2014年11月10日

「柔軟性がある」とは、どういうことか?【好意の返報性】

● 今回のテクニック:【好意の返報性(12)】

好意の返報性とは、人は好意を受けられると、それを返したくなるという習性
のことで、ミラーリング効果ともいう。

相手とコミュニケーションをする際も、好意をもって接するのと、そうでない
のとでは相手の反応も異なる。特に信頼関係(ラポール)が崩れてきたときに
は、「きっと……に違いない」と思い込み、決め付けたような悪意ある物言い
をしてしまうものである。

ニューロロジカルレベルの概念を意識し、どんな相手であろうと、その「アイ
デンティティ」や「価値観」には好意を持ち(承認し)、相手のとった「行
動」にこそフィードバックしたいものだ。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「千葉の工場長から連絡があり、工場の稼働状況を踏まえたうえで商品の発
注タイミングを指示しろと言ってきました」


マネジャー :
「何?」


部下 :
「年末が近づき、お客様からの引き合いが増えているのですが、今年は例年
以上に盛況です。工場の稼働状況に合わせるのではなく、営業の声を聞いて
もらいたいと思います」


マネジャー :
「生産が追い付かないと言いたいのか?」


部下 :
「そのようです」


マネジャー :
「うーん……」


部下 :
「先ほどお話したとおり、私としては状況が好転している今、一気にライバ
ル会社に差をつけるべきです。工場に無理を言いましょう」


マネジャー :
「君が言うとおり、年末商戦でライバル会社に負けるわけにはいかない。行
くときは行かなければならない。君のそういう気持ちの強いところを、私は
とても気に入っている」


部下 :
「ありがとうございます。なら、千葉の工場長に言ってもらえませんか」


マネジャー :
「千葉の工場長か、彼は本当に融通がきかないからな」


部下 :
「これまで、いっつも工場の言い分に営業が合わせてきたんですよ。こうい
うときこそ、工場に頑張ってもらわないと」


マネジャー :
「君のその強い気持ちはとてもいい。他の営業に見習わせたいよ」


部下 :
「あ、ありがとうございます」


マネジャー :
「しかし、冷静にならないと、論理思考が衰える。君はちょっと感情的にな
って柔軟性をなくしている気がする」


部下 :
「どういうことですか?」


マネジャー :
「気持ちが強いのはいい。本当に私は君のそういうところが好きだ。しかし、
こういうときこそロジカルに考える習慣を身につけてくれ」


部下 :
「私だってロジカルに考えてるつもりですよ」


マネジャー :
「年末商戦に勝つべきだ。だからこそ工場に無理を言って生産してもらう必
要がある。この論拠と結論は、筋が通っている。しかし、抜けや漏れがない
か?」


部下 :
「抜け?」


マネジャー :
「工場は千葉だけじゃない。新潟と山梨、愛知にもある。稼働状況を考え、
私は愛知の工場長と話し合いをもちたいと思ってる」


部下 :
「ちょっと待ってください。私はそれこそ筋が通らないと思いますよ。いつ
も無理を言って聞いてくれるのが愛知の工場長じゃないですか」


マネジャー :
「稼働状況を見ると、年末にかけて工場のラインに余裕があるのは愛知の工
場なんだ。冷静にならないと、論理的に物事を考えられなくなる」


部下 :
「……」


マネジャー :
「気持ちが強いことはとても良いことだ。私は君のそういうところが好き
だ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「もっと冷静に、そして論理的に考えてくれ。論理性が担保できてはじめて、
柔軟性が生まれるんだから」


部下 :
「わかりました」


マネジャー :
「しかし来年2月から愛知の工場はリフォームもあって、稼働率が一気に悪
くなる。そのときこそ千葉にフル回転してもらおう。それまでは柔軟に対応
したい」



……「柔軟性がある」ということは、

1)論理的に正しい結論は他にある場合でも、
2)状況に応じて別の結論を選択できる度量がある

ということだと思います。

しかし、そのためには、論理的に正しい結論を導き出すスキルが必要です。

論理的に正しい、ということは、「論拠」と「結論」が一貫して繋がっている、
筋が通っているということ。

やはり基本スキルとしての「ロジカルシンキング」は不可欠ですね。この基本
スキルがないと、感情に振り回されてしまうからです。


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 【18点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

ロジカルシンキングを学ぶうえで外せないのが、照屋華子氏、岡田恵子氏共著
の『ロジカル・シンキング』ですが、

それよりも、さらに実践的で、応用度が高いと思われるのが、

高田貴久氏の『ロジカル・プレゼンテーション』です。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234439/mysterycon0c-22/ref=nosim

「プレゼンテーション」とタイトルに書かれていますが、完全に「論理思考」
を身につけるうえでの、重要な「縦横の論理」を、これでもか、というぐらい
に深く解説してあり、とても参考になります。

当社アタックスグループにおいても、全社員の必読の書となっています。

もう10年以上も前の書籍で、多くの人がすでにお持ちかもしれませんが、
「再現性」のある結果を出すために、これは絶対に押さえておきたいです。

私は、何度でも読み返します。