2014年1月2日

自分が自分の下で働けるか?【好意の返報性】

● 今回のテクニック:【好意の返報性(10)】

好意の返報性とは、人は好意を受けられると、それを返したくなるという習性
のことで、ミラーリング効果ともいう。

相手とコミュニケーションをする際も、好意をもって接するのと、そうでない
のとでは相手の反応も異なる。特に信頼関係(ラポール)が崩れてきたときに
は、「きっと……に違いない」と思い込み、決め付けたような悪意ある物言い
をしてしまうものである。

ニューロロジカルレベルの概念を意識し、どんな相手であろうと、その「アイ
デンティティ」や「価値観」には好意を持ち(承認し)、相手のとった「行
動」にこそフィードバックしたいものだ。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「あ、課長……。あけましておめでとうございます」


マネージャー :
「おお、君か。おめでとう」


部下 :
「課長、どうしたんですか」


マネージャー :
「取引先の部長に年賀状を送ろうと思ったら、住所がわからないので会社ま
で名刺フォルダーを取りに来たんだよ。君こそ、冬休み中にどうしてオフィ
スにいるんだ」


部下 :
「休みの間にたまっている仕事を片付けようと思いまして」


マネージャー :
「何時から出社してるの?」


部下 :
「ええっと……。午前10時ぐらいです」


マネージャー :
「今はもう4時だよ。昼もオフィスで食べたのか」


部下 :
「コンビニは正月でも空いてますから」


マネージャー :
「2人子供がいるだろう? 正月に家族と一緒に過ごさなくていいのか」


部下 :
「そう言われましても、仕事がたまってますから」


マネージャー :
「だいたい平日だって、君はいつも遅い」


部下 :
「ええ、まァ」


マネージャー :
「ちょうどいい機会だ。新しい年を迎えたんだから、この節目に何か決断し
たまえ」


部下 :
「決断?」


マネージャー :
「1月の残業を10時間以内にしたまえ」


部下 :
「それは、あり得ません。11月も12月も、私の時間外労働は100時間
を超えています」


マネージャー :
「異常だ。そこまで君に仕事を任せた覚えはない」


部下 :
「もちろん、残業時間はつけていません。私の仕事が遅いだけですから」


マネージャー :
「誰が残業代を気にしてると言った? 今の発言は労務上、問題だぞ」


部下 :
「も、申し訳ありません」


マネージャー :
「もっとタイムマネジメントをしっかりして仕事をしてくれよ」


部下 :
「課長はいつも早くオフィスを出ますよね。家で仕事をしてるんですか」


マネージャー :
「するわけないだろう」


部下 :
「オフィスの中だけでやって、定時内に仕事は片付くんですか?」


マネージャー :
「片付く」


部下 :
「でも、想定外のことってあるじゃないですか。急な仕事が入ってきたりす
るときも……」


マネージャー :
「片付く」


部下 :
「いや、私が言いたいのは……」


マネージャー :
「片付く」


部下 :
「……」


マネージャー :
「片付くんだよ」


部下 :
「……」


マネージャー :
「私がいつも心にとどめている信条がある」


部下 :
「信条、ですか」


マネージャー :
「『自分が自分の下で働けるか』という言葉だ」


部下 :
「あ」


マネージャー :
「君は、今の自分の下で働きたいと思えるか」


部下 :
「……」


マネージャー :
「入社したときから君は変わっていない。誰よりも働き者だということを私
は知っている。素晴らしい人材だ」


部下 :
「ありがとうございます」


マネージャー :
「そろそろリーダーを任せられる時期だ。私は君が好きだから、ぜひ早期に
リーダーになってもらいたいと考えている」


部下 :
「……」


マネージャー :
「自分がやればいい。自分が犠牲になればいい。自分が結果を出せばいいと、
もし君の上司が考えているとしたら、君はどう思う?」


部下 :
「……うー」


マネージャー :
「過去の延長線上で物事を考えるから、残業10時間以内、と言われても不
可能だと受け止めてしまうんだ。俺も協力するから、そうしよう」


部下 :
「わ、わかりました」


マネージャー :
「常に、自分が自分の下で働けるか、と問い掛けてくれ」



……「自分が自分の下で働けるか」というフレーズは、私の尊敬する人事コン
サルタントが教えてくれた言葉です。

私自身もドキッとしました。

言い訳ばかりしている、仕事を先送りばかりしている、いつもやり切ることが
できない、他責にしてばかりで当事者意識が欠けている……。

自分自身がそのような人間だと、自分が自分の下で働けるかと問い掛けられた
とき、苦笑してしまいますよね。

自問自答しながら、今年一年やっていこうと思います。今年もどうぞよろしく
お願いいたします。


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【編集後記】

小学1年生のころ、友達が駄菓子屋で買い食いをしているのに、自分だけお金
がなく、

道端にお金が落ちていないか、下ばかりを見ながら1時間ほど家の周囲や神社
の近くを歩き続けたことがありました。

10円でもいいから落ちていないかと頑張って探したのですが、ありませんで
した。

家に帰ってお袋の財布から100円を盗み、10円のチョコレートを10個ひ
とりで買って、神社の裏に行き、誰にも見つからないように口の中に詰め込ん
で泣いたのを思い出します。

チョコの味などわかりませんでした。

馬券を買う金を探すために、家じゅうの引き出しという引き出しを探し回った
親父と自分がシンクロし、たとえようもないほどの惨めな気持ちになったから
です。

お金はやはり大事だな、と思います。

私は現在、「目標を絶対達成する」というキーワードでコンサルタントをして
います。

企業の目標は売上であったり利益であったりします。お金です。お金なのです。

お金というキーワードを前面に出すことに抵抗を覚える人はいるでしょう。

しかし、「良いことをしていれば必ず結果は後からついてくる」「お客様の立
場に立ち、どうすればお客様が喜ぶかを考えれば、おのずと利益は出る」……
という考え方には心から賛同できません。

キラキラワード——綺麗ごとだと私は受け止めます。お金に困ったことがない
のかなと、どうしても私は考えてしまうのです。

どんなにテクニックを知っても、どんなに革新的な仕組みを利用しても、やは
り最後は執念、執着心が必要です。

間違ったことはやってもいけませんし、人を精神的に追い込むようなこともい
けません。

しかし、最後の最後まで諦めないという精神力は、そのような体験を通じて身
に着けられるものでしょう。

そのような精神力は、お金で買えるものではありません。お金(結果)を追い
求めるがゆえに、お金で買えない価値のあるものが身に付く、とも考えられま
す。

今年も絶対達成の精神でいきます。

理屈ではなく、私には止められないものがあるのです。