2013年9月12日

「絶対達成」はなぜ楽しいか? 【恐怖アピール(4)】

● 今回のテクニック:【恐怖アピール(4)】

恐怖アピールとは、相手の恐怖感情や危機意識をアップさせることで説得効果
を得る方法。

恐怖喚起コミュニケーションとも言う。

「もしもこうしたら/もしもこうしなかったら、どうなるかわかるか?」とい
う、表現で相手をリーディングする。

恐怖体験が臨場感たっぷりに味わえるかどうかがポイント。

当然のことながら多用は禁物。多用すれば、当然のことながらラポール(信頼
関係)は崩れていく。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「先日のセミナーはどうだった?」


部下 :
「ああ、『絶対達成』のセミナーですか? うーん、どうでしょうね」


マネージャー :
「イマイチだったか」


部下 :
「イマイチ、というわけではないですけど、どうも時代錯誤のように受け止
めました。講師が一所懸命なのは十分に伝わりましたが」


マネージャー :
「なるほど、時代錯誤だと感じたんだな」


部下 :
「はい。目標を達成しようがしまいが、それほど給料が上がるわけでもない
でしょうし、今の時代、給料がアップしたって使い道がないですよ。日本が
豊かになり過ぎたんだと思います」


マネージャー :
「……」


部下 :
「若い子も車を買おうとしないし、海外旅行も行きたがらない。そういう時
代でしょ。今は」


マネージャー :
「ふーん」


部下 :
「いまだに、ああいう発想のセミナー講師がいること自体に驚きましたし、
それはそれで勉強になりましたけど」


マネージャー :
「なるほど。ところで君は何だっけ?」


部下 :
「え」


マネージャー :
「君は何者なんだっけ?」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「え、じゃなくて。私の質問にキチンと答えてほしいんだよ」


部下 :
「何者、と言われても、どう答えたらいいか……」


マネージャー :
「わが社で何をしてるんだ?」


部下 :
「え? 私は、営業をしています」


マネージャー :
「営業だよな」


部下 :
「は、はい」


マネージャー :
「なんか、さっきから聞いてると、まるでテレビのコメンテーターみたいな
発言を繰り返しているんで、『こいつ、自分が何者かわかってないんじゃな
いか』と思ったんだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「いまだに君のような評論家的態度で仕事をしているのがわが社にいること
自体に驚いたし、それはそれで勉強にはなったけどな」


部下 :
「……」


マネージャー :
「君はわが社にコメンテーターとして雇われているのか?」


部下 :
「え、いえ」


マネージャー :
「仕事をしに来てるのか?」


部下 :
「も、もちろんです」


マネージャー :
「会社から与えられた目標を達成できるかどうかわからないかもしれないが、
目標は達成したいだろう?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「給料が増えようが減ろうが、変わらないだろうが、目標があったら、それ
は達成したいと思うだろう?」


部下 :
「……」


マネージャー :
「できるなら、目標は達成したい、と思うだろう? 達成しないより、達成
したほうが楽しいだろうと、思うだろう?」


部下 :
「そ、そうですね……」


マネージャー :
「その感情は給料と関係があるか? 君の日常生活において、何か目標があ
ったとき、それを達成したいという欲求は、金銭的報酬によって著しく影響
を受けるのか?」


部下 :
「い、いえ。そんなことまで言ってないです」


マネージャー :
「言ってない?」


部下 :
「……えーっと、言ってない、つもりでした。しかし、誤解を与えるような
発言をしたかもしれません」


マネージャー :
「じゃあ、どういうことなんだ?」


部下 :
「給料とは関係がありません。はい。確かに……。目標達成意欲に関して
は」


マネージャー :
「じゃあ、なぜ時代錯誤だと言った?」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「会社員が会社で仕事をするのは時代錯誤か?」


部下 :
「そんな、とんでもないです。そんなこと言ってません」


マネージャー :
「セミナー講師は何て言っていた? 君は営業だ。自分の口で言っただろ
う? あのセミナー講師は営業の仕事は何だ、と言っていた?」


部下 :
「……えーっと、営業の仕事は……目標を達成すること、でした」


マネージャー :
「それで?」


部下 :
「ま、確かに、そうかと」


マネージャー :
「じゃあ、何が時代錯誤なんだ?」


部下 :
「いや、その……。私が言いたいのは、そういうことではなくて、あの講師
のアプローチの方法が時代錯誤だと言いたかったんです。その……。また誤
解を与えるような話し方をしたかもしれませんが……」


マネージャー :
「君が話していることは、完全に矛盾している。自分でもわかっているのだ
けれど、撤回できないからドンドン矛盾する発言を重ねてドツボにはまって
いる」


部下 :
「あ……」


マネージャー :
「それを『認知的不協和』と呼ぶんだ。君の思考は論理矛盾を起こしている。
私はそれをとても危険視している。そんな思考のままでいると、君は仕事だ
けでなく日常生活においても、うまくやっていけなくなるぞ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「知らず知らずのうちに思考が捻じ曲がりはじめている。高度情報時代にな
り、都合のいいラクなフレーズにどっぷり浸かっていると、あたかもそれが
正しいものだと感じはじめる」


部下 :
「……」


マネージャー :
「君の発言を聞いていると恐ろしくなる。変なノイズで脳がまっ黒になって
るようにしか見えない。何が『時代錯誤』だ」


部下 :
「も、申し訳ありません」


マネージャー :
「君以外の営業、全員がセミナー受講したあとすぐにレポートを提出してき
た。それを読みたまえ。どれほど君の同僚が感化されて戻ってきたかわか
る」


部下 :
「あ、はい」


マネージャー :
「君はいまだにレポートを提出していない。その姿勢がとても正常だとは思
えない」



……私はどんなに世間一般的に支持されなくとも、いまの「草食系イデオロ
ギー」に抵抗していきたいと考えています。

「ノイズキャンセリング」して、脳がまっ黒になることを回避しましょう。


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【編集後記】

昨日お送りした号外メルマガ『「予材管理」と「資産運用」の共通点』はとて
も反響がありました。

一発逆転を狙うのではなく、コツコツ貯蓄を増やして安定したリターンを得る
という発想は、いろいろなことに応用できますね。

目先の出来事に一喜一憂することなく、大きな時間の流れを頭に描くことがで
きるようになるからでしょう。

結果的にストレスから解放されていきます。