2014年6月2日

お客様にエラそうにされなくする技術【刺激馴化】

● 今回のテクニック:【刺激馴化(9)】

刺激馴化とは、刺激にさらされつづけるとその刺激に順応してしまい、徐々に
特定の反応を示さなくなる現象をいう。

どんなに嫌な刺激も、馴れることで回避されていく傾向にある。

たとえば、最初は気が進まない事柄であったりしても、無理やりにでもスター
トして回数を重ねてしまえば、自然と体が慣れてしまって嫌な気分にならなく
なったり。(たとえば早起き。ジョギングなど)

たとえば、最初は怖い人だなと思い込み、できれば会わないままにしておきた
いと考えていた人とも、面談回数を重ねていくことによって、それほど気にな
らなくなったりすることがある。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「君はどうして、そうなんだ?」


部下 :
「すみません」


マネジャー :
「見積りは350万円で出せと言っただろう? どうして290万円の見積
もりを作ったんだ?」


部下 :
「お、お客様にそう言われて……」


マネジャー :
「お客様に言われたから値引きをしたのか? 290万円だったら、まるで
採算が取れない」


部下 :
「し、しかし、これまでの関係上……値引き要請を断ったら仕事はいただけ
ません」


マネジャー :
「そんなことがあるか。前の担当のMさんは、そのお客様と価格交渉をした
ことがないんだぞ」


部下 :
「その時代とは違います。お客様の置かれている環境の変化があったもので
すから……」


マネジャー :
「自分のせいではない、ということか? じゃあたとえMさんであっても、
値引きをしないと仕事はとれないと言いたいのか?」


部下 :
「た、たぶん……。そうだと思います」


マネジャー :
「本当か? うーん、今度からは絶対にダメだぞ。こんなこと部長にどう説
明したらいいかわからん」


部下 :
「あ、あの……」


マネジャー :
「どうした?」


部下 :
「実は、その……」


マネジャー :
「何だ?」


部下 :
「あの……。さらに値引きをしてくれと、お客様から言われているんです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「……はァ?」


部下 :
「……す、すみません」


マネジャー :
「何を言ってるんだ、君は?」


部下 :
「も、申し訳ありません……。し、しかし、先方の本部長を説得するにはさ
らに30万円を落とし、260万円ぐらいじゃないと意思決定できないとい
う話になっていて……」


マネジャー :
「ダメだ、ダメだ」


部下 :
「ええっ! し、しかし、向こうの要望を飲まないと、今回の仕事は……」


マネジャー :
「これ以上の値引きはいっさい応じない」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「たとえ、それで破断になってもかまわない」


部下 :
「そんな」


マネジャー :
「君がどうしてそんなに焦っているかわかる。そのお客様からの仕事がとれ
ないと、今期どころか来期以降の目標も達成できなくなるからだ」


部下 :
「そ、そうです……」


マネジャー :
「余裕がない人は顔に出る。表情を見ていればわかる。君の態度や話し方を
見ていると、相手はつけあがってくるだろう」


部下 :
「は……は、い」


マネジャー :
「『刺激馴化』だ。誰だって最初から価格交渉はイヤなもの。しかし営業が
抵抗を見せないと、お客様はその『刺激』に慣れてくる。もっと値引きして
もらえるかもしれないと、つけあがってくるんだよ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「いったん値引きに応じたら、相手はその刺激に慣れてくる」


部下 :
「それじゃあ、どうすればいいんですか……」


マネジャー :
「だから、普段から予材をたくさん積み上げておけと言ってるんだ。予材が
ないから、そのように余裕がなくなるんだ」


部下 :
「あああ」


マネジャー :
「君から『売れない空気』が漂っている。お客様は、その空気に感化されて、
君に値引き交渉を仕掛けてくるんだ」



……「売れない営業」は、「売れない空気」をまき散らしています。「売れる
営業」は「売れる空気」を纏っているのです。

それでは、結果を出してもいない営業が「売れる空気」を身に纏うためにはど
うすればいいのでしょうか?

そのことをコラムに書きました。かなりの力作となりました。ぜひお読みくだ
さい。


■「空気」でお客様を買う気にさせるテクニック
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140602-00035929/

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【編集後記】

先日、ある育児の専門家から言われたことが、すごく頭に残っています。

それは、「空気で人を動かす」に書かれていることが、そのまま育児にも使え
る、という話です。

「君はどうしたいんだ?」「結局、お前がどうしたいかだよね?」「じゃあど
うすればうまくいくと思った?」と子どもに質問ばかりしていても良くない。

人生経験の少ない子どもに正しい「答え」はなく、質問スキルが乏しいのに質
問ばかりしているとかえって混乱させ、悩みを深めて無限ループに入っていく
危険性がある。だから「コーチング」よりも「ティーチング」。

親が繰り返し繰り返し、諦めることなく「ティーチング」する姿勢が必要だと
いう話でした。

その方は「過剰承認」も、子どもをダメにすると言われていました。ストレス
に強くなるために、子どものころから「慢性ストレス」の耐性が落ちないよう
に正しいストレスをかけ、正しい承認をすべきだとのこと。

私は「部下育成」と「育児」は別物だと思っていて、

今回の書籍に書いたことは、家庭教育に使えないと思っていたのですが、意外
とそうでもないようです。

確かに「空気で人を動かす」に書いたとおり「金銭的報酬」で子どもを釣るのは良くないですね。やり過ぎると「刺激馴化」を引き起こします。

何か特典がないと宿題をしない、褒められないとお手伝いをしない、という風
ではなく、

そうすることが「当たり前」だという空気を家庭の中で作り上げることができ
れば、

みんな自然と相手をおもんばかって動き出すでしょうね。

日ごろからの挨拶、声かけ――存在欲求の承認(無関心の裏返し)を続けて、
良い空気を作る下地を築き上げておきます。

そして家庭における最低限のルールは守ることが必要ですね。

「息抜き」も大事ですが、

家にいるときも「なあなあ」ではいけません。使ったものを出しっぱなしにし
ておくとか、お菓子を食べながら寝転がってテレビを観るとか、子どもの話を
聞かずにスマホばかり眺めているとか……子どもには真似して欲しくないこと
を親がしていてはいけませんね。

家庭に「締まった空気」が蔓延していなくてもいいですが、「親しき仲にも礼
儀あり」という言葉はいつも頭に入れておきたいと思っています。


●「空気で人を動かす」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894516195/mysterycon0c-22/ref=nosim