2013年10月11日

「できない人間」は気って捨てればいいのか?【ロミオとジュリエット効果】

● 今回のテクニック:【ロミオとジュリエット効果(5)】

ロミオとジュリエット効果とは、ある目的を達成するまでのプロセスにおいて、
障害や阻害要因が多いほうが、達成意欲が高まるという心理効果。

無論、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」から由来。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「そう責めるな」


部下 :
「どうしてですか」


マネージャー :
「どうしてって」


部下 :
「このままAさんを放置しておいていいんですか」


マネージャー :
「決め付けるような言い方はやめてくれ」


部下 :
「9月に販促チラシを100枚配布しようって、みんなで決めたのにAさん
だけですよ。80枚しか配ってないって」


マネージャー :
「うん」


部下 :
「以前もそうだったじゃないですか。春の展示会の後、フォロー電話をしよ
うとみんなで決めたのに、Aさんだけがほとんどやってくれませんでした」


マネージャー :
「ほとんどって、ことはないだろう」


部下 :
「いいえ。ほとんどやってくれませんでしたよ。課長、そのこと知らないん
ですか?」


マネージャー :
「もういい、もういい」


部下 :
「本社の人たちにも聞きました」


マネージャー :
「何を?」


部下 :
「本社でも、かなりお荷物だったってこと」


マネージャー :
「……」


部下 :
「この支店に異動されたとき、本社営業部のみんなが祝賀会を開いたぐらい
だそうです」


マネージャー :
「……」


部下 :
「チームの規律を乱すんです、Aさんは」


マネージャー :
「お前」


部下 :
「Aさんが年上の方だってわかってます。でもまだ40歳でしょう? 今か
らでも変わってもらわないと」


マネージャー :
「……」


部下 :
「……正直なところ、いつまでAさん、この支店にいるんですか」


マネージャー :
「何?」


部下 :
「だってそうでしょう? Aさんなんて、いてもいなくても同じですよ。と
いうか、いると迷惑なんです」


マネージャー :
「……」


部下 :
「みんなそう言ってますよ。課長だって知ってるでしょう」


マネージャー :
「あのさ」


部下 :
「今日はね、ホント聞いて欲しいんです。私はAさんのためを思って言って
るんです」


マネージャー :
「……」


部下 :
「先日だって飲み会やっても、ひとりでポツンと座って、誰の会話にも入っ
てこないじゃないですか。いっつも、ああいう感じですよ」


マネージャー :
「……」


部下 :
「Aさんはみんなの輪に入れないんです。ランチだって、みんなが食事に行
ってから一人で外へ出かけるじゃないですか。コソコソと。ああいう素振り
を見ていると可哀想になってくるんですよね。ホント、いつもそう思いま
す」


マネージャー :
「お前」


部下 :
「ラクにしてあげたほうがいいですよ。他の会社へ移ったほうがAさんのた
めです」


マネージャー :
「お前」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「お前をラクにしてやる」


部下 :
「……!」


マネージャー :
「10月15日付けで、本社の営業企画部へ異動だ」


部下 :
「え」


マネージャー :
「念願の本社勤務だ。良かったな」


部下 :
「……」


マネージャー :
「すぐに引越しの準備をしろ」


部下 :
「どうして」


マネージャー :
「心配するな。我々は祝賀会など開かない」


部下 :
「私よりもAさんを選んだんですか?」


マネージャー :
「何を言ってる」


部下 :
「課長はいつもそうですよね。意思決定が不可解なんです。だって行動指標
を決めたらロックしろと、いつも言うじゃないですか。にもかかわらずAさ
んだけは見てみぬ振りを繰り返してる」


マネージャー :
「……」


部下 :
「Aさん以外はみんなキチンとやってるんですよ。すべて誰もが毎回、決め
られたことをやってるんです。なのにAさんだけが特別待遇ですか? 課長
とAさんが同期だからですか? そんなの平等じゃありません」


マネージャー :
「……」


部下 :
「Aさんのことを課長に進言できるのは私しかいません。だからずっとこの
ことを言ってきました。でもそういう私を本社へ異動させるんですね? A
さんと心中するおつもりなんですね?」


マネージャー :
「あのな」


部下 :
「え……」


マネージャー :
「本社に言ったら、その言葉遣いはやめたほうがいい」


部下 :
「……」


マネージャー :
「いつも、毎回、誰もが、みんな……。の後に続く否定語は控えろ」


部下 :
「あ」


マネージャー :
「それは『一般化』という表現だ」


部下 :
「『一般化』ですか。NLP……ですね」


マネージャー :
「そう。君の話し方はNLPで『一般化』と呼ぶ。そういう話しぶりをして
いると、感情のコントロールがしづらいだろう」


部下 :
「……」


マネージャー :
「君の仕事ぶりは、本社サイドからも高く評価されている。企画部のK部長
が、ぜひ欲しいと前々から言ってたんだ。それを私が断ってきた」


部下 :
「……」


マネージャー :
「K部長のもとで、がんばってくれ」


部下 :
「Aさんのことは……」


マネージャー :
「わかってる。君が言いたいことは全部わかってるつもりだ。同期入社だか
ら、よけいにわかる」


部下 :
「……」


マネージャー :
「アイツはいろいろと物足りないかもしれない。でも、だからといって、
いつもアイツはダメなのか。誰もがアイツのことをダメだと思っているのか。
チャンスをすべて与えなくていいのか」


部下 :
「課長」


マネージャー :
「困難だけど、逆に燃えてるんだ。時間がかかっても、アイツを変えてみせ
るって。それだからNLPも習いはじめた。他のメンバーはみんないい奴だ。
なるべく規律が乱れないようにするよ」


部下 :
「はい」


マネージャー :
「アイツが同期だからじゃない。どんなに『できない奴』でも俺の部下であ
る以上、切って捨てるようなことはしない。他人よりも、少しばかり時間が
かかるんだ、って思うようにしている」


部下 :
「もし、どんなに時間をかけてもAさんが変わらなかったら?」


マネージャー :
「お前、そういう考え方してて、疲れないか?」



……感情のコントロールをしづらいの人は、『一般化』をする癖があります。
物事にレッテルを貼る思考です。

さらに、もう1つ感情的になりやすい人には特徴があります。そのことをコラ
ムに書きました。

■ 感情のコントロールができない人の特徴と対策
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20131009-00028765/

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【編集後記】

今週末、宮城県の松島でマラソン大会があり、ひとりで参加してきます。

私の父が宮城県亘理町の出身ですので、マラソン大会の後に亘理まで移動し、
お墓参りへ行く予定です。

私が亘理へ行くのは、3歳のころ以来。事実上、はじめてのことです。

父はすでに、どこにご先祖様のお墓があるかわからないようです。父に聞いて
も母に聞いてもわからないし、父の親も、長兄も亡くなっています。

亘理の家には、90歳近い長兄の奥様しかいません。

先日、私は思い切ってその方に電話をし、お墓参りをさせて欲しいと申し出ま
した。

「名古屋の横山の息子ですが、わかりますか?」

突然電話して怪しまれないかと想像していたのですが、考えすぎでした。事情
を説明すると、

「ぜひいらしてください。家までお墓まで案内します」

と言ってくださいました。

今度の日曜日は、まだ津波の傷跡が残る父の故郷で走り、お墓参りに行ってき
ます。