2014年5月22日

満員電車にいる「嫌な人」の話【アズ・イフ・フレーム】

● 今回のテクニック:【アズ・イフ・フレーム(17)】

アズ・イフ・フレームとは、「もし……だったとしたら、どのように……する
か」「もし……実現したら、どのような気持ちとなるか」等と質問をすること
により、相手がかけている色眼鏡(フレーム)をはずさせるテクニック。
(アウトフレーム)

相手の先入観/固定概念を打破するために有効な、魔法の言葉。

通常は、実現したい目標がかなっている「未来」までイメージの中で空間移動
し、そのシーンを十分に味わってもらってから、それまでの実現プロセスを語
ってもらう。そのことにより「ドツボ」にはまっているフレームから抜けやす
くなる。

ただ、言葉だけを使ってもうまくはいかない。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「横山信弘の新刊、『空気で人を動かす』を読んだか?」


部下 :
「え? 読んでませんが」


マネジャー :
「読んでない? 読んだほうがいいぞ。とてもタメになる」


部下 :
「うーーん、ていうか、こういう会話、続けますか? このメルマガでこん
な会話したら、読者の方々もドン引きすると思いますが」


マネジャー :
「書籍販売日の翌日のメルマガはいつもコレだろう。今にはじまったことじ
ゃない」


部下 :
「ま……確かに」


マネジャー :
「それで、本は買ったのか?」


部下 :
「買ってもいないです」


マネジャー :
「え、買ってない?」


部下 :
「みんなが買おうとしているときに、私は買わないんです。もう少し落ち着
いてから、と思って」


マネジャー :
「へええ……」


部下 :
「何ですか?」


マネジャー :
「アノ本に書いてあった『集団同調性バイアス』が低い人間だな、君は」


部下 :
「え……集団……バイアス?」


マネジャー :
「ま、読んでないのなら、話は通じないだろうが」


部下 :
「ど、どういうことですか?」


マネジャー :
「君はどちらかというと、流行の逆をいくタイプか?」


部下 :
「まァ、そうですね。どちらかというとミーハーではないですね。自分の個
性を大切にしたいですから」


マネジャー :
「ぷぷぷーーーーーっ!!!」


部下 :
「な、なんで笑うんですかっ!」


マネジャー :
「自分の個性って君ィ……」


部下 :
「一過性の流行に惑わされたくはない、と言っているだけです」


マネジャー :
「そりゃ、わかるけど」


部下 :
「このメルマガ読者の多くは、『空気で人を動かす』を買うかもしれません
が、私はもう少し様子を見ますね」


マネジャー :
「意地っぱりだなァ……」


部下 :
「だいたい、『空気』が『流れ』に変われば、あとは『流れ』に身を任せる
だけ、というフレーズがよくわからないです」


マネジャー :
「どうして?」


部下 :
「どうしてって、マネジャーはわかるんですか?」


マネジャー :
「じゃあ、想像してみなよ」


部下 :
「え」


マネジャー :
「もしも、君が満員電車に乗っていたとする」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「そして、電車のドアの近くに立っていたとする。イメージできるか?」


部下 :
「ええ」


マネジャー :
「そして、電車は大きな駅に到着した。君はその次の駅で降りたいので、そ
の大きな駅では降車しない。しかし、電車に乗っていた多くの人がその駅で
降りようとする」


部下 :
「はい……」


マネジャー :
「イメージできるか?」


部下 :
「ええ、もちろん。そういうことってありますよ」


マネジャー :
「そして、そのとき君は、その大きな駅で降りる乗客のために、道を開ける
だろう」


部下 :
「そりゃあ、そうですね。いったん駅のホームに降りないと、迷惑ですから
ね」


マネジャー :
「そうだよね?」


部下 :
「はい。常識でしょう。たまに、ドア付近にいるにもかかわらず、ホームに
降りない人っているじゃないですか。メチャクチャ迷惑ですよね、ああいう
人」


マネジャー :
「そう、それが『流れ』だ」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「よほど空気が読めないか、よほど常識を知らないか、よほど意地悪な人で
ない限り、満員電車から降りる人を優先して、ドア付近にいる人はホームに
降りるだろう。人が降りる『流れ』に逆らい、その場所に立ち続けようとす
るのは困難だ。だから『流れ』さえできてしまえば、人は自然と動くように
なる」


部下 :
「……な、る、ほど」


マネジャー :
「しかし、それでも、たまーに、いるよな。満員電車の中の迷惑な人……」


部下 :
「いますいます。ホント、常識を知らないというか、空気を読めないという
か……。ああいう人がいたら注意したいですよ」


マネジャー :
「じゃあ、君のデスクの上を片付けてくれたまえ」


部下 :
「ええ! どうしたんですか、突然……」


マネジャー :
「突然じゃないよ。今年に入ってからずっと言い続けてきたことだ」


部下 :
「今年からずっと、言い続けてきた……?」


マネジャー :
「そうだ。しかし君は正しく私の言葉を『認知』してこなかっただろう?
都合の悪いことは認知しない脳の働きがあるからだ。これを『選択的認知』
と言う」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「私は朝礼でも、メールでも、『整理整頓をしっかりやれ。特にデスク周り
はきれいにしろ』と発信してきた」


部下 :
「そういえば、そう……」


マネジャー :
「思い出せるか?」


部下 :
「それは、その……。私はデスクの上に、いろいろな書類を載せていたほう
が、効率的に仕事ができるので……」


マネジャー :
「そんなものは『作話』だ。後付けで意味をつけるのはやめたまえ。Aさん
も、Bさんも、整理整頓が苦手だったけれど、4月ぐらいからはデスクの周
りを毎日きれいにするようになった。整理整頓をキッチリするのは当たり前、
という空気は、すでに、わがチームに定着したんだよ」


部下 :
「え……! いつの間に……」


マネジャー :
「『空気で人を動かす』に書いてあるテクニックを使った。新しい空気を浸
透させるための『下地』を作ってから、特殊なコミュニケーション技術を使
いながら『可燃人』を味方につけていった」


部下 :
「可燃人……?」


マネジャー :
「君の知らないところで、多数派工作をしていたんだ。知らなかっただろ
う?」


部下 :
「気付きませんでした……」


マネジャー :
「君は同調性バイアスが低いからだ」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「感度が低いってことだ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「これは一過性の流行じゃない。もう『空気』は『流れ』に変わってしまっ
ている。誰もが、君のデスクの上を見て違和感を抱くようになった。つまり
……」


部下 :
「つまり、私は満員電車の迷惑な人と同じになっている、と?」


マネジャー :
「その通り。『空気で人を動かす』は買わなくてもいいが、デスクの上は片
付けたまえ」


部下 :
「わ、わかりました……。申し訳ありません」


……「集団同調性バイアス」が低すぎると、「自燃人」「可燃人」「不燃人」
のうちの「不燃人」だと思われてしまうかもしれません。

「空気」が読めない、「感度」が低い、ということは、認知能力に問題がある
かもしれないからです。

お客様のニーズも、世間の動向も正しく認知できなくなります。

「場の空気」について解説した以下の動画は、いつの間にか4000回以上に
及ぶ再生回数を記録しました。

ご参考にしてください。


■ チームの成績に強く影響する「場の空気」とは?
http://youtu.be/9v1M3ncUIVk


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【編集後記】

今週は新刊「空気で人を動かす」の発売ウィークでしたから、メルマガも、新
刊のネタ一色となりました。

驚いたことに、私のセミナーで書籍を先行販売したところ、この「空気本」が
圧倒的に売れるのです。

今週、帝国データバンクでセミナーを開催したとき、ネタが「予材管理5つ道
具」だったのに、

60名の参加者のうち28名の方が「空気本」を買ってくださいました。他の
書籍に比べ、長蛇の行列ができたほどです。

(これは大げさな話ではありません)

私としては「予材管理」に関わる書籍を手に取ってもらえるよう、セミナー内
でも促したのですが、多くの人は、

「目標を達成するのが当たり前という空気がないのに、方法論やツールを勉強
しても仕方がない」

と思われたようです。

先週から今週にかけて、他所で開催したセミナーでも、圧倒的に「空気本」が
売れました。

新刊だから、という理由だけではなさそうですね。

多くの人が組織の「空気」に対する問題意識をお持ちだということが本当によ
くわかりました。

また、

先週から全国の大型書店で先行販売されていましたが、リアルな書店での反応
がきわめて良いようです。各地の書店で大々的に取り上げていただいているか
らでしょう。

(フェイスブックで連日、全国各地の書店の棚写真を公開しています)

新刊、どうぞよろしくお願いいたします。