2014年5月5日

この「一言」が組織が変わるサイン【好意の返報性】

● 今回のテクニック:【好意の返報性(11)】

好意の返報性とは、人は好意を受けられると、それを返したくなるという習性
のことで、ミラーリング効果ともいう。

相手とコミュニケーションをする際も、好意をもって接するのと、そうでない
のとでは相手の反応も異なる。特に信頼関係(ラポール)が崩れてきたときに
は、「きっと……に違いない」と思い込み、決め付けたような悪意ある物言い
をしてしまうものである。

ニューロロジカルレベルの概念を意識し、どんな相手であろうと、その「アイ
デンティティ」や「価値観」には好意を持ち(承認し)、相手のとった「行
動」にこそフィードバックしたいものだ。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「ゴールデンウィーク中に、これまで先延ばしにしてきたすべての仕事を片
付けよう」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「そしてゴールデンウィークが終わったら、もう二度と先延ばしはしない。
期限はキッチリ守る」


部下 :
「はい。そうですね」


マネジャー :
「新しい部長は厳しいな」


部下 :
「え、厳しいですか?」


マネジャー :
「厳しくないか?」


部下 :
「厳しくないですよ。当たり前のことだと思います」


マネジャー :
「当たり前、か」


部下 :
「はい。部長が4月に赴任してから組織がものすごくギクシャクしました。
でも、それは今までの私たちがたるんできたからだと思います」


マネジャー :
「まったく、そうだな」


部下 :
「『すべての仕事に期限とノルマがある。期限は絶対に守れ。守らなくてい
い期限などない』。4月1日に部長が言った言葉です」


マネジャー :
「ああ」


部下 :
「やっぱり、そうでないとダメ、と思いました」


マネジャー :
「うん……」


部下 :
「課長もそう思いますよね?」


マネジャー :
「実は、3年前、社内で『新製品開発プロジェクト』というのが発足して、
1年間限定のプロジェクトメンバーが全国から招集された」


部下 :
「へえ……。私が入社する前の話ですね」


マネジャー :
「そう。しかし最初の半年間、そのプロジェクトはまるで軌道に乗らなかっ
た。招集されたメンバーは所属部署の仕事を優先するため、みんな本気にな
らなかったんだよ。それに、当時のプロジェクトリーダーも途中から忙しさ
を理由にあまり参加しなくなった」


部下 :
「それじゃあ、ダメじゃないですか」


マネジャー :
「そう。だから途中でリーダーが交代した。新しいリーダーは、社長の承認
をとり、本プロジェクトのため、所属部署の仕事よりも優先して参加しろと
厳しく言った」


部下 :
「え……。所属部署の仕事よりも優先?」


マネジャー :
「そう。だからメチャクチャ反発されたよ。PJメンバーからもそうだが、
各部署の部長からも大ブーイングだ。しかし、新しいリーダーは絶対に譲ら
なかった」


部下 :
「……」


マネジャー :
「でも、私はそのとき思ったんだ。『やっぱり、そうでないとダメ』と。中
途半端にやるのなら、やらないほうがいい。できない理由を言い始めたらキ
リがないって」


部下 :
「そうですよね……」


マネジャー :
「他にも同じ思いのメンバーがいた。そいつも『やっぱり、そうでないとダ
メ』と言っていた」


部下 :
「なるほど」


マネジャー :
「『やっぱり、そうでないとダメ』が、組織が変わろうとしているときのサ
インだな。真面目にやろうとしている人が、そういう感想を持てる空気を作
っていかなくちゃダメだ」


部下 :
「そうですね。真面目にやっている人がバカを見るような組織って、よくな
いですよ」


マネジャー :
「そのときのPJリーダーが、今の部長だよ」


部下 :
「ええっ……!」


マネジャー :
「だから、部長が、『これまで先送りしてきた仕事をゴールデンウィーク中
に全部片付けろ。休みが明けたら、すべてをリセットしろ』と言ったとき、
部長らしいなと思った」


部下 :
「へええ……」


マネジャー :
「厳しいけど、ああいう部長を私は好きだ」


部下 :
「私は厳しいだなんて思ってません。当たり前のことですよ。私もああいう
人が好きです」


マネジャー :
「部長も、我々のことが好きなんだろうな」


部下 :
「そりゃあ、そうでしょう。好きだからこそ、やるべきことをやってないと
叱るんだと思います」


マネジャー :
「部下のことを好きじゃなければ……」


部下 :
「薄っぺらい優しさを見せるんじゃないでしょうか。『期限までにできなけ
れば仕方がないよな』『できないときだってあるからしょうがない』とか」


マネジャー :
「無関心であり、無責任、ということか」


部下 :
「『期限は絶対に守れ。守らなくていい期限などない』と言う上司を厳しい、
と思う世の中がおかしいですよ」


マネジャー :
「やっぱりそうだよな……。そうでないとダメだよ……」



……真面目にやっている人が報われない組織は、とても残念ですね。

正しいことを正しい、間違っていることを間違っている、と言える「空気」が
人を正しい行動へと導きます。

いよいよ21日に、新刊「空気で人を動かす」が発売されます。今回は、いつ、
どこで購入しても適用されるキャンペーンを用意しています。


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【編集後記】

ゴールデンウィーク中、これと言って、どこへも出かけていませんし、これと
言って特別なこともしていません。

ただ、この機会に家族の「空気」を良くするため、接する時間を増やしたいと
思っています。

独りよがりなことはやめ、なるべく自分のできる「当たり前」のことをしっか
りやろうと。

この編集後記を書いている最中、息子が宿題をやっています。その宿題を見て
あげないといけませんので、これでやめます。

あ……!

娘が後ろから抱きついてきました。もうやめないといけません。

家族の前でパソコンを開き、キーボードを叩き続けていると、「空気」が悪く
なるかもしれませんから……。