2014年8月7日

3種類の「表情」で人を動かす【プラシーボ効果】

● 今回のテクニック:【プラシーボ効果(14)】

プラシーボ効果(プラセボ効果・偽薬効果)とは、実際には効き目のない偽薬
を処方しても、薬だと信じて相手が服用することで、何らかの治療効果がみら
れることを言う。

暗示効果のひとつである。

もちろんのことだが乱用はご法度だ。

行動を変革させるためとはいえ、相手を騙すことにかわりはない。営業マネー
ジャが「狼少年」にならないよう気をつける必要がある。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「何が違うんでしょうね。私にはいっこうにわかりません」


マネジャー :
「何が?」


部下 :
「Tさんです。私もTさんも女。年齢も25歳。営業トークの内容も同じで
す」


マネジャー :
「営業トークが同じ?」


部下 :
「そうです。私もTさんも、J課長の門下生です。トークスクリプトを作っ
て徹底的に練習して体で覚えています」


マネジャー :
「なるほど」


部下 :
「にもかかわらず、営業成績が全然、違うんです」


マネジャー :
「今期は差がついたなァ。3倍ぐらいか」


部下 :
「そうです。3倍ですよ、3倍」


マネジャー :
「そうだよなァ、驚いちゃうよ」


部下 :
「部長はどうしてだと思いますか? お客様の選定に問題があるのかと思っ
たんですが、絶対にそれだけじゃないんです」


マネジャー :
「うーん……」


部下 :
「部長は、何かわかってるんですよね?」


マネジャー :
「え」


部下 :
「私とTさんとの差です」


マネジャー :
「ああ」


部下 :
「顔に出てますよ」


マネジャー :
「えっ」


部下 :
「『俺は君たちには決定的な違いがあることを知っている』という表情をし
ています」


マネジャー :
「表情、か……」


部下 :
「部長はすぐ顔に出るんです」


マネジャー :
「その、表情だよ」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「Tさんと、君との違いは、表情の違いだ」


部下 :
「表情……?」


マネジャー :
「ちょっと実演してもらいたいんだけど、君がお客様から注文をもらったと
き、どんな風になるか、表現してくれたまえ」


部下 :
「わかりました」


マネジャー :
「本気でやってくれよ」


部下 :
「『お客様、ご注文ありがとうございます。それでは、これから諸手続きに
ついてご説明を――』」


マネジャー :
「はいはい、ダメダメ」


部下 :
「ええっ!」


マネジャー :
「本気でやってくれ、と言ったじゃないか」


部下 :
「本気でやりましたよ」


マネジャー :
「じゃあ、もう1回やってみて」


部下 :
「ええー……」


マネジャー :
「やれないか?」


部下 :
「だって恥ずかしいじゃないですか。何度やってもさっきと同じです」


マネジャー :
「うん。そうだよね。たぶん、そうだと思う」


部下 :
「部長、やっぱり何か知ってるんですね? 私の問題点を知ってるんでしょ
う? 部長の表情が物語っています」


マネジャー :
「だから、その『表情』だって。君の表情だよ」


部下 :
「ひょ……」


マネジャー :
「君は表情がない」


部下 :
「えっ……」


マネジャー :
「表情の変化が乏しいんだ。ちょっと、笑ってみて」


部下 :
「……は?」


マネジャー :
「笑ってみてよ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「笑ってるように見えないな」


部下 :
「突然、そんなこと言われても、無理ですよォ」


マネジャー :
「Tさんは、できる」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「さっきから気になってるんだけど、君はどうして恥ずかしがるんだ? Tさんは恥ずかしいと思っても、必ずやるよ」


部下 :
「ええ……」


マネジャー :
「生理的に受け付けないようなことをお願いしているわけではない。お客様
にわかるように『笑顔』を作ることに恥ずかしがるなんて、プロとしておか
しいだろう」


部下 :
「プロ……」


マネジャー :
「君はプロの営業だろう? 表情をもっと豊かにし、『ギャップ』を創造し
て相手に心理的インパクトを与えるんだ」


部下 :
「わ、わかりました」


マネジャー :
「君は高校、大学時代、演劇部だったんだろう?」


部下 :
「そうなんです」


マネジャー :
「だからこそ、言うんだ。恥ずかしがるなんておかしいよ。Tさんは演劇も
落語も習ったことがない。毎日鏡を前にし、1年以上かけて、表情を作って
きたんだ」


部下 :
「そんな努力をしていたんですね」


マネジャー :
「表情には『オープンフェイス』『ニュートラルフェイス』『クローズドフ
ェイス』の3種類がある。これを使い分ければ、絶対にうまくいく」


部下 :
「表情の変化でうまくいくんですか」


マネジャー :
「表情の変化さえできれば、何事もうまくいくよ」


部下 :
「わかりました! そう信じて練習します!」


マネジャー :
「その表情、すごくいいねえ」



……「オープンフェイス」「ニュートラルフェイス」「クローズドフェイス」
の表情を活用して『ギャップ』を創造し、人を動かす技術をコラムで紹介しま
した。


■3種類の「表情」で人を動かす技術
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20140807-00038064/


また、表情に関わるコミュニケーション技術は、DVD4でも詳しく実演つき
で解説しています。「サイクロプステクニック」「コンピタンス」「ライカビ
リティ」……等。

表情に関して無頓着な人が多いですが、人を動かすうえで、とても大きな要素
です。知識だけでも知っておけば、これまで意識してこなかったことが意識で
きるようになりますね。

◆ Vol.4「主導権を握る! 科学的な説得/コミュニケーション技術」編
http://attax-sales.jp/products/911.html

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【編集後記】

私だけかもしれませんが、有吉弘行さんのラジオを聴いていても、あんまりイ
ンパクトがありません。

コラムにも書いたとおり、やはりテレビで、あの表情の変化を目の当たりにす
るから、あの毒舌が生きてくるのだと思います。

リアクション芸人に代表されるように、表情を変化させることで、周囲に大き
な影響を与えられる。芸能人の所作は参考になりますね。

いつも「コミュニケーション研修」の中でリアクションの取り方をレクチャー
します。

芸能人のように大げさにやればいいというものではないですが、ほとんどの人
が「他人から見てリアクションしているように見えない」ことが大きな問題だ
と感じています。