2014年7月25日

「予材管理」と「案件管理」の違い【カウンター・エグザンプル】

● 今回のテクニック:【カウンター・エグザンプル(8)】

カウンター・エグザンプルとは、物事に対して、ある「一般化」の思い込みを
している人に対し、それが真実ではなく、単なる思い込みに過ぎないことを気
付かせるテクニックである。

「一般化」の表現をしている人は、「みんな」「すべて」「いつも」という表
現をよく使う。

本当に「みんな」そうなのか? 本当に「すべて」そうなのか? 本当に「い
つも」そうなのか?

具体的な過去の体験について語ってもらうことにより、その思い込みを気付か
せることができる。

あいまいな表現をする人には「具体的に?」「たとえば?」という質問を使っ
てみよう。


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● 今回のコミュニケーション例


マネージャー :
「目標の2倍の予材を積み上げて、最低でも目標を達成させるようにしてく
れ」


部下 :
「はい。予材管理ですよね。わが部署でも予材管理はやっています」


マネージャー :
「予材は目標の2倍に達しているのか?」


部下 :
「2倍はないですが……。だいたいみんな、やっています」


マネージャー :
「2倍はない? 【具体的】に、どれぐらいなんだ? 曖昧な『ぼかし表
現』はやめたまえ」


部下 :
「具体的にって……。人それぞれです。でもみんな意識してやってます」


マネージャー :
「『みんなやってます』では、まったく具体性がない。【たとえば】Hさん
はどうなんだ」


部下 :
「Hさんの予材、ですか? けっこう積みあがってると思います」


マネージャー :
「だから……そういうぼかし表現はやめてくれ、と言ってるじゃないか。
『場の空気』が悪くなる」


部下 :
「そんなに曖昧な表現をしてますかね」


マネージャー :
「J君はどうなんだ?」


部下 :
「J君の予材ですか? どうでしょう……」


マネージャー :
「この前より増えたのか?」


部下 :
「この前の営業会議からですか? いえ、増えていませんが」


マネージャー :
「だったら1.2倍しかない。J君の予材、2倍には到底足りないよ」


部下 :
「そんなこと言われましても、みんなそんな感じですよ。目標の2倍なんて、
積みあがるわけありません」


マネージャー :
「予材資産はどれぐらい保有している?」


部下 :
「予材資産?」


マネージャー :
「予材ポテンシャル分析をして、KPIカウントシートを作成しただろ
う?」


部下 :
「え……?」


マネージャー :
「予材ポテンシャル分析をしていないのか?」


部下 :
「わが部署にあるリスト40社を全員でチェックして、その中で見込みのあ
りそうな先を予材資産と呼んでいますが……」


マネージャー :
「じょ、冗談じゃない……。君の部署の管轄には、1200社の市場がある
だろう。それを抜け漏れなく分析をするんだ」


部下 :
「分析……」


マネージャー :
「君は本当に予材ポテンシャル分析を知っているのか? 【たとえば】A社
の予材ポテンシャルはどれぐらいある? 【具体的に】言ってみてくれ」


部下 :
「いや、あの、その……」


マネージャー :
「ダメだ。まったく予材管理を理解していない。『行くべき先』へ行ってい
ないどころか、それがどこかわかっていない」


部下 :
「す、すみません」


マネージャー :
「君たちがやっているのは、ただの案件管理だ。すでに発生している案件を
管理していると、どうしても視点が近視眼的になる」


部下 :
「確かに、短期的な思考になりますね……。結果が出ないと焦ってきます
し」


マネージャー :
「その発想で、目標の2倍の予材など積上げられるはずがない。当社の『予
材回転率』を考えたとき、年間予算の5倍の『予材資産』を保有しろ」


部下 :
「予算の5倍のっ?」


マネージャー :
「そうだ。それぐらい保有できれば、年間の2倍の予材ぐらい楽勝に積みあ
がる」


部下 :
「す、すみません、勉強不足で。『予材』と『予材資産』は何が違うんです
か?」


マネージャー :
「やれやれ……」



……私ども予材管理のセミナーに来られる方の中に、「予材管理」と「案件管
理」を混同している方がいらっしゃいます。

『案件』と『予材』はまるで異なるものです。

そして『予材』と『予材資産』も言葉の定義が異なります。

企業に則した「予材管理」を設計する「予材管理研修(6ヵ月間)」が、最近、
とても好評です。

興味のある方はお問合せください。

また、「予材管理5つ道具」を紹介した日経ムックもご参照ください。

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【編集後記】

2月に発売した日経ムックの「あとがき」で予告したとおり、今後は日経BP
社、日経BPビジョナリー経営研究所とともに、「ターンオーバー戦略」とい
う経営戦略の提唱に力を注いでいきたいと考えています。

会社のインフラである「営業・販売力」を武器に、成熟した市場を「ひっくり
返す」戦略です。

マーケティング・ミックス(4P)で考えると、

●プロダクト……「イノベーション理論」の、アーリーマジョリティ・レイト
マジョリティが受け入れられる商材

●プレイス……レッドオーシャン(ブルーオーシャン戦略の真逆)

●プロモーション……「人」を中心としたプロモーション戦略(アセット・ア
ロケーション・マーケティング)

●プライス……「コストリーダーシップ戦略」をとらない

マネジメント手法は「マーケティング・リーダーシップ・マネジメント(ML
M)」をとり、情報システム(SFA/CRM)で集中管理する。

目新しい商材や、IT技術に翻弄されない、堅牢な組織インフラで企業を強く
します。

構想はまとまりつつありますが、「ターンオーバー戦略」をとりやすい業界は
具体的にどこなのか? その特性は? ……などを研究対象としていきたいと
考えています。