2013年10月25日

「BHAG(Big Hairy Audacious Goals)」を持とう!【ピグマリオン効果】

● 今回のテクニック:【ピグマリオン効果(2)】

ピグマリオン効果とは、人間は周囲から期待されれば期待されるほど成果を出
す傾向が強くなることである。

教育現場における心理的行動のひとつ。

反意語は「ゴーレム効果」。教育者が期待しないことによって学習者の成績が
ダウンすることを言う。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「想像通りになってきたなァ」


部下 :
「え?」


マネージャー :
「君が入社したときから、ずっと思っていた。やはりうまくいったな」


部下 :
「そんな」


マネージャー :
「新しい事業を立ち上げ、5年で黒字化し、わずか2年で全社統一予算をク
リアして、さらに1年で、最も高収益の事業に成長させた」


部下 :
「本部長がリーダーシップを発揮してくださったからですよ」


マネージャー :
「何を言ってるんだ、君のおかげだよ。私なんて、適当なタイミングで適当
なアドバイスをしてきただけだ」


部下 :
「いえいえ、そんな」


マネージャー :
「さらにこの事業を発展させてほしい」


部下 :
「わかりました」


マネージャー :
「期待してるよ。君ならできる。社長も専務も、ものすごく君には期待して
るんだ」


部下 :
「いや、そんな」


マネージャー :
「本当に期待してるんだ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「どうした」


部下 :
「いや……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……泣けて、きちゃって……」


マネージャー :
「……」


部下 :
「前にも話しましたが、私は父の連れ子で……。父の新しい奥さんには、け
っこうキツイことを言われ続けました」


マネージャー :
「……」


部下 :
「何のために毎日学校へ行って、友だちにまでお世辞言って、家でまで頭さ
げて、ひとりで公園へ行って時間つぶして……。何のために生きているのか、
わからない日々過ごして」


マネージャー :
「うん……」


部下 :
「後ろを振り返っても真っ暗で、前を向いて灰色の世界で……。ただ時間が
流れるのをジッと我慢して過ごしてきました」


マネージャー :
「専門学校を卒業したあと、当社へ来た」


部下 :
「はい。寮生活させてもらえるという、人事の方の言葉があったからです」


マネージャー :
「え、そうなのか?」


部下 :
「家には、戻りたくなかったものですから」


マネージャー :
「……」


部下 :
「入社してすぐ新しい事業を立ち上げるからと、そのメンバーに選ばれて、
本部長から言われた言葉は忘れられません」


マネージャー :
「私が、何か特別なことを言ったか?」


部下 :
「期待してる、って」


マネージャー :
「……」


部下 :
「私の目を見て、『期待してるぞ』って言ってくれました」


マネージャー :
「……」


部下 :
「それが、本部長の『口ぐせ』だってわかるのは、数年後ですけれど、当時
は私に本当に期待してると、思い込んでいたんです」


マネージャー :
「……確かに、私は、誰に対しても言う」


部下 :
「でも、嬉しかったです。素敵な、『口ぐせ』ですね。私も、この5年近く、
真似して部下にも言い続けています」


マネージャー :
「BHAG(ビーハグ)って聞いたことがあるか?」


部下 :
「ビーハグ、ですか?」


マネージャー :
「直訳すると、困難で大胆な目標だ。社運を賭けた大胆な目標……。『ビジ
ョナリーカンパニー』という書籍に書いてある。君の事業をもっと大きくす
るためには、さらに大胆な目標が必要だ」


部下 :
「今期、売上が20億に達しようとしていますから、50億とか、100億
とかというレベルに、ですか?」


マネージャー :
「いや、もっとレベルの違う、大胆な目標にしよう」


部下 :
「え」


マネージャー :
「事業のミッションをもう一度考え直そう。数値目標ではなく、我々は、い
や君たちは、いったい何のためにこの事業をするのか? 何のために働くの
か? それを考えるんだ。何を社会にもたらすのか?」


部下 :
「は、はい」


マネージャー :
「私だけじゃない。会社の従業員全員が、いや、社会が、君たちに『期待し
ている』ことを、一緒に決めよう」


部下 :
「それが、BHAG……」



……「スターバックス」のBHAGを紹介し、ミッションを作る7つのヒント
を、感動的でかつ心温まるエピソードとともに紹介しているのが、

現在、ベストセラーとなっている、『MISSION(ミッション)』です。

書き方、ストーリーが秀逸です。感性豊かな方は、かなり影響を受けるだろう
なという気持ちになりました。おススメします。


■ 『MISSION 元スターバックスCEOが教える働く理由』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776207451/mysterycon0c-22/ref=nosim

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【編集後記】

最近、「空気」のことをよく考えます。

組織に漂う「空気」……組織風土みたいなものでしょうか。

山本七平著「空気の研究」を2度目、読んでいます。この中で著者は、「場の
空気」のことを『臨在感的把握』と名づけており、大変興味深いです。

どんなに理屈を知り、理論武装しても、組織内、家庭内、国内、業界内……に
漂う「空気」がネガティブなら、人は動きを変えようとしません。

テキスト化できる表現は、わかりやすいようで、人を悩ませるだけのような気
もします。

私は以前から「エア・コーチング」と命名して、組織内の空気を変えるテクニ
ックを紹介しています。

(特にコラム「草創花伝」にて)

「期待している」と部下に言うだけで、部下が行動を変えるわけではありませ
ん。その「空気」ごと変えないといけないのです。

「空気」を変えるテクニックを、今後もいろいろな場で伝えていきたいですね。