2014年11月28日

どこまで「製品知識」があれば売れるか?【バンドワゴン効果】

● 今回のテクニック:【バンドワゴン効果(12)】

バンドワゴン効果とは、多数の支持を受ける物事のほうが受け入れやすくなる
こと。要するに「勝ち馬/時流に乗ろうとする」心理のことである。

「さくら」を使うのは、このバンドワゴン効果を狙ったテクニックの一つとい
える。

ちなみに「バンドワゴン」とは祭りや行列の楽団車のことであり、パレードで
楽団車が通るとみんなが集まってくる。この現象からきた言葉である。

反対語は「スノッブ効果」。

【注意点】 効果的に使いたいときだけ活用すること。決して「他社もやって
いるから自社も追随しよう」という発想をしてはならない。正しい経営判断の
ためには、正しいデータに基づいた判断が不可欠である。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「100社のお客様に対してアンケートを実施したところ、86%のお客様
が、当社の商材を正しく認知していなかった。これは大きな問題だと受け止
めている」


部下 :
「そうですよね……。86%か」


マネジャー :
「たとえば君は、当社の商材をどう説明しているんだ」


部下 :
「当社の商材……ですか? 当社はステンレスやアルミ素材を、お客様の
ニーズに合わせて加工し販売するメーカーです。……こんな感じですか」


マネジャー :
「は?」


部下 :
「え」


マネジャー :
「ふざけてるのか」


部下 :
「えっ」


マネジャー :
「キチンと話せよ。そんな言い方じゃあ、20分前に入社したスタッフでも
話せるだろう。君はこの会社で何年営業をやってるんだ」


部下 :
「4年です……」


マネジャー :
「年間250日、働いているとすると、4年間で1000日だぞ。1000
日間も働いているのに、『当社はステンレスやアルミ素材を、お客様のニー
ズに合わせて加工し販売するメーカーです』としか言えんのか?」


部下 :
「もちろん、いろいろと話すことはできますが、それは相手に合わせてアレ
ンジしていますから」


マネジャー :
「普遍的な営業トークを言ってみろ」


部下 :
「普遍的って、言われても……」


マネジャー :
「レーザー加工の話はしているのか?」


部下 :
「ああ、レーザー加工の話ですか。もちろんしています」


マネジャー :
「じゃあ、なぜ私に指摘される前に言えなかった?」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「常に意識していないからだろう? 私たちにとってレーザー加工は当たり
前すぎることで、あえて営業トークに盛り込む必要がないと考えていない
か」


部下 :
「そりゃあ……そうかもしれません。お客様から質問されたら、いくらでも
答えられますが」


マネジャー :
「その姿勢が大問題だ。私たちには当たり前でも、お客様が当たり前だと感
じていないことは多々ある。顧客アンケートの結果、当社がレーザー加工を
用いていることを知ってるお客様は38%。そしてレーザー加工の特徴を正
しく知っているお客様は12%しかなかった」


部下 :
「えっ……!」


マネジャー :
「大きな問題だろう」


部下 :
「……」


マネジャー :
「私たちにとっては常識的すぎることなんだよ。しかしお客様はそんな常識
的なことなど認知していない」


部下 :
「ホームページとかパンフレットには、細かく記載していますよね」


マネジャー :
「冗談じゃない。お客様がイチイチそういうものをチェックして、自ら把握
しようとするか? どういう神経して営業してきたんだ」


部下 :
「確かに……」


マネジャー :
「レーザーの特徴は、切断幅が小さく、金属に対しての熱影響が少ないので、
ヒズミやユガミが少なくなる。素材を自由な形状に加工できることと、滑ら
かな切断面が得られる」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「はい、じゃないよ。お客様も共通認識してもらわないと、売れるものも売
れない。加工速度が速いこと、多品種少量生産にも適していることなどの論
拠を、正確に伝えられているか、ということだ」


部下 :
「言ってるつもりだったんですが……」


マネジャー :
「さらに、このレーザー加工によって、どのような実績があるか。そして当
社の加工技術が専門機関にどれほど評価されているのか、伝えているか」


部下 :
「それも、伝えているつもりですが……。アンケートでは、全然だったとい
うことですか」


マネジャー :
「その通り。お客様には、まったく伝わっていない」


部下 :
「当社の加工技術って、競合他社もやっていることです。正直なところ、差
別化できるようなことでもないので、それをアピールしても意味がないと思
ってしまうんですよね」


マネジャー :
「そういう先入観が、売れない空気を作っている」


部下 :
「売れない空気……」


マネジャー :
「他社と比べて差別化できているかどうかなんて、お客様が気にすると思っ
ているのか? 本当にそう思っているか?」


部下 :
「いや、その」


マネジャー :
「基幹システムを入れ替えたが、そのシステム開発をしてくれたのは、6人
しかいない小さな会社だ」


部下 :
「6人の会社ですか」


マネジャー :
「その6人しかいない小さな会社が、差別化されたシステムを構築してくれ
るかというと、そうではないし、別段、システム構築費用が安かったわけで
もない。でもそこに任せたいと、管理部長が言ったんだ。それがナゼかわか
るか?」


部下 :
「それがナゼか……って……。わかりません……」


マネジャー :
「管理部長がそこに任せたいという気持ちになった、ただ、それだけだ」


部下 :
「え……????」


マネジャー :
「管理部長が、ただ『その気』になっただけ、なんだよ」


部下 :
「『その気』……?」


マネジャー :
「お客様を『その気』にさせることが営業の仕事だろう? そうじゃないの
か」


部下 :
「……」


マネジャー :
「我々にとって当たり前だと思っていることでも、お客様には当たり前のよ
うには思われていないというのであれば、それを正しく仔細に伝えることが
重要だ。差別化されているかどうかなんて関係がない。他社との比較など関
係がない。そうだだろう? お客様と、当社との話だ。違うのか?」


部下 :
「……」


マネジャー :
「なぜこの商材がお客様のためになるのか。その情報をすべて相手に伝えた
まえ。漏れることなく、持っている知識をすべて伝えるんだ。何度も何度も
言うんだ。他社の商材なんて関係がない。少しばかり競合より見劣りした提
案であろうが、それらと比較するかどうかはお客様次第だ」


部下 :
「そ、そうですよね」


マネジャー :
「レーザー加工は、レーザーの持つ光エネルギーを活用し、一点に集束、直
接照射させることで切断幅が小さくなり、比較的自由に加工できること。加
工速度がスピーディになること等、詳しく話せ。不必要な裏事情まで、すべ
て伝えろ。そうすることで、お客様は君はプロだと認めてくれる」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「他社より少なくとも、当社の実績を熱く語れ。これは『社会的証明の原
理』という心理現象を生み出す。統計データもホームページに載っているの
だから、これも活用しろ。お客様の業界にとって、なぜ当社の商材サービス
がシェアを伸ばしているかを数字で示せ。たとえ相手が知っていても、繰り
返して伝えるんだ。そうすることで、お客様は君をプロだと認めてくれる」


部下 :
「わ、わかりました」


マネジャー :
「君は4年も働いてるんだぞ。1000日間も働いているんだ。プロだろ
う? プロの営業だから給料をもらってるんだ。お客様をその気にさせるぐ
らいの知識を持て。わかったか」


部下 :
「は、はい」


マネジャー :
「期待してるんだ」


部下 :
「ものすごく、熱いですね。今日は、なんか……」


マネジャー :
「君を『その気』にさせるためだ」



……現場に入って営業コンサルティングをしていると、営業や販売員が、驚く
ほど「商材」を詳しく話せないことがわかります。

残念なほど、話すことができません。

質問すると「それぐらいは知っています」と答えるのですが、それならお客様
には伝えているか、というと、そうでもない。

「製品知識」を「第1の知識」「第2の知識」に分解し、

「第1の知識」では、「ミクロ情報」と「マクロ情報」を正確に覚える必要が
あります。「第2の知識」は、体験による3つの理解をキチンと伝える必要が
あります。

これらの知識で「売れる空気」を作っていきます。

売れない理由を「商品」のせいにするのは、もうやめましょう!

いよいよ来週、新刊「空気でお客様を動かす」が発売されます。ご期待くださ
い。

■「空気でお客様を動かす」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894516454/mysterycon0c-22/ref=nosim


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 【51点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

最近、自分のメルマガに点数をつけているのですが、これはあくまでも自分の
「お気に入り度」であり、「完成度」ではありません。

目安は、

・70点……半年に1回あるかどうか
・80点……1年に1回あるかどうか
・90点……5年に1回あるかどうか
・100点……このメルマガを出し続けて1回あるかどうか

です。

なので、50~60点でも、意外と気に入っている内容です。

伝えたいメッセージを伝えるだけのメルマガだと「0点」ですね。遊び心がな
いので。