2013年10月7日

最もわかりやすい「NLP」の本【ミステイク・オン・パーパス】

● 今回のテクニック:【ミステイク・オン・パーパス(7)】

ミステイク・オン・パーパスとは、わざと事実と異なることを言って相手に修
正させ、リーディングする技術。

相手に確認したくても確認しづらい場合などに使うと効果的である。

たとえば、相手に依頼したことでまだ着手さえもされていないとわかっている
場合に、「どうもありがとう、けっこうはやく終わったみたいだね」とわざと
言ってみる。

すると相手は「あ、まだやっていませんが」と素直に答えるだろう。「依頼し
たことをやったのか、どうなのか」と質問するよりも「カド」は立たない。

押しの弱いマネージャにお勧めしたいテクニック。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「お、今日は残業なしか?」


部下 :
「あ、いえ。これからコンビニへ行って、パンでも買ってこようかと思って
るんです」


マネージャー :
「パン?」


部下 :
「はい。ちょっと今日は遅くなりそうなんで、腹ごしらえでもしようと」


マネージャー :
「そんなに遅くなりそうなのか?」


部下 :
「まァ、そうですね。いろいろと抱え込んでしまっているものですから」


マネージャー :
「そういえば、先月までは大変だったな。若手の子への教育には骨が折れた
だろう?」


部下 :
「ああ、まァ。はい」


マネージャー :
「君の作業をしっかりと役割分担してくれれば、ほぼ毎日定時で帰ることが
できる。任せることで若手の成長にもつながる。ありがとう」


部下 :
「……」


マネージャー :
「お婆さんの様子はどうだ?」


部下 :
「え」


マネージャー :
「ご容態が芳しくない、と聞いていた」


部下 :
「ああ、妻には面倒をかけています」


マネージャー :
「ご両親はいないんだったよな」


部下 :
「ええ。私はお婆ちゃんに育てられたんで、引き取って生活をはじめたんで
すが……」


マネージャー :
「理解のある奥さんだな」


部下 :
「……ん」


マネージャー :
「どうした?」


部下 :
「私は……、どうも抱え込んでしまう性格のようです。できもしないのに引
き受けて、後悔するタイプです」


マネージャー :
「お婆さんのことは?」


部下 :
「お婆さんの妹さんが『本当に任せても大丈夫なの?』と何度も言うのに、
私が引き取ったのです。ですが……」


マネージャー :
「意外と、重荷になってるのか」


部下 :
「重荷だと思う自分が、許せないです」


マネージャー :
「……」


部下 :
「正直に言うと、営業部長から若い子に渡された仕事を、私が引き受けてし
まったんです。私がやったほうが速いと思って」


マネージャー :
「それじゃあ」


部下 :
「はい。全然、役割分担ができていないんです。若手の子の成長につながら
ないですよね」


マネージャー :
「……」


部下 :
「ひょっとして、お婆ちゃんのことを重荷だと受け止めて、現実から逃げて
いるだけかもしれません。家に帰れば、妻と世話を交代しなければなりませ
んし」


マネージャー :
「……」


部下 :
「最低ですね……。私って」


マネージャー :
「それは」


部下 :
「自分が、無性に惨めな人間だと思うことがあります。もうすぐ40歳だと
いうのに、後輩も育てられない。妻にも迷惑をかけてばかり。私の目の前に、
一本も道がない気がしています」


マネージャー :
「おいおい」


部下 :
「世の中には私以上に悲惨な環境にいる人が数多くいます。しかし、ドツボ
にはまっているときって、なぜか自分よりも恵まれている人と自分を比較し
てしまいます。世界で一番、自分が惨めなんじゃないかって」


マネージャー :
「私が中学生だった息子を交通事故で亡くしたのが7年前だ」


部下 :
「ああ」


マネージャー :
「告別式が終わったあと、私は1週間、家に戻らなかった。あの当時、妻と
娘に、どれほどの痛みを与えたか、わからない」


部下 :
「……」


マネージャー :
「逃げ出したくなるときってあるよな。現実を直視できず、目の前のすべて
のことが矢のような形をして自分に向けられてる気がして……」


部下 :
「……」


マネージャー :
「でも、後ろを振り返っても暗闇しかなくて、立ち尽くすしかない」


部下 :
「……」


マネージャー :
「ある雪の降る夜、アパートに帰る途中に、大量のポケットティッシュが歩
道に捨てられてあるのを目にした」


部下 :
「ポケットティッシュ?」


マネージャー :
「そう。最初は、降り積もった雪かと思ったんだが、よく見るとポケットテ
ィッシュが雪の絨毯の上に捨てられてあった」


部下 :
「……」


マネージャー :
「ティッシュを配っていた誰かが、そこら辺に捨てたんだろう。ティッシュ
配りをしていたら雪が降ってきたので、こんな仕事、やってられないと思っ
て逃げ出したんじゃないかな」


部下 :
「……」


マネージャー :
「俺はそのティッシュを全部拾って、鞄に詰め込んで家に持ち帰った」


部下 :
「どうして」


マネージャー :
「わからん。なぜかそのポケットティッシュを、そのままにしておくことが
できなかった」


部下 :
「……」


マネージャー :
「当時、1、2年は立ち直れなかった。すべてから目を背けていたと思う」


部下 :
「それが、どうやって今のように……? だって課長は現在、次期営業部長
どころか、最終的には幹部候補だと言われるようになってるじゃないです
か」


マネージャー :
「幹部になんて、なりたくないけど」


部下 :
「時間が、解決してくれたんですか」


マネージャー :
「それもある。でも『NLP』との出会いも大きかった。NLPで学んだコ
ミュニケーション技術が、人との関わり方を変えてくれた」


部下 :
「NLP……ですか。失礼ですが、なんか胡散臭そうですよね」


マネージャー :
「たまに、そういうことを言う人、いるよね」


部下 :
「課長は胡散臭そうではありませんが」


マネージャー :
「NLPのいいところは、論理的なところだよ。精神世界の話じゃない。再
現性があるテクニックが多いから、一般の人に受け入れられていく」


部下 :
「へえ」


マネージャー :
「いい書籍を紹介しようか?」



……本メルマガで紹介しているコミュニケーション技術のほとんどは、NLP
のテクニックを土台にしています。

これまでいろいろな方に「お勧めのNLPの本は何ですか?」と質問され、い
つも山崎啓支氏の「NLPの基本がわかる本」だと言ってきたのですが、

同氏の「マンガでやさしくわかるNLP」は、もっとわかりやすいです。

正直なところ、「マンガ」にして安っぽくならないかな、と思ったのですが、
私の先入観でした。

本当にこれはお勧めです。

同シリーズの「マンガでやさしくわかるNLPコミュニケーション」も、同様
にお勧めです。ビジネスでの生かし方が極めてわかりやすい。


■「マンガでやさしくわかるNLP」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820718363/mysterycon0c-22/ref=nosim

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【編集後記】

拙作「絶対達成マインドのつくり方」は、私が粉雪の降る日にポケットティッ
シュを拾い集める逸話からスタートします。

いろいろな方に「あの冒頭のエピソードは本当の話ですか?」と質問されます
が、

もちろん本当の話です。

今、思い起こしても、当時の私の思考はかなり正常でなかった気がします。

NLPを知ったのは、それから数年後のこと。

ドツボにはまっている状態(アソシエイト状態)から、どのように抜け出す
(ディソシエイト状態)のか。

そして視点を変えて物事を見つめられる(リフレーミング)ようになるのか。

今では、かなり体得できるようになり、何か嫌なことがあっても、取り返しが
つかないミスをしても、自分の殻に閉じこもって抜け出せなくなり、

他人に迷惑をかけるようなことはなくなったかな、と思います。

セミナーでも、いつも話しますが、何事もディソシエイト(客観視)するため
には、「分割」と「定量表現」が不可欠。

これは経営だけでなく、人間個人、そして人生そのものにも役立つ、論理的な
考え方だと思っています。

「NLP」に関して誤解している人もいるようですが、

かなり論理的な技術だと私はとらえています。