2014年8月14日

「綺麗ごと」の営業改革【マイ・フレンド・ジョン】

● 今回のテクニック:【マイ・フレンド・ジョン(10)】

マイ・フレンド・ジョンとは、「話し手」の知人や知人を介して聞いた話、も
しくは「一般論」の中に、相手をイメージ誘導させたい内容を意図的に含ませ
る方法。

他人の体験も、自分の体験のように聞こえてしまい、「話し手」が直接的にリ
ーディングせずとも相手を誘導できる、説得技術。

「お客様の声」というのは、まさに「マイ・フレンド・ジョン」の典型例。

相手との深い信頼関係(ラポール)が必要であることが前提である。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「あ、部長」


マネジャー :
「おお、どうした。お盆休みなのに出社してきたのか」


部下 :
「ええ、雑務がたまっているものですから」


マネジャー :
「それにしても、参ったよ……」


部下 :
「どうかしたんですか」


マネジャー :
「先週末、広島の実家に戻って同窓会に参加した」


部下 :
「そういえば部長って、広島出身でしたよね」


マネジャー :
「そう」


部下 :
「同窓会で何があったんですか?」


マネジャー :
「地元で社長になった幼馴染から相談を受けた。営業組織を立て直したいっ
てな」


部下 :
「へえ」


マネジャー :
「私が営業部長になったと言うと、これからどう営業改革するかを聞いてく
れと言いはじめた」


部下 :
「同窓生の中でもリーダー的存在だったんですか?」


マネジャー :
「うーん、まァ、頼りにされることは多いかもしれん」


部下 :
「それで、その方はどんな営業改革をされようとしていたんですか」


マネジャー :
「これまで、時代に合ったスマートな営業活動をもっと目指すべきだと思い、
仕組みを活用した営業、お客様のニーズを聞き出して提案営業をしてきたら
しい」


部下 :
「へえ。うちと似ていますね」


マネジャー :
「具体的には、インターネットを活用したり、営業に情報武装させたりして、
けっこう投資をしてきたようだ」


部下 :
「なるほど……。その点も当社と似ていますね」


マネジャー :
「ソリューション営業をするための研修も、何度か実施したようだ」


部下 :
「そこも、当社とそっくりですね。私も盆明けに研修を受講します」


マネジャー :
「そいつ、全部ムダな投資だった、と言うんだ」


部下 :
「ええっ!」


マネジャー :
「その理由はひとつしかない。結果が出ていないからだ」


部下 :
「結果が、出ていない……」


マネジャー :
「スマートな営業を目指しすぎて、営業が大事なことを忘れたというんだ
よ」


部下 :
「大事なことって?」


マネジャー :
「つまり、その『結果』だ。『結果を出す』という意識が薄れた。仕組みや
提案……といった手段に営業の意識が向きすぎた、って」


部下 :
「……おおお」


マネジャー :
「社長になったその同窓生は言うんだよ。今回のことで、つくづく人は感情
で動くとわかった、と」


部下 :
「感情で?」


マネジャー :
「そう。これまで、どんな営業改革をしようとしても言うことを聞かなかっ
た営業が、ネットやチラシ、提案書を最適化して、時代に合ったスマートな
営業をしようと言ったら、とたんに前向きになったと」


部下 :
「……まるっきり、当社と同じじゃないですか」


マネジャー :
「つまり、その営業の意思決定そのものが『感情』によるものだ、と」


部下 :
「げ」


マネジャー :
「俺、そいつの話を聞いていて、汗が出てきたよ」


部下 :
「心なしか、私も汗が出てきました」


マネジャー :
「先月、そいつが営業部長を呼び出し、具体的な結果が出ていなくてもいい
が、今回の改革でどれぐらいの見込み客、どれぐらいの商談が増えるのか、
仮説でいいから言ってくれと問い掛けたら、まったく答えられなかったらし
い」


部下 :
「つまり、営業の皆さん自身が、まったく論理的に考えていないということ
ですね」


マネジャー :
「もし俺が社長に呼び出され、そう問い掛けられても、答えられん」


部下 :
「……わ、私も」


マネジャー :
「感情に訴えるだけではダメだけれど、営業にとって大切なことを私は忘れ
ていたかもしれん」


部下 :
「営業もお客様も人間ですからね。反省します」


マネジャー :
「お盆明けから、当社も考え直さなくいけないな」


部下 :
「はい」



……人は「感情」によって動く生き物です。お客様も、何となくの「感情」に
よって意思決定をすることが多いのです。

すべての選択肢を吟味したうえで「経済合理性」に基づいて判断しているわけ
ではありません。

にもかかわらず、お客様が「論理的」に意思決定しているものだとし、「売れ
ない理由」が「品質」「価格」「納期」(いわゆるQCD)にこそあると思い
込む営業がいます。

そして、もっとお客様のニーズに合った提案をしなければと悩み、泥臭い営業
ができなくなっていきます。

この営業の悩みこそが「経済合理性」に基づいておらず、単なる「感情」に左
右されていることが多いのです。営業に、今の活動の論理性を尋ねれば、すぐ
に判明します。

明日の「号外メルマガ」で、詳しく解説します。


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【編集後記】

これまで「絶対達成マネジャー特訓コース」という連続講座を当社で開いてき
ましたが、

10月からは「予材管理インストラクター養成コース」も併設する予定です。

これは社内で「予材管理」を普及するための知識と、社内特有の事情も踏まえ
たうえで予材管理をカスタマイズできる力を備えることがゴールのコースです。

「絶対達成マネジャー特訓コース」は、部下の行動をロックすることを義務付
けていますが、

「予材管理インストラクター養成コース」は知識習得が目的ですので、講座を
連続受講する必要はありません。「単位性」です。

しかしながら「テスト」に合格しなければならないこと、社内での適用状況を
レポートするなどの義務を課す予定です。

また、メルマガにてアナウンスしていきます。