2014年11月13日

最後は「ベラの法則」を信じるしかない【ピア・プレッシャー】

● 今回のテクニック:【ピア・プレッシャー(12)】

ピア・プレッシャーとは、人間は通常、同じ組織内の仲間に認められたい、疎
外感を味わいたくないと考え、仲間のあいだで自分がどのように見られている
かを気にする傾向がある。

そのせいで、仲間や社会と同じ考えでなければならないという圧力(プレッシ
ャー)を常日頃から感じているものだ。

これをピア・プレッシャーと言う。

特に「和」を尊ぶ日本人に対しては、このピア・プレッシャーは強力と言えよ
う。


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● 今回のコミュニケーション例


営業マンA :
「部長、1月のイベントの予算はどうですか」


マネジャー :
「ああ、300万円は確保した」


営業マンA :
「300万円? ……1000万を確保してくださいとお伝えしたじゃないで
すか」


マネジャー :
「わかってる。君の言い分はわかってるが、なかなか難しいんだよ」


営業マンA :
「今度のイベントは、新規のお客様を開拓するうえで絶好のチャンスなんです。
そのために、夏からずっと営業4人で電話フォローを続けてきました。代理店
にだって説明会をしていますし、中途半端にやるわけにはいきませんよ」


マネジャー :
「300万円内でやれ、という話だ」


営業マンA :
「これまでに何度もご説明しています。本来、2000万円かかるところを、
業者を説得して1000万円まで切り詰めたんです。300万円では、ほとん
ど何もできません。ほぼすべての代理店に、ブースを出すスペースも与えられ
ません」


マネジャー :
「そこを何とかしてくれ、と社長は言っているんだ」


営業マンA :
「2ヶ月も前から企画書を渡して説明してきたじゃないですか。そこを何とか
してくれって……」


マネジャー :
「社長の性格を知ってるだろう? あの人が無理と言ったら、無理なんだよ。
300万円が限界だ」


営業マンA :
「300万円だなんて……。何もできません」


マネジャー :
「何もできないって、お前」


営業マンB :
「私も無理だと思います、部長」


マネジャー :
「おいおい、お前ら」


営業マンC :
「300万円ではイベントそのものができません。ローリングストーンズのコ
ンサートを、首都郊外の小規模ホールでやれと言われているようなものです」


営業マンA :
「今さらですが、イベントをなくすことを代理店に告知したほうがいいと思い
ます」


営業マンB :
「確かに」


マネジャー :
「おいおい、意固地になるな」


営業マンB :
「部長、意固地になってるわけではありません」


マネジャー :
「金があればいいってもんじゃないだろう。頭を使ってやれる方法を考えろ…
…。これが社長の答えなんだ」


営業マンC :
「そういう社長だとわかっていたから、あれだけの企画書を作ったんです」


マネジャー :
「発想の転換をして、イベントをせずに新規開拓をする方法を考えるか?」


営業マンA :
「いや……」


マネジャー :
「じゃあ、どうするんだ。明日の経営会議で確定するんだから、今からジタバ
タしてもしょうがないだろう」


営業マンA :
「発想の転換をするのは、明日の経営会議の後でもできます」


マネジャー :
「ああ?」


営業マンA :
「あきらめきれません」


営業マンB :
「そうです。これだけ各所に根回しし、いろいろな代理店に協力してもらい、
お客様とともに準備してきたのに、今さら引くことはできません」


マネジャー :
「しかし」


営業マンC :
「社長のスケジュールをチェックすると、今日までシンガポールで、明朝、成
田に到着すると聞いています」


マネジャー :
「お前……」


営業マンC :
「私、出迎えます」


マネジャー :
「はあ?」


営業マンA :
「出迎えか……」


営業マンC :
「最後まであきらめません」


マネジャー :
「ちょっと、お前」


営業マンB :
「俺も行くよ」


マネジャー :
「ええええ」


営業マンA :
「よし、俺も行く。課長にも連絡してみよう。朝4時に日暮里に集合するん
だ」


マネジャー :
「おいおい」


営業マンC :
「早朝に4人も出迎えがあったら社長も喜ぶでしょう。そこに賭けます」


マネジャー :
「まったく」


営業マンC :
「最後まで、やってみないことにはわからないですよ」


マネジャー :
「It ain't over till it's over. ……だろ」


営業マンC :
「え?」


マネジャー :
「ベラの法則だよ。有名なメジャーリーグの監督が言った言葉だ。すべて終わ
るまで結果はわからないって」


営業マンC :
「へええ」


営業マンA :
「ベラの法則、ですか」


マネジャー :
「日本でも、『下駄を履くまではわからない』という言葉がある」


営業マンA :
「はい」


マネジャー :
「俺は会社の前のスターバックスに陣取っているよ。社長は帰国すると、出社
する前に必ずスタバに寄るんだ。朝の7時から」


営業マンA :
「部長……」


マネジャー :
「試合が終わるまであきらめちゃダメだな。俺も本音では悔しいんだ。お前ら
がどれだけ準備してきたのか、知ってるから」



……「ベラの法則」とは、ニューヨーク・メッツ時代のヨギ・ベラ監督が、

シーズン半ばまで首位と9.5ゲーム離されていたとき、ある記者から「今
シーズンの優勝はあきらめたのですか?」と質問されて、返事したのが、

 It ain't over till it's over.

……の一言。

実際、その年はメッツが最終的に盛り返して地区優勝をするのです。

何事も、すべて終わるまでは、わからないですよね。私もいろいろな商談に関
わっていますが、あきらめたらそこで試合終了です。(スラムダンクの名言)


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 【31点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

12月頭に、フォレスト出版から新刊が出ます。

タイトルは、「空気でお客様を動かす」です。

「営業」という立場でも「お客様」という立場でも読める内容となっています。

同調性レベルによって、お客様を「自燃客」「可燃客」「不燃客」と分解し、

 ①自燃(じねん)客……空気に触れるとすぐ「その気」になるお客様。
 ②可燃(かねん)客……空気に触れ続けたり、空気を組み合わせることで、
 「その気」になるお客様。
 ③不燃(ふねん)客……空気に影響されづらく、経済合理性に基づいて意思
 決定するお客様。

お客様を動かす空気を「世間の空気」「集団の空気」「個人の空気」と分解し、

営業のスタイルを「能動販売」「受動販売」と分解し、

ニーズの更新パターンを「ニーズの発生」「ニーズの消滅」と分解し、

お客様にティーチングすべき知識を「第一の知識」「第二の知識」と分解し、

「第一の知識」はディテールの「ミクロ情報」、統計学の「マクロ情報」と分
解し、

「第二の知識」は「1.スタートする前の葛藤」「2.スタートした後に現れ
た想定外の問題/それを乗り越えた工夫」「3.終わった後の(何かを達成し
た後の)幸福感」と分解し、

それらを、お客様の属性に合わせて、どのタイミングで、どのような空気を作
るのかを本書でレクチャーしています。

特に組織営業の方は、キーパーソンが「不燃客」だったとき、どのような手順
で「外堀」を埋めていくか、参考にしてもらいたいと思います。

お客様を動かす「空気」とは、「同調圧力によって断れなくする空気」とは異
なり、

本来ニーズがなかったにもかかわらず、ある空気に感化されて、お客様が気持
ちよく購入の意思決定をしてしまう――その空気を扱っています。

誰にでもある現象を科学的に実証し、「売る側」にとってどのように再現させ
るかを解説しました。

また具体的な販売時期などは、ご連絡します。12月頭に、発売予定です。