2013年8月12日

マネジャーは少しぐらい「理不尽」でいい【アンダーマイニング効果】

● 今回のテクニック:【アンダーマイニング効果(4)】

内的動機づけ(モチベーション)に対して、報酬を与えるなど外的動機づけ
(インセンティブ)を行うことによって、反対に意欲が低くなる現象。

「過正当化効果」とも呼ぶ。

意欲的な活動をしている人物を評価し、金銭的報酬を与えると、かえって逆効
果になりやすい、などの例がある。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「毎日暑いんで、頭おかしくなったのか」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「先週もらったメールだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「忘れたのか? 処遇に不満があるからモチベーションが上がらないと書い
てあった」


部下 :
「あ……はい」


マネージャー :
「モチベーションなんて下げてろよ。俺の知ったことか」


部下 :
「課長……」


マネージャー :
「くだらないモチベーションなんて、お前というコップの中に沈殿させとけ。
それでも結果は出せや」


部下 :
「相変わらずヒドいこと言いますね」


マネージャー :
「おいおいおい! どっちがヒドいんだ? 笑わせんな。俺が先月渡した資
料は顧客に配布したのか?」


部下 :
「し、しました」


マネージャー :
「自分で宣言した配布枚数は覚えてんのか」


部下 :
「えっと……」


マネージャー :
「お前が言うモチベーションとやらが上がらないと、自分が宣言した枚数も
覚えられないか?」


部下 :
「ええと……。100枚ぐらいだったか、と」


マネージャー :
「300枚だよっ」


部下 :
「す、すみません」


マネージャー :
「他の営業が全員1000枚は配布すると言っているのに、お・ま・え・
だ・け・が300枚だと言ったんだ」


部下 :
「そうでしたっけ」


マネージャー :
「証人呼ぼうか? 5人はいるぞ」


部下 :
「いえいえ、いいです」


マネージャー :
「ところが、だ。いろいろと忙しいとか言って、結局ほとんどやらず今にい
たっている。今回の資料は9月初旬のイベント案内だから、どうしてもお盆
休みの前に配布し終わらないといけない」


部下 :
「……そ、そうでした」


マネージャー :
「見るに見かねて、他の営業5人でお前の分も配布した」


部下 :
「申し訳ありません」


マネージャー :
「それで、あのメールだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「処遇が悪いからモチベーションが上がらないだと?」


部下 :
「……いや、あの、その」


マネージャー :
「君は主任だろ。なんで主任かというと、生え抜きだからだ。ただ、それだ
けの理由」


部下 :
「は、はっきり言いますね……」


マネージャー :
「他の営業は全員、中途採用だからお前よりけっこう給料少ない」


部下 :
「……」


マネージャー :
「お前が怠慢だから、他の営業5人が尻拭いばかりやらされてる。部長がそ
こで、特別手当を出そうと提案したら、全員が要らないと言った」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「どうしてだと思う?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「モチベーションが下がるからだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「お前は処遇が悪いと言ったけれど、『悪い』という表現は何かと比較した
うえでの考察だろ? 何と比較した?」


部下 :
「ええと……」


マネージャー :
「自分が描いたライフプランとの比較か? それとも大学時代の同級生の給
料と比較したのか? 同期入社の社員の給料と比較したのか?」


部下 :
「いや、その……」


マネージャー :
「適当だろ? あ? 仕事も適当。自分の処遇に対する評価も適当。モチ
ベーションという意味もよくわからず適当に使ってる」


部下 :
「……」


マネージャー :
「どうだ? 違うって言うんか、コラ」


部下 :
「ちょ、ちょっと。キ、キツすぎます」


マネージャー :
「適当に生きて、適当に仕事して、適当に息吸って、適当にヘラヘラ笑って
んだろ毎日。適当にモチベーション落として、適当なメール書いて、適当に
グチ垂れてろや、コラ」


部下 :
「ちょーーっと待ってください。マジで、やめましょう。この辺りで」


マネージャー :
「適当なこと言ってじゃねーよ! いい気になりやがって。オモテん出ろ、
コラァ」


部下 :
「ここまで言えませんって! いくらなんでもここまで理不尽にはなれない。
これは手本にならないです」


マネージャー :
「……はァ?」


部下 :
「やりすぎでしょう、いくらなんでも」


マネージャー :
「……。それぐらい言ってやれ」


部下 :
「今のは完全にパワハラです!」


マネージャー :
「パワハラかなァ」


部下 :
「目がマジだったじゃないですか。後半の怒声、激しすぎますよ」


マネージャー :
「それぐらいやったれって」


部下 :
「冗談でしょ……」


マネージャー :
「君が、『処遇が悪いからモチベーション落ちます』というメールを部下か
らもらった。だからどうしたらいいか、と言うもんだから」


部下 :
「迫真の演技でしたね」


マネージャー :
「これぐらい理不尽でいいんだ。マネジャーは」


部下 :
「理不尽すぎるのもダメです」



……「絶対達成する部下の育て方」に、マネジャーは少しぐらい理不尽でいい、
と書きました。

たまに言ってることが前と違っても、部下に厳しく言う割には自分に甘いとこ
ろがあってもいい。

すべて部下の手本であるべきだ、というのは理想論であり、キレイゴト。

自分ができないから、部下にもやらせることができないと公言する管理者は、
本当の「優しさ」が足りなさ過ぎます。


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【編集後記】

今日は多くの方が「夏休み」に入っているでしょうから、このメルマガを読む
人もそう多くはないでしょう。

ですから、ちょっと好きなこと書きます。(いつもそうですが)

最近、また「ハングリー精神」がメラメラ沸き立ってくるのがわかります。

なんだかとてもノスタルジーな気分なんですよね。「未完成」で「世間知ら
ず」で「空威張り」で「ギラギラ感」いっぱいだった頃を懐かしんでばかりい
ます。

随分昔からこのメルマガをとってくださっている方はご存知でしょうが、

昔、私はこのメルマガ編集後記に、よく私の貧乏話を書きました。

いま読み返すと、中学時代に酔った父親から顔を踏みつけられた話とか、メル
マガの編集後記によく書いたもんだ、と思います。

未熟な人間性を、意図的に前面に出すつもりはないですが、

押さえようと思っても、なかなか押さえられないものがあれば、今後も正直に
出してしまうことがあるだろうな、と思います。

なんか意味不明の「反骨心」みたいなものが残ってるんですよね。

自分で、自分自身を、危なっかしいな、とは思うのですが。