2013年8月19日

問題解決は「登場人物」を軸に思考をスタートさせる【オープンエンドクエスチョン】

● 今回のテクニック:【オープンエンドクエスチョン(23)】

オープンエンドクエスチョンとは、イエス・バット法と同様にコミュニケーシ
ョンテクニックとしては代表的な手法。「4W2H」もしくは「5W1H」等
の疑問詞を駆使し、質問していくことで相手の心の中に潜む問題点や潜在的ニ
ーズを探り当てること。

「イエス/ノー」で答えられる質問は極力避けることが重要である。クローズ
ドクエスチョンとは反意語。

オープンクエスチョンはヒアリングの基本であるが、ペーシングなどの技術を
活用しながら質問を続けないと「尋問」のようになってしまいがちであり、注
意したい。


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● 今回のコミュニケーション例


小清水 :
「桐沢マネジャー、現場から面白いものが検出されました」


桐沢マネジャー :
「小清水君、『面白い』という表現をするな。『面白い』などという事件、
いや、案件はない」


小清水 :
「申し訳ありません。こちらを見てください」


桐沢マネジャー :
「スマホか。君はしょっちゅう新しい機種に変える」


小清水 :
「スマホに写っている写真を見てもらえませんか。昨夜の商談中に隠し撮り
したものです。BBB商事の高松部長の手元にホラ、あります」


桐沢マネジャー :
「競合他社のパンフレット」


小清水 :
「はい。彼ら、当社の提案内容を元手に、競合他社に声をかけてるようです。
有利に価格交渉する算段ではないでしょうか」


桐沢マネジャー :
「……」


小清水 :
「ここはひとつ、安斎社長に出動要請をかけたらいかがでしょう」


桐沢マネジャー :
「安斎さんが出るまでない。この案件はほぼコンプリートしている」


小清水 :
「コンプリートして、いる……?」


桐沢マネジャー :
「……ま、」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「ストレートに相手に質問もせず、スマホで隠し撮りしてるような君に私の
動きは読めないだろう」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「競合しているのは『LLLソリューション社』。新興企業で、社長はまだ
30代。そこの営業部長は私と過去、因縁がある」


小清水 :
「桐沢マネジャーも調べていたんですか!」


桐沢マネジャー :
「名前を昼島(ひるしま)と言う。忘れられない名前だ」


小清水 :
「ひる、しま……」


桐沢マネジャー :
「BBB商事の高松部長と先週の月曜日、打合せをしているとき、普段は感
じない強烈なコロンの存在を知った」


小清水 :
「コロン?」


桐沢マネジャー :
「『サバンナの夕暮れ』という異名を持つダンヒルだ。昼島が愛用している
コロン……。昼島段は、自分の名前と似たこのブランドがお気に入りだ」


小清水 :
「ひるしま、だん……」


桐沢マネジャー :
「昼島は朝起きたらシャワーを浴びるようにそのダンヒルをつける。昼島に
10分でも接すれば、必ずダンヒルに染まる」


小清水 :
「じゃあ、高松部長とLLLソリューションとは」


桐沢マネジャー :
「周知の仲だ。私は3日前、BBB商事のエントランス近くのカフェで7時
間かけ、1杯のコーヒーを飲んだ。夕方の6時半過ぎ、昼島がロビーに現れ
たので私は声をかけた」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「再会を喜び合い、夜の9時過ぎにパレスホテルの1階で落ち合った。昼島
はパレスかフォーシーズンズでしか会いたがらない」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「今度はワイン一杯で、私たちは過去の武勇伝を語り合い、たまにお互いの
家族の無事を確認したりして談笑した。そして私はこの商談から手を引けと
彼に伝えた」


小清水 :
「え」


桐沢マネジャー :
「昼島はAAA建設の案件も狙っている。取引をした」


小清水 :
「なぜ、それを?」


桐沢マネジャー :
「BBB商事のエントランスに現れたとき、昼島は携帯電話で会話していた。
その内容はロシアのプラントに関することであり、AAA建設の事案だとす
ぐにひらめいた」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「その後、私は昼島とパレスホテルで落ち合うまでの30分の間に7本、電
話をかけた。主に営業第3課の連中と、安斎社長とだ」


小清水 :
「AAA建設の案件は、3課の案件だから……」


桐沢マネジャー :
「わが社はあそこにリソースをぶっ込みすぎだ。時間と体力をつぎ込んでる
割には受注できるかどうかわからない」


小清水 :
「しかも、その昼島さんが相手だと」


桐沢マネジャー :
「勝ち目はない。昼島は政治家とも繋がっている」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「いいか。事件を追う、いや、案件を追うには、時間軸を頭に入れながら、
登場人物を網羅的に把握するんだ。【誰】を起点にして、その人が【いつ】
【何】に関心をもち、【どこ】へ向かって行動しているのか」


小清水 :
「どこまで網羅するんですか」


桐沢マネジャー :
「【誰】を起点にしてネットワーク図を頭で作れ。少なくとも、顧客の社内
の組織図のみならず勢力図もだ。もちろん……」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「わが社の勢力図も、だ」


小清水 :
「はい」


桐沢マネジャー :
「行くぞ。君も来い」


小清水 :
「どちらへ?」


桐沢マネジャー :
「BBB商事の長谷川本部長だ。会食の予約をとってある。長谷川本部長は、
高松部長の大学時代のラグビー部の先輩」


小清水 :
「高松部長の大学ってあそこですよね? しかもそのラグビー部」


桐沢マネジャー :
「長谷川本部長とのコネクションがあれば、高松部長は落とせる」


小清水 :
「どうやって長谷川本部長に近づいたんですか?」


桐沢マネジャー :
「長谷川本部長の娘さんが通う専門学校の講師と、7月ごろから仲良くなっ
てる」


小清水 :
「……!」


桐沢マネジャー :
「解決策は【誰】と【誰】を繋げるか、繋がっているか、に着目すると自然
と浮かび上がってくる」


小清水 :
「桐沢警部、……いや、桐沢マネジャー、ど、どうしてそこまでやるんです
か? いつも、まるでドラマに出てくる刑事みたいじゃないですか」


桐沢マネジャー :
「どうしてそこまでやらない?」


小清水 :
「え!」


桐沢マネジャー :
「調べてみたんだが、一般的な刑事の給料より我々の給料のほうが高い。そ
れなら、同じ働く者として、これぐらいやって当然だろう」


小清水 :
「……」


桐沢マネジャー :
「さあ、出かけよう。今夜は大一番だ。会食先の小料理屋のスタッフとは、
すでに打ち合わせをしてある。長谷川本部長は会津若松出身だ。会津若松の
郷土料理をセッティングしている」



……理屈ではなく、プロである以上、プロの仕事をすべきだと思います。

そこに問題があり、問題解決すべき役柄であるなら、解決すべく知識を身につ
け、行動し、改善し、解決するまで続ける「執念」が必要ですよね。


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【編集後記】

8月22日(木)の日経ビジネスオンラインに掲載される私のコラムに、ぜひ
ご注目ください。

コラム『営業の新常識「超・行動」』がスタートしてちょうど1年。

今年3月には、日経BP社からムックも出版されました。

【参考図書】営業目標を絶対達成する 「超・行動」実践ガイド
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274136/mysterycon0c-22/ref=nosim

今後は年末から来春にまでかけて「第2シーズン」がスタートします。

「予材管理5つ道具」を披露し、

私に近い方々には、ずーっと言い続けてきた「ターンオーバー戦略」の概略を
整理して発表していきます。

目標を「絶対達成」させるだけでは足らない組織、企業向けのネタです。

ご期待ください。