2014年2月21日

勘違いのほとんどは「選択的認知」が引き起こしている【ラベリング効果】

● 今回のテクニック:【ラベリング効果(8)】

ラベリング効果とは、人、物、事象……などを簡易的な言語で表現することで、
その物事に「レッテル」を貼ることである。

ワンフレーズでレッテルを貼り、その表現を繰り返すことにより、その物事へ
の印象に対するバイアスがかかってくることをラベリング効果という。

インプリンティング(刷り込み)効果とも似ている。

たとえ事実と多少異なったとしても、ラベリングをすることにより、相手はそ
の通りの人間へと近づいていく。

コミュニケーションを円滑にするために使用する場合、必ず肯定的なラベリン
グをすること。相手に対する否定的なラベリングは決してすべきではない。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「それにしても景気が悪いですね。アベノミクスなんて、全然うまくいって
ないじゃないですか」


マネジャー :
「景気が悪い?」


部下 :
「はい。全然ダメですよね。ですから、なかなか当社の業績も回復しませ
ん」


マネジャー :
「景気が悪いって……なぜそう思うんだ」


部下 :
「え? だってそうでしょう。この前、乗ったタクシーの運転手も言ってま
した」


マネジャー :
「何人のタクシー運転手が言ったって?」


部下 :
「何人? ……一人、ですけれど」


マネジャー :
「一人のタクシーの運転手の意見か?」


部下 :
「いえいえ……。もちろん、タクシーの運転手だけじゃありません。私の叔
母が居酒屋を経営しているのですが、客足がまるで戻ってこないと言ってま
したし」


マネジャー :
「……それで?」


部下 :
「それで、って……」


マネジャー :
「乗り合わせたタクシーの運転手が『最近、すごく景気がいい』と言い、君
の叔母さんが『去年からお客さんが増えて嬉しい』と言えば、景気が回復し
たと思うのか?」


部下 :
「いや、それは……たとえ話ですよ」


マネジャー :
「わかってるよ。だけど、君が『景気が悪い』と言ったんじゃないか。その
理由として真っ先にあげたのがその2例だろ。他に決定的な論拠があるなら、
それをまず先に紹介してくれたまえ」


部下 :
「……え」


マネジャー :
「君が『景気が悪い』と言った本当の論拠は何だよ」


部下 :
「本当の論拠、と言われても……」


マネジャー :
「新聞は読んでるか?」


部下 :
「読んでます。日経新聞を」


マネジャー :
「1月の月例経済報告は読んだか?」


部下 :
「……ええと」


マネジャー :
「先日の社長の朝礼、聞いていたか? 業界天気図の話とか」


部下 :
「うーんと……」


マネジャー :
「じゃあ、昨日の私の会議での発言は?」


部下 :
「えっと……。どの発言でしょうか?」


マネジャー :
「私たちの業界の景気動向だよ。帝国データバンクにリサーチしてもらって
入手した情報だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「もういい。君は認知能力が落ちている。身勝手にラベリングして、当社の
業績不振の理由にしてもらっては困る」


部下 :
「も、申し訳ありません」


マネジャー :
「君は統計に興味があるといって、最近そういう本ばかり読んでいるだろう。
ビッグデータにも造詣が深いと聞いた。にもかかわらず、そのような選択的
認知が働いていたら、まるで正しい判断ができない」



……最近、私のセミナーで必ず話をする「認知」のネタです。

「選択的認知」が働いているなら、情報を仕入れれば仕入れるほど、勘違いは
強固なものになっていきます。

今日のコラムは、「絶対達成する決断力のつけ方」でも紹介している「素人意
見のワナ」——『利用可能性ヒューリスティック』についても言及しました。


● ほとんどの勘違いは「選択的認知」が引き起こしている
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140205-00032348/

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【編集後記】

昨年、2014年の3月までにヤフーのコラムを「100記事」書くと宣言し
ましたが、先日、その「100」を突破しました。

1か月近く前倒しで達成。

途中、「キラキラワード」や「MKノー」という造語を披露して、ラジオやテ
レビ出演まで実現するなど、思わぬ反響を体感しました。

そういった局地的なインパクトはおいといて、

重要なことは「続ける」こと。

本メルマガや日経ビジネスオンラインのコラムのように定期的に発表している
ものではないので、後回しになりやすいですが、

次は2016年中の「500記事」(あと2年10か月)を目指そうかな、と
思っていますので、何とか頑張ります。

ネタは尽きないので、課題は時間確保だけですね……。