2014年8月24日

打ちのめされたとき、どうするか?【ダブルバインド】

● 今回のテクニック:【ダブルバインド(20)】

ダブルバインドとは一般的には「二重拘束」を指す。

そのダブルバインドの理論を精神治療用に変化させたのがミルトン・エリクソ
ンであり、迷える相手を「二者択一」の質問をすることにより、催眠誘導する
技。

相手がまだ決断をしていないにもかかわらず、「Aがよいか、Bがよいか」と
迫るため、リーディングするまでは十分にペーシングしておくことが不可欠で
ある。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「課長、何してんの」


マネジャー :
「デスクの片付けだ」


部下 :
「整理整頓は日ごろからやっておかないとね」


マネジャー :
「このデスクそのものを片付けるんだ」


部下 :
「お払い箱ってこと?」


マネジャー :
「デスクではなく、私自身が、だ」


部下 :
「課長、何か悪さでもしたわけ? 社長の彼女に手を出したとか」


マネジャー :
「……相変わらずだな」


部下 :
「朝早くから出社して、夜遅くまで仕事して、それでもお払い箱にされる。
残念な結末じゃないですか」


マネジャー :
「本当に、残念な結末だ」


部下 :
「どこへお払い箱に?」


マネジャー :
「お払い箱は、お払い箱だ。それ以上でも、それ以下でもない」


部下 :
「マイホームを建てたばかりだったでしょ? 部長はそのタイミングを狙っ
てたのかな」


マネジャー :
「明日のビッグサイトでのイベントは、もう終わりだ」


部下 :
「ああ、あれの話?」


マネジャー :
「とぼけるな。業績が上がらないため、起爆剤の一つとして私が提案した。
それなりの投資が必要だったが、来場者を正しくフォローすれば、見込み客
は増えると算段した」


部下 :
「課長、4月から必死で訴えてたもんね。社内でも有名でしたよ」


マネジャー :
「無関心だけなら、まだましだった」


部下 :
「そうだろうね……」


マネジャー :
「部長が、金融機関を後ろ盾にした社長の講演会を同日に開催することを決
めた。そして全社員も参加必須とした」


部下 :
「そうそう」


マネジャー :
「しかし私はビッグサイトへの出展をすでに決めていて、後戻りできなくな
っていた」


部下 :
「そりゃあ、それなりの投資だから」


マネジャー :
「今年の初めからずっと準備してきた。部課長全員はもちろん、社長も知っ
ていた」


部下 :
「俺も知ってたよ」


マネジャー :
「うちの課だけでなく、会社全体の波及効果も考えての行動だったんだ。に
もかかわらず、誰もこの会社の業績のことを考えていない」


部下 :
「……」


マネジャー :
「全社員どころか、主要取引先も社長の講演会に参加する。だから明日のビ
ッグサイトのイベントへの告知や集客ができなくなった」


部下 :
「部長から目をつけられたのは?」


マネジャー :
「3年前からだ」


部下 :
「嫌がらせを受けてきたってわけか」


マネジャー :
「ここまでされたことはない」


部下 :
「メソメソすんなよ。イベントは明日だろう? 明日のイベントが成功すれ
ば文句はないはずだ」


マネジャー :
「……相変わらず、君は口のきき方を知らん男だな。君はまだ20代前半だ
ろう? 20歳近く年上の私に、よくそんな話し方ができるもんだ」


部下 :
「入社したとき、課長が俺に言ったんじゃないですか。上司と部下の関係じ
ゃなく、会社を発展させるための仲間だと思ってくれって」


マネジャー :
「そりゃあ、言ったが」


部下 :
「口のきき方を遠慮してたら、あなたみたいに、周囲になめられてしまうか
もしれないだろ」


マネジャー :
「ちっ。じゃあ、どうやって成功させればいい? 当初、私が立てた集客目
標は300人。しかし、現時点で集客見込みは47人だ。当社のブースは閑
散とするだろう」


部下 :
「社長の講演会は盛り上がるのに、イベントのブースは閑古鳥。おもしれー
現象だな」


マネジャー :
「社員は誰も来てくれない。課長らも、今月に入ってから私と誰も口をきか
なくなった」


部下 :
「社長の講演会は、業績アップにまるで寄与しない」


マネジャー :
「……その通りだ」


部下 :
「先代の社長が昨年末に死に、俺と同い年の息子が代表権を持った。しかし
実際は部長が実権を握っている」


マネジャー :
「今の社長は、親父さんと違って目立ちたがり屋だ。チヤホヤされるのが好
きなんだ」


部下 :
「会社の業績のこともまったくわかっていない」


マネジャー :
「正直なところ、部長もだ。単に自分の権力を見せつけたいだけだ。部長の
やり方に異を唱える私を粛清しようとしている」


部下 :
「物騒だな」


マネジャー :
「明日のイベント、300人の集客ができなければ私は責任をとることにな
っている。だからもう、お払い箱だ」


部下 :
「サラリーマンっていうのは、大変だなー」


マネジャー :
「君は、本当に変わってるな。正直なところ、普通のサラリーマンじゃない
ほうが向いてるんじゃないのか?」


部下 :
「失礼だな。俺にぴったりの職業だよ」


マネジャー :
「君は不思議な奴だった。君みたいな奴は、何年経っても、意外と忘れない
だろう。私は明日、ビッグサイトでのイベントが終わったらそのままオフィ
スには戻らない。会うこともないだろう」


部下 :
「会うだろ。何を言ってんだ」


マネジャー :
「……?」


部下 :
「明日、ビッグサイトへ行くよ。俺も」


マネジャー :
「……何?」


部下 :
「あの社長の話なんて聞いてられるか。ビッグサイトのイベントを手伝う」


マネジャー :
「……」


部下 :
「じゃあ、これから敬語を使って喋りまーす!」


マネジャー :
「何ィ?」


部下 :
「課長、こちらのリストをご覧ください。4月から順次私が声をかけて集め
てきたお客様でございます。こちらの項目には、お客様のポテンシャルデー
タも記載しております」


マネジャー :
「……」


部下 :
「質の高い見込み客を215社選定し、そのうち課長職以上の2765名に
ご案内し、478名を明日のイベントに集客できる見込みです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「つきましては、営業第1課から第4課までの若手17名を、明日のイベン
ト対応させることになっておりますので、明日はぜひよろしく管理統制をお
願いいたします」


マネジャー :
「な、何の話だ……? 明日は全社員、社長の講演へ……」


部下 :
「管理部の次長を私が説得いたしました。そこで課長に相談したいことがあ
ります。明日のイベントの後、先代の社長の弟さんと次長との話し合いに付
き合っていただくか。それとも現経営陣を除く社員の前で、今後この会社は
どうあるべきか語ってもらうか」


マネジャー :
「……」


部下 :
「なんて顔をしてんだよ。クーデーターだ、課長。楽しそうだろ」


マネジャー :
「……」


部下 :
「どうする? 次長に付き合うか? それとも若手社員を鼓舞するか?」


マネジャー :
「わ、若手社員を鼓舞する……」


部下 :
「じゃあ、俺もそっちに付き合う」


マネジャー :
「どうして、だ」


部下 :
「入社したときに課長が俺に言ったじゃないか。『分解』と『再構築』って。
何度分解してみても、俺の考えはあんたの考えと同じように『再構築』され
ていく。だから、これでいいんだよ」



……「打ちのめされる」ような出来事があったとき、どうするか?

私はセミナーでよく、「分解」と「再構築」を繰り返して、想像力が成長して
いく、と話しています。

既成のものを、いったん「分解」し、新しい概念を付加して「再構築」しない
と、新しい発想はできないからです。

何かをキッカケに、「打ちのめされる」ときはあります。

その時は、既成の概念が一度破壊され、「分解」されたのだと私は受け止める
ようにしています。

これまでの自分が間違っていたのなら、新しい概念を受け入れて「再構築」す
ればいいでしょう。

しかし、そうでないのなら、また同じ自分の思想や主張をまた「再構築」すれ
ばよいと思います。

そうすることで、自分の「信念」は強固なものになっていくでしょうから。


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【編集後記】

8月25日(月)の朝、名古屋駅近辺のカフェで「朝会」があります。

私がスピーカーとなり、朝7時から8時まで、著書「空気で人を動かす」を
テーマにお話をさせていただきます。

このメルマガが配信される頃には、終わっていることでしょう。

その「朝会」には、事務局を除いて28名の方が参加する見込みなのですが、
よくもまあ、集客できたなと思います。

主催者の方がフェイスブックで告知し、たった5時間ぐらいで27名の定員が
満員です。(1名は無理やり入れる?)

場所は名古屋駅近辺です。しかも時間帯は朝の7時から8時。事前告知せず、
いきなりFBでアナウンスして満員ですから、スゴイ!

フェイスブック、あなどれませんね。

ちなみに、メルマガよりもフェイスブックのほうでセミナーや講演を先行案内
することもあります。

たまにチェックいただけると嬉しいです。

■ 横山信弘のフェイスブック
http://www.facebook.com/nyattx