2014年8月18日

お客様の心を打つ「提案」の方法【プリフレーム】

● 今回のテクニック:【プリフレーム(18)】

プリフレームとは、打合せや商談に入る際、もしくはそれよりも前に、これか
ら話す内容の意味(フレーム)を明確に伝えておくことである。

それによって、相手の視点をフレーミングし、主導権を握ることが容易になる。

冒頭に趣旨をしっかりと説明するだけであるため、非常に簡単なスキルである。
メールと効果的に組み合わせることにより、より有効性が増す。

「DVD4」でも紹介しているとおり、相手を説得するうえで、最も簡単で、
最も強力なコミュニケーション技術である。


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● 今回のコミュニケーション例 【 プリフレームを使わない例 】


部下 :
「どうしたら、お客様のハートを掴めるんでしょうね。もう、わからなくな
ってきました」


マネジャー :
「どうしたんだ」


部下 :
「お客様にヒアリングし、その通りに提案書を作って持っていったんです。
しかし、結局はライバル会社に負けてしまいました。4月からもう0勝7敗
です。全然、ダメなんです」


マネジャー :
「うーん……。君はどうしてダメだったと思うんだ?」


部下 :
「ちゃんとヒアリングはしたんですよ。そのヒアリング通りの提案書は作成
しました。けっこう時間はかかったんですよ。2、3日かかったと思いま
す」


マネジャー :
「2、3日ね……」


部下 :
「ここに提案書があります。見てもらえませんか」


マネジャー :
「うーん……。だいたい、君は今回の提案をするのに、どれぐらいお客様の
ことを調査したの?」


部下 :
「ですから2、3日はかけました」


マネジャー :
「提案書を作るために要した時間ではなくて、お客様の業績のことや、業界
のことは?」


部下 :
「それは調べてません。どうやって調べるんですか?」


マネジャー :
「この会社の規模であれば、ホームページにIR情報が掲載されている」


部下 :
「ああ、そうなんですか。でも、そんなことを調べる必要があるんでしょう
か」


マネジャー :
「業績が下降ラインを辿っているのか、上昇しているのか。人員を増強しよ
うとしているのかはわかるだろう。業界を詳しく調べれば、他社の取組みも
判断材料になる」


部下 :
「そこまで提案書に盛り込むと、ページ数が増えすぎてしまうと思います」


マネジャー :
「商品アイテム、ラインアップも調べたか? 店頭販売されている商品は、
店頭をいくつかまわってみたか?」


部下 :
「何のために、ですか」


マネジャー :
「このお客様の商品の売れ筋をチェックするためだ。実際に店頭に並んでい
るかどうか。店頭でどれぐらいの扱いをされているのかもチェックしたらい
い」


部下 :
「それが提案の内容に関係するんでしょうか。私はお客様にヒアリングした
内容に沿って提案書を作ったんです」


マネジャー :
「お客様から聞いた内容を裏付ける意味で、必要だと思ったんだ」


部下 :
「店頭まで足を運んで、具体的に、どんな提案をすればよかったんです
か?」


マネジャー :
「それはわからない。現場へ行くことで、何か気付きが得られたのかもしれ
ないというだけだ」


部下 :
「そこまでやっても意味がないですよ。だいたい、これは営業第2課のKさ
んが作成した提案書を参考に作ったんです。Kさんが過去に成功した提案書
をひな形にしてるんですから、これでいいんですよ」


マネジャー :
「他人の猿まねの提案書では、お客様の心を打つことなんてできないだろ
う」


部下 :
「お客様の心を打つ? 何度も言いますが、私はお客様にちゃんとヒアリン
グしてるんですよ。ヒアリングした内容を忠実に再現したんです」


マネジャー :
「じゃあ、どうして契約がとれなかったんだ?」


部下 :
「そんなこと知りませんよ。だから課長に相談してるんじゃないですか」



● 今回のコミュニケーション例 【 プリフレームを使った例 】


部下 :
「どうしたら、お客様のハートを掴めるんでしょうね。もう、わからなくな
ってきました」


マネジャー :
「どうしたんだ」


部下 :
「お客様にヒアリングし、その通りに提案書を作って持っていったんです。
しかし、結局はライバル会社に負けてしまいました。4月からもう0勝7敗
です。全然、ダメなんです」


マネジャー :
「なるほど。それは落胆するよな。私が営業をはじめたころも、そういうこ
とが多かった。0勝7敗どころか、0勝20敗ぐらいだったんじゃないか」


部下 :
「課長が、ですか?」


マネジャー :
「そうそう。その当時、お客様にヒアリングして、ヒアリングした中身のこ
とをそのまま提案書に記していた。もちろんデザインや様式、どうやったら
相手に伝わるだろうかと、文章も常に工夫をし続けたが、結局それ以上のこ
とはしなかった」


部下 :
「それ以上のこと?」


マネジャー :
「当時の営業部長に教えられたよ。お客様のために『汗』をかいてるか?
って……。お客様のところへ足を向け、体力的に疲れて汗をかく、というこ
とだけではなく、お客様が口にしない業界の動向だとか、売れ筋製品の反応
だったりとか、そういうものを調べているか? ということだった」


部下 :
「……」


マネジャー :
「相手との信頼関係を構築するときは、単純に接触するために足で稼ぐって
ことが必要だけど、その『単純接触』をしている間に、お客様のことをよく
調べておき、いざ提案となったときに慌てないようにする姿勢が必要だった
んだろうな。若いころの私には理解できなかった」


部下 :
「はァ」


マネジャー :
「今になってようやくわかってきた。お客様のこと、業界のことを徹底的に
調べても、その調べ上げたことを提案に盛り込むかどうかは別。しかし、そ
の営業プロセスは伝わり、結果的にその姿勢がお客様の満足度を高めるのだ
と思う。営業が醸し出す空気でわかるんだよ。やっつけ仕事で作った提案な
のか、それとも徹底的に調査して作成した提案なのかは」


部下 :
「……なる、ほど」


マネジャー :
「だから提案書はメールとかで送ってはダメなんだ。必ず対面で、キチンと
説明しなくてはならない。営業に自信があるなら、どんな質問をされても問
題ないと思うだろう。その『非言語データ』が対面なら伝わる」


部下 :
「空気で、お客様を動かす、ということですね?」


マネジャー :
「空気……。確かに、極端な表現をするとそうかな」


部下 :
「参考になりました。私は必要のない情報を入手しても、相手に言語データ
として伝わらないのなら意味がないと思っていました。やっつけ仕事で提案
書を作ってきたわけではないですが、なぜ提案で負け続けているのかわかっ
た気がします」



……営業はお客様を満足させるために、徹底的に準備する必要があります。

もちろん準備した内容がお客様のニーズと合致するように努力するわけですが、
たとえ合致しなくとも、お客様を満足させようとしたそのプロセスそのものは、
お客様に伝わります。

お客様のために「100」のことを準備し、その「100」のことがお客様に
伝わらなくても、「100」準備したという営業の自信が「非言語データ」と
なってお客様を満足させ、この人は信頼できるという安心感・誠実さを与える
からだと思います。

ところで先週の号外メルマガで案内した下記コラムは、お盆休みなのに2日間
で「2万5000PV」を記録しました。

この内容でこのPV数は記録的です。

否定的な反応は想像以上に少なく、「もっと激しく書いてもよかったのに」と
いう声が多勢でした。ご参考まで。


■ 現代の「営業」にとって最も重要なこと
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140815-00038258/

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【編集後記】

昨日(8月17日)、知的障がい者のボランティア活動がありました。今年で
24年目となります。

ところが、ここ3年以上続けてきた「皆勤賞」が先月に途絶え、意気消沈して
いたのですが、今月からまた復活。

昨日、活動へ顔を出したら、多くの人から、

「横山くん、ついに皆勤賞、なくなったなー」

と言われました。保護者の方からも、

「横山くんが来な、はじまらんがね」

とも言われました。ありがたい言葉です。

昨日は料理室で「冷やし中華」を作り、保護者の皆さんを含め30名ぐらいで
食べました。

自分の年齢よりも続けているボランティア活動。

これまで何度も辞めようと思ったかわかりませんが、今では、最高の気分転換
の「場」のひとつとなっています。

私が心から楽しんで参加していると、それが伝わるのか、障がいを持った人々
も楽しそうに笑ってくれます。

それがたまらなく嬉しいですね。