2014年12月19日

わざと話を「そらす」技術とは?【スリリングジョーク】

● 今回のテクニック:【スリリングジョーク(10)】

スリリングジョークとは、相手に対して、「もし●●しなければ、■■になる
ぞ」という脅しをしたあとに、すぐに「それは冗談だ」と撤回するコミュニケ
ーション技術。

相手の心象を悪くする可能性が高く、極めてリスキー。相手と強烈なラポール
が構築できていない限り、活用するのはやめたほうがよい。3年に1度ぐらい
使ってもいい、インパクトのあるリーディング技術である。

もちろん、乱用すればご自身の信用は著しく低下する。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「課長、社長のメールを見ましたか? 来年の年間目標は今年の10%アッ
プだそうです。あれだけ根拠のない目標を掲げるのはやめてくれと言ってき
たのに、私たちの声は全然届いていません」


マネジャー :
「……」


部下 :
「どういう神経をしているんでしょうか。今年の目標だって90%も達成し
ていないんですよ? にもかかわらず、目標をさらに10%上積みするなん
てメチャクチャです。こうなったらクーデターを起こすしかありません」


マネジャー :
「クーデターって、物騒だなァ」


部下 :
「物騒な発想にもなりますよ。みんなだって同じ考えなんですから、絶対に
やってられません」


マネジャー :
「そういえば『物騒』で思い出したんだけど、『フューリー』って映画、あ
るだろ? あの映画はある意味、物騒だった」


部下 :
「は? フュ……?」


マネジャー :
「『フューリー』だよ」


部下 :
「え?」


マネジャー :
「知らないか? この前、主演のブラッドピットが宣伝のために来日してい
たじゃないか」


部下 :
「ああ、なんかニュースで観た気がします」


マネジャー :
「ブラッドピットってもう51歳なんだよな。俺と同じ歳だよ。君はブラッ
ドピットの映画って観たこあるか?」


部下 :
「ええと……。『ファイトクラブ』とか」


マネジャー :
「ああ、『ファイトクラブ』といったら、エドワード・ノートンだ」


部下 :
「……?」


マネジャー :
「エドワード・ノートンが最高なのは『真実の行方』だよな。あの演技は凄
かった。デビュー作で、あれだけの演技ができるなんて」


部下 :
「私は、観てないんで……」


マネジャー :
「演技力といえば、君もなかなかのもんだろう?」


部下 :
「私が、ですか?」


マネジャー :
「商談中に、けっこうお客様に対して演技をするじゃないか。思ってもない
ようなこと言ったりして」


部下 :
「まァ、たまには演技も必要だと思っています。相手に話を合わせるには」


マネジャー :
「この前、B商事の課長とも打ち解けていたじゃないか」


部下 :
「ああ、あのB商事の……。そりゃあ、今回の案件は何としても欲しかった
ですから」


マネジャー :
「その気持ちがとても大事だよな」


部下 :
「……」


マネジャー :
「しかしB商事の案件は、あと一歩のところで流れてしまった」


部下 :
「そうなんです。残念でした。まったく……。苦労が水の泡です」


マネジャー :
「水の泡なんかじゃないさ」


部下 :
「そうでしょうか」


マネジャー :
「まだB商事には通ってるんだろう?」


部下 :
「もちろんです」


マネジャー :
「これまでは商談を逃したら放りっぱなしで、何もフォローをしてこなかっ
た。しかし、去年からこのフォロー活動を徹底し、組織にも根付いてきた」


部下 :
「すぐに結果は出ないですけれど」


マネジャー :
「いや、それでも確実に将来のための『資産』は増えつつある」


部下 :
「……」


マネジャー :
「どんなにうまくいっていないことがあっても、『うまくいきつつある』と
現在進行形で考えろ」


部下 :
「……はい」


マネジャー :
「ブラッドピットだって、アンジェリーナジョリーが病気のとき、悲嘆に暮
れることはなかった」


部下 :
「……」


マネジャー :
「表面的な結果だけを見て感情的になっていると、誰も愛せなくなる。誰か
らも愛されなくなる。君の演技力だって、まったく輝きを失う」


部下 :
「……?」


マネジャー :
「来年の目標は今年の10%アップだ。私が社長に進言した」


部下 :
「えっ!」


マネジャー :
「社長は『無理だ』と私に言ったが、私は『できる』と答えた。私は君たち
営業が地道なフォロー活動を続け、顧客との関係資産を築きつつあることを
知っているからだ」


部下 :
「……」


マネジャー :
「来年は絶対達成だ。さもないと、君は営業から外れてもらう」


部下 :
「え」


マネジャー :
「私も営業部を離れる。昨夜、遅くまで営業部長と話し合った」


部下 :
「そういえば、昨夜遅くまで部長と話し合ってましたよね……。まさか、そ
んな」


マネジャー :
「あえて退路を断つ。そして高い目標を掲げる。こうしないことには、ドラ
マの主人公になれない。君もミチズレだ」


部下 :
「来年は10%アップで、しかも絶対達成……」


マネジャー :
「冗談だよ」


部下 :
「ええっ!?」


マネジャー :
「なかなかの演技力だっただろ?」


部下 :
「……?」



……感情的になっている人をいったん落ち着かせるために、話を「あさっての
方向」へ飛ばすテクニックを本日のコラムに書きました。

話の論点である「幹」や「枝」「葉」でもないひとつのワードを抽出して
「軸」を捻じることによって、話をそらすことができます。


■ イライラする相手を「黙らす」話し方
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20141215-00041508/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【46点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【編集後記】

ブラッドピットの名言は有名ですね。今日はそれを転記しようと思います。

「俺の妻は病気になった。仕事での問題、私生活、子供達との問題や失敗など
に絶えず神経質になっていた。13.6キロも痩せ、35歳だというのに体重
は40キロ程に。凄く痩せ、絶えず泣いていた。幸せな女性とはいえなかった。
絶え間ない頭痛、胸の痛み、ぎゅう詰めで神経過敏な背中と肋骨に苦しんでい
た。ゆっくり眠ることも出来ず、朝になってやっと眠りに着き、日中は直ぐに
疲れてしまった。僕達の関係も崩壊寸前だった。

彼女の美しさは彼女を置いてどこかに行ってしまったようで、目の下にはクマ
ができ、頭をこづいたりし、彼女は自分のことを大切にしなくなった。映画の
撮影、全ての役を断るようになった。僕は希望を失い、すぐに別れることにな
るだろうと思った。しかし、そのとき僕は何とかすると決意した。だって、世
界で一番美しい女性を僕は得たんだ。彼女は世界の半分以上の男性と女性のア
イドルで、そして彼女の横で眠りに着いたり、彼女の肩を抱き寄せたり出来る
ことが許されているのは僕なんだと。

僕は花やキスや褒め言葉を送りはじめた。ことあるごとに彼女を驚かせ喜ばせ
た。僕は彼女に多くのギフトを送り、彼女のためだけに生きた。人前では彼女
のことだけを話した。全ての主題を彼女のほうに向けた。彼女の友達の前では
彼女のことを褒めた。信じられないかもしれないけど、彼女は輝き始め、以前
よりも更に良くなった。体重も増え、神経質になることも無くなり、以前より
も増して僕のことを愛するようなった。彼女がこんなに愛せるとは僕は知らな
かった。

そして僕は一つ理解した。『女は愛する男の姿鏡』なのだと」

……この『女は愛する男の姿鏡』という名言は、この苦境を乗り越えたブラッ
ドにしか口にできないものですね。

私も自分の妻のためだけに生きたいと思います。