなくなるだなんて言語道断だ。
もっとぶつかっていけよ。それが相手に対する優しさじゃないか」



……人間の5階層の意識レベルを表現した体系を「ニューロロジカルレベル」
と呼び、

「アイデンティティ」「価値観」「能力」「行動」「環境」の5階層がどのよ
うに相互連携しているかわかりやすく説明しています。

「ニューロロジカルレベル」のことは「絶対達成する決断力のつけ方」に書か
れています。

「アイデンティティ」は肯定しても否定してもインパクトが強くなり、「決
断」にもおおいに関わってきます。


■「絶対達成する決断力のつけ方」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478023980/attaxsales-22/ref=nosim


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【編集後記】

先日のメルマガに書いたコラム、

仕事を「先送り」せず、すぐやる習慣を身に着ける考え方

は、とても反響がありました。

ただ、本メルマガの読者にはよくても、ツイッターやフェイスブックで拡散さ
れると、さまざまな反応が出てくるようです。

「絶対達成マインドのつくり方」の編集者が私に言ったとおり、やはりちょっ
と「厳しい」内容なのかもしれません。

私は決して厳しいとは思わないのですが、それが世間一般の受け止め方である
と知ることは重要なことだと思います。

● 仕事を「先送り」せず、すぐやる習慣を身に着ける考え方
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20130725-00026735