2014年12月8日

「話が噛み合わない人」の思考プログラム【無言クロージング】

● 今回のテクニック:【無言クロージング(10)】

クロージングを最も強力にしたい場合は、「無言」を貫くことである。

相手の要望・ニーズに沿った解決策/提案をしても、なかなか相手が決められ
ないときがある。理屈ではなく、踏ん切りがつかないケース。

ダブルバインドを活用して二者択一を迫ってもいいが、敢えて言葉を発せずに
待つという手もある。

人間は普通、「間」を嫌う。しかしその「間」を恐れずに無言を貫く相手から
は強烈なプレッシャーを感じるものである。無言が最強クロージング技術。し
かし難易度はかなり高い。


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● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「A社の案件はどうなっている?」


部下 :
「はい。キーパーソンであるS部長とは、単純接触を繰り返しているのです
が、『現時点で当社には必要ない』の一点張りです」


マネジャー :
「なるほど。いつも商談には、S部長と、誰が参加するんだ?」


部下 :
「S部長と、B課長です」


マネジャー :
「S部長は『不燃客』で、B課長は『可燃客』だろう?」


部下 :
「え? ふねん、きゃく……って」


マネジャー :
「君、『空気でお客様を動かす』を読んでないのか? 自燃客、可燃客、不
燃客の用語解説があっただろう。キーパーソンが『不燃客』だと、単純接触
し続けても意味がないって」


部下 :
「『空気でお客様を動かす』って、横山氏の最新刊ですよね」


マネジャー :
「そうだ」


部下 :
「……えっと、このように、メルマガ本文であからさまに宣伝していいんで
しょうか?」


マネジャー :
「いいんだ。いつも横山氏は、最新刊が出た直後にこのようなメルマガを書
いている」


部下 :
「いやらしい感じがしますね」


マネジャー :
「私もちょっとそう思うが、本を売るのに必死なんだろう。毎回のことだか
ら、もう何とも思わなくなってきた」


部下 :
「わかりました。メルマガ用の会話を続けます」


マネジャー :
「さっきも言ったように、『空気でお客様を動かす』に『不燃客』は経済合
理性に基づいて物事を判断する傾向にあると書いてあった。だから、君の常
とう手段である、"泣き落とし"はS部長に通じない」


部下 :
「そうでしょうねェ。ところで、『空気でお客様を動かす』で書いてあった
『リアクション』についてはどう思いました?」


マネジャー :
「は……」


部下 :
「いや、けっこうアレは参考になった話でした。私がよく通っている美容院
の美容師さんが、やたらリアクションが大きいんです。私はどちらかという
と『自燃客』なので、美容師の腕よりも、なんかそっちのほうが気に入って
るのかなと思って」


マネジャー :
「へえ」


部下 :
「課長もそういうことありませんか?」


マネジャー :
「確かに、あの本を読んでから他人の表情をつぶさに観察するようになった。
リアクションもだ」


部下 :
「そうですよね。我が家に出入りしているリフォーム会社の社長もそうなん
です。うちの妻と仲がいいんですが、すっごくリアクションが大きいんです
よ。あれって重要な要素だったんですね」


マネジャー :
「『自燃客』にはそうだ。しかし『不燃客』には効力が乏しい」


部下 :
「『不燃客』といえば、私の姉がそうです。この前家族で中華料理を食べに
行って、家族全員がその店の看板メニューである麻婆豆腐を頼んでいるのに、
ひとりだけチャーハンを頼むんです。私はチャーハンが食べたいからって…
…。『空気読めよ』って言いたくなりました」


マネジャー :
「私の妻もマイホームに関しては『不燃客』だ。家は住めればそれでいい。
ローン返済が大変だからといって、アパート住まいに不満はないらしい」


部下 :
「私の父はスマホに対して『不燃客』でしたね。なぜかっていうと……」


マネジャー :
「もういい、もういい!」


部下 :
「え」


マネジャー :
「A社の案件に関して私は話をしているんだ。S部長が『不燃客』だから、
論理的に攻める必要がある。今度から技術企画部のH君を同行させてくれ」


部下 :
「技術企画部、ですか……。そういえば来年から技術企画部が解散するって
話は本当ですか」


マネジャー :
「は?」


部下 :
「いや、忘年会で専務から話を聞いたんですよ。技術企画部を解散するかも
って」


マネジャー :
「もういい、もういい。いつも君は、そうやって話を脱線させる」


部下 :
「だって課長も興味があるでしょう? 技術企画部のこと」


マネジャー :
「私はA社の案件のほうが興味ある」


部下 :
「え……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「こ……」


マネジャー :
「……」


部下 :
「これは、『無言クロージング』……?」


マネジャー :
「は?」


部下 :
「いや、『空気でお客様を動かす』にも、このテクニックが載っていたなと
思って」


マネジャー :
「……」



……話が噛み合わない理由は、話し相手が「論点」を正しくつかんでいないか
らです。

どんな話にも、必ず論点となる「幹」があります。そして「幹」から「枝」が
出ており、「枝」から「葉」が出ています。

「幹」ではなく「枝」や「葉」をつかんで、話を展開させたり、「ワード」だ
けに焦点を合わせて捻じ曲げたりすると、

話が「あさっての方向」へと突き進んでいってしまいます。

先週私が執筆したコラムは、ツイッターで爆発的に拡散され、現在14万PV
以上を記録しています。

どうして人と話が噛み合わないのか? それを論理的に解説しました。


■「雑談」でさえ、話が噛み合わない人の思考メカニズム
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20141128-00041044/

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 【4点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

先日、「感動のあまり大粒の涙を流す」という夢を見ました。どんな夢か忘れ
ましたが、夢の中でむせび泣いていたのです。

夜中に目を覚まし、ぼーっとしていると、リアルに号泣した出来事を過去に遡
って思い出そうとしました。

真っ先に思い浮かんだのが、青年海外協力隊でグアテマラに赴任し、3年の任
期を終えて帰国するときの日のことです。

空港に集まった、同僚の隊員たちや、グアテマラでお世話になった人たちに、
ひとりひとり挨拶している間に涙が止まらなくなり、

そのとき着用していた、協力隊の制服がぐしょぐしょになるぐらいに泣いたの
です。ネクタイの上半分が濡れそぼってしまうほどでした。

全員に胴上げされ、ゲートをくぐって小さな国際空港の待合室に入ったときは、
あまりに泣いたせいで脱水症状になっているのではないか、

と思うほどフラフラでした。

頭が朦朧とするぐらいに泣いたのです。後にも先にも、あれほど泣き続けたの
は、あの28歳のときだけでしょうね。

そんなことを思い出していたら、

それほど涙を流すぐらい、何かに打ち込んだことがあるだろうか。泣かなくて
もいいけれど、それぐらいに情熱をぶつけているものは今あるだろうか、と自
分に問いかけたくなりました。

2ヶ月に1度ぐらい襲ってくるのですが、また私は熱く燃え始めました。

たまには、いいですよね。