2014年2月23日

「予材管理」の反対の「探索管理」とは?【ハード・トゥ・ゲット・テクニック】

● 今回のテクニック:【ハード・トゥ・ゲット・テクニック(14)】

ハード・トゥ・ゲット・テクニックとは、「あなただけが手に入れられる」
「あなたしかできない」という選民意識を相手に植えつけ、こちらの思惑通り
の行動へ誘導させるコミュニケーション術である。

営業のモチベーションアップ、もしくは行動変革を促す場合には、「君がオン
リーワンの存在なんだ」と訴えかける必要がある。

どんなコミュニケーション術でもそうだが、特にハード・トゥ・ゲット・テク
ニックを実践する場合は話す側の「心」が必要だ。本気で「あなただけ」とい
う気持ちがないと伝わるはずがない。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「驚きました。今年の1月に、この会社に転職したのですが、この会社でも
『絶対達成』がキーワードなんですね。予材管理をしているんですか?」


マネジャー :
「そうだ。前の会社でも予材管理をしていたのか」


部下 :
「はい。大量行動がキーワードでした。みんな動き回ってましたが、そのせ
いで営業30人いて、5人が辞めました」


マネジャー :
「え! じゃあ、その辞めた5人のうちのひとりが、君か……」


部下 :
「そうですが、私は課長との人間関係で……悩んでいたのです。大量行動は
そんなにストレスではなかったんですが、課長が『結果を出せ、結果を出
せ』『絶対達成だ、絶対達成だ』と言ってうるさかったんで、辞めました」


マネジャー :
「そうか」


部下 :
「はい……」


マネジャー :
「その言葉を聞くだけで、イヤな気分になるか」


部下 :
「ま、まァ、そうですね……。実のところ昨夜、妻と話し合ったんですけど、
もう辞めようかと、思ってまして」


マネジャー :
「なに?」


部下 :
「申し訳ありません」


マネジャー :
「おいおい、どういうことだっ?」


部下 :
「絶対達成しろ、絶対達成しろ、と前の会社で言われ続けて、もう疲れまし
た」


マネジャー :
「うーん……。悪いけど、君が勤めていた前の会社は、何か勘違いをしてい
たんじゃないか? どういうマネジメント手法だったんだ」


部下 :
「どういうって……。目標の2倍の予材を書け、と予材管理表を渡されまし
た。2倍の予材なんてどこにあるかわからないと言うと、『いいから書け』
としか言われないのです」


マネジャー :
「前は、住宅営業だったね?」


部下 :
「はい。ですから、どうしようもなく……私の親戚や、友人の名前を書いて
2倍にしました」


マネジャー :
「ええっ!?」


部下 :
「そうしたら、課長から毎日のように会議室で詰められました。いつになっ
たら契約を持ってくるんだって。ですから私も仕方なく、友人や親せきのと
ころへ頭を下げてマンションを買ってくれと頼みに回りました」


マネジャー :
「ええっ? そんなことをしても売れないだろう」


部下 :
「はい。売れたのはたった3つだけです」


マネジャー :
「えっ! 売ったのか?」


部下 :
「そ、そりゃあ、売らないと……。それでも、全然足りなかったのです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「売れても売れても『2倍の予材を仕込め』『2倍の予材を仕込め』そして
『絶対達成だ』『絶対達成だ』と言われ続けました」


マネジャー :
「マジか……。アドバイスは?」


部下 :
「アドバイス?」


マネジャー :
「君の上司からのアドバイスはなかったのか?」


部下 :
「そんなもの、まったくありませんでした」


マネジャー :
「何てこと」


部下 :
「休日に家にいると、課長から電話がかかってきて、『予材を2倍仕込
め』と、妻にまで言うんです」


マネジャー :
「何だって!?」


部下 :
「予材が仕込めないと、家に帰らせてももらえないんです。しかし予材管理
表に予材を書いたら最後、契約をとるまで追いかけられます」


マネジャー :
「……ええェェ」


部下 :
「辞めると言ったら、予材を書いてから辞めろ、予材が書けないなら辞めさ
せないって言われて」


マネジャー :
「じょ、冗談だろ? 完全にブラックじゃないか。絶対達成はそういう意味
じゃない」


部下 :
「そういう意味じゃないって……」


マネジャー :
「絶対達成とは、目標未達成リスクを回避するマネジメントだ。だから中長
期的な視点で、種をまき、水をまき続けること。リスク分散の発想だよ」


部下 :
「種まき、水まき……?」


マネジャー :
「たとえば100個の実を収穫したいと考えたら、200の花を咲かせなく
てはならない。これがいわゆる『2倍の予材』ということだ」


部下 :
「200の花……」


マネジャー :
「しかし、種をまいて花がすぐに咲くはずがない。だから短期思考に陥って
いる人はすぐに、花を探したがる。これを『探索管理』と呼ぶ」


部下 :
「『探索管理』?」


マネジャー :
「花を探し回っている営業を、マネジャーが管理するんだ。どちらも疲れ
る」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君の前の会社がやっていたことは『予材管理』じゃなくて『探索管理』
だ」


部下 :
「それじゃあ……」


マネジャー :
「当社はどこに種をまき、どのようなタイミングで水をやり続けるか決めて
いる。だから、『予材を書け書け』なんて言わない」


部下 :
「詰めたりもしないんですか?」


マネジャー :
「市場ポテンシャルと比べて、じゅうぶんに予材ポテンシャルのあるお客様
をすでに選定済みだ。300社リストアップしているから、そこへ種をまき、
水をやってほしい」


部下 :
「それが……」


マネジャー :
「そう、それが、大量行動だ。『大量売り込み行動』ではない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「300社のうち、年間5社と新たな契約を結べば、だいたい安定的に数字
が計上される。既存顧客のフォローも必要だが、これは心配していない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「よく考えればわかる。『業を営む』と書いて営業だ。営業が仕事を持って
くるのだから、営業はとっても重要な役割を担っている」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「それなのに、なぜ会社は営業個人にすべてを委ねるんだ?」


部下 :
「すべてを、委ねる……?」


マネジャー :
「どのお客様へ、どんな商品を、どんな価格帯で提案しているのか、営業
個人が決めているんだろう? それをマネジャーが質問しているんだ。『最
近はどこへ行って、何の提案をしているんだ?』ってね。おかしいと思わな
いか」


部下 :
「た、確かに……」


マネジャー :
「当社は、行く先どころか、行った先のどのキーパーソンにどれぐらいの回
数を会うべきかまで、『予材配線図』ですべて決めている」


部下 :
「予材配線……」


マネジャー :
「そう。実際の商談になったら個人の力も重要だが、そこまでは会社が責任
を持つ」


部下 :
「会社が責任を持ってくれるんですか?」


マネジャー :
「そう。だから『絶対達成』なんだよ。君は大量行動は苦にならないと言っ
た。それなら、絶対に大丈夫だ。君だからこそ『絶対達成』はできる」


部下 :
「私だから、絶対達成できるんですか……」


マネジャー :
「そう。ほとんどの営業は、まず大量行動そのものを嫌がるからね」



……営業個人が自分で「行く先」「商材」「価格」を決めて動き、その活動を
マネジャーが聞き出す管理手法を私は「探索管理」と呼んでいます。

商談を探し回る営業を管理する方法だからです。

そうではなく、もっとリスク分散する方法が「予材管理」なのです。

5つのシートで「予材管理」の精度を10倍以上アップさせるテクニックを、
ついに公開します。

私は個人的に、とても嬉しいです。ようやく再現性のある「予材管理」の仕組
みを広く紹介できます。

いよいよ2月26日(水)発売です!


■「横山信弘の5枚のシートで営業目標を絶対達成」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274411/mysterycon0c-22/ref=nosim

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【編集後記】

「絶対達成する部下の育て方」で予材管理の考え方が世の中に紹介され、
「超・行動 実践ガイド」で2ミニッツ営業についても広まりました。

社内にいる営業を私が「パラサイト営業」と名付け、ツイスター型チームへ変
貌しようと唱えると、

多くの賛同者がセミナーなどに来てくださるようになりました。

先週の「日経ビジネス」でも『昭和な会社が強い』というテーマが大々的に取
り上げられています。

パソコンやスマホを捨てて、外回りを強化した会社が脚光を浴びる時代になり
つつあります。

しかし……

大量に外へ行けばいいってもんじゃないのです。

本当に、本当に、本当に、そう思います。

大量行動は、習慣化すれば疲れなくなります。

大量行動をしていて「疲れる」という人は、まだ無意識的有能になっていない
だけで、習慣化するまでの「回数」が足りないだけです。

しかし、

大量行動は習慣化しても、結果が出ないと疲れます。

虚しくなります。

あるとき、「横山さんのアプローチって、もはや宗教的だね」と、昔からの知
人に言われたことで、私のハートに火がつきました。

私たちのコンサルティング技法を知らずに、「バカのひとつ覚えで数ばかり回
らせている」とレッテルを張られたことに、表現できないような燃えるものを
感じたのです。

これがキッカケです。

正しい「セリングプロセス」にのっとって、予材資産を積み上げる仕組みを開
発する。

その仕組みがあることで、私たちがコンサルティングで関与しなくても「絶対
達成」の再現性が高まる。こう思ったからです。

「絶対達成する部下の育て方」が出版されたときのような船出のときが迫って
きています。

「予材管理5つ道具」の発表まで、あと2日です。