2014年7月7日

「イージーカム・イージーゴー」を忘れない【ドア・イン・ザ・フェイス】

● 今回のテクニック:【ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(15)】

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックとは、はじめに本当に頼みたい事柄よ
りもかなり負担の大きな依頼をし、一度断られてから本当に頼みたいことを伝
えるテクニック。

最初に提示した情報が頭に残り、その後の判断に影響を与えるアンカリング効
果の一部と考えてもよい。

依頼者が一端譲歩すると、ついつい相手も譲歩してしまうことを「譲歩の返報
性」と言うが、これを利用ししている。

※ 「フット・イン・ザ・ドアテクニック」の反意語。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「久しぶりだな」


部下 :
「はい。7月1日に、戻ってまいりました」


マネジャー :
「退職したのは2年前だったか」


部下 :
「はい。30歳の誕生日でした」


マネジャー :
「確か、ビジネスで成功する情報をまとめ、それをネットで販売して儲ける
と言って辞めた」


部下 :
「そうです」


マネジャー :
「それで、君は儲かったのか?」


部下 :
「最初の2ヶ月は全然でしたが、3ヶ月目からは売れ始め、半年で800万
円ぐらいは稼ぎました」


マネジャー :
「半年で800万円か。それは凄いな……」


部下 :
「元手ゼロでしたから、うまくいきすぎですね」


マネジャー :
「その後はどうなった?」


部下 :
「半年たってから、ネットで知り合った人の紹介で、他にも事業をスタート
させ、それも意外と順調にいきました」


マネジャー :
「おおお。凄いじゃないか」


部下 :
「初年度の儲けが1400万円ほどでした。いろいろな経費を除いても」


マネジャー :
「なるほど……。君が退職すると言い出したとき、私は『バカな考えはよ
せ』と言ったんだが、それほど『バカな考え』ではなかったわけだ」


部下 :
「はい。私は確信していました。絶対に儲かるって。うまくいってない人も
いましたが、それはやることをキチンとやってないからです。正しくやるべ
きことをやっていれば確実に儲かるネットビジネスだったのです」


マネジャー :
「へえ」


部下 :
「今でもそう思っています」


マネジャー :
「それでも、君はこの会社に戻ってきた」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「500万円だったか? 借金は」


部下 :
「はい。本当に恥ずかしいですが、次の1年で地獄を見ました」


マネジャー :
「妙な事業に手を出したのか?」


部下 :
「いえ、そうではありません。事業はすべてうまくいっていました」


マネジャー :
「なら、どうして借金を抱えるほどに?」


部下 :
「わかり、ません」


マネジャー :
「わからない?」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「儲かった分だけ散財したのか?」


部下 :
「そんなつもりはなかったんですが……」


マネジャー :
「君は頭がいい。聡明だ。そんな君がわからないはずがないだろう?」


部下 :
「本当にわからないんです。それほど調子に乗っていたわけでもないんです
が」


マネジャー :
「……」


マネジャー :
「ただ……。借金以上の問題が私に残ったことは事実です」


部下 :
「どういう?」


マネジャー :
「ものすごく大切なものを失った気がしています」


マネジャー :
「……」


部下 :
「本当に、大きなものを、なくしてしまった気がするんです。それが何かわ
かりませんが」


マネジャー :
「君は」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君は、本当に聡明だ……。よく2年でそれに気づくことができた」


部下 :
「部長、そこでお願いがあるのですが」


マネジャー :
「なんだ?」


部下 :
「9月から始まる新しい事業を私に任せてもらえませんか? 6人でプロジ
ェクトチームを作っているそうですが、私をリーダーに推薦してもらいたい
んです」


マネジャー :
「えっ」


部下 :
「いったん地獄を見てます。人より3倍の仕事をし、10倍の結果を出す覚
悟で舞い戻ってきました。お願いします」


マネジャー :
「い、いきなりプロジェクトリーダーにって無理だよ。メンバー、全員、君
よりも先輩だ」


部下 :
「ぜひ、お願いします。絶対に結果を出しますから」


マネジャー :
「そう、言われても……」


部下 :
「この通りですっ」


マネジャー :
「そんな風に頭を下げられても、困る……。わ、わかった。リーダーは無理
だけど、メンバーには推薦しておく」


部下 :
「本当ですか?」


マネジャー :
「プロジェクトで力を発揮してくれ。君が認められるかどうかは、その後
だ」



……「イージーカム・イージーゴー」とは、ことわざ「悪銭身につかず」の英
語版です。

簡単に手に入ったものは、簡単に外へ出ていく、ということ。

「お金の出てゆくスピードはそのお金を稼ぐために使った時間、労力に比例す
る」

という「ガイアの法則」が私は好きで、ラクして何かを手に入れようとすると、
必ずその発想は後で裏切られると、いつも考えています。

ですから私どもが提唱している「予材管理」は、定着させるまでに苦労はしま
すが、その後は安定して「絶対達成」していくのです。

アマゾンで拙作「空気で人を動かす」を一緒に購入されることの多い田坂広志
氏の久々のベストセラーは、「知性」という切り口でそのことを語っています。

著書「仕事の報酬とは何か」で、「良き仕事を残すうえでもたらされた人間的
な成長」こそが最大の報酬だと語った氏は、「知性」という視点で鋭く問い掛
けてくれます。


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【編集後記】

「イージーカム・イージーゴー」と聞くと、B'z(ビーズ)を思い出す方もい
らっしゃるのではないでしょうか。

B'zの「Easy Come, Easy Go!」は初期の代表曲ですよね。

恋愛の曲ですから、簡単に付き合える相手はすぐに去っていく、という意味合
いなのでしょう。

私はずっとヴァン・ヘイレンやボン・ジョビ、MR.BIG、スキッドロウな
どのハードなロックを聴いていたので、

この時代(1990年ごろ)に頭角を現したB'zにすごく親近感を覚えていま
した。

なぜなら(ご存知の方も多いでしょうが)、B'zの曲はすごく、これらアメリ
カンハードロックバンドの曲に似ているのです。

もちろんすべてではないのですが、友人にアルバムを借りて聴いていると、

「これはエアロスミスのあの曲とすごく似ている……」

「曲の入り方がヴァン・ヘイレンのあの曲と同じように聴こえるが……」

など、いろいろな発見があるのです。

これもB'zの曲の楽しみ方? の一つかもしれません。

曲のオリジナリティも重要ですが、ライブの時に正しく演奏できるか、迫力あ
る歌声をオーディエンスに聴かせられるかはもっと重要だと思っています。

その意味合いでは、B'zは世界でも一級品なのでしょうね。