2015年1月29日

「任せられないこと」の見分け方【譲歩の返報性】

● 今回のテクニック:【譲歩の返報性(7)】

譲歩の返報性とは、「返報性の原理」のひとつ。相手に譲歩することで、相手
もこちら側に譲ってくれる可能性が高まる。

相手とペースを合わせる「ペーシング」の基本。

コミュニケーション相手の言い分をまず受け止めることは、こちらの主張をい
ったん飲み込んで譲歩することと似ている。


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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「所長、A社の案件、私に任せてください。必ず仕事をとってきます」


マネジャー :
「どれぐらいの規模の案件となりそうだ?」


部下 :
「最低でも500万ぐらいの規模にはしたいです」


マネジャー :
「わかった。意気込みと経験を買って、君にすべて任せた」


部下 :
「ありがとうございます。まだ未熟ですが、必ず結果を出します」


マネジャー :
「これまでに、こういった案件をずいぶんとこなしてきた。もう君に任せて
もいいだろう」


部下 :
「ありがとうございます。……ところで所長、あのメールに書いてあったこ
とは本当なんですか?」


マネジャー :
「え、コンサルタントのことか」


部下 :
「そうです。外部のコンサルタントが来て当社の組織改革をする、なんて
メールにありましたが、私は反対です」


マネジャー :
「ほう、君は反対か」


部下 :
「誰も反対してないんですか?」


マネジャー :
「実のところ、賛成しているのは社長と管理部長だけだ。私も含め、他の幹
部は全員反対だった」


部下 :
「だったら……。コンサルタントなんかに任せられないでしょう」


マネジャー :
「じゃあ、誰に任せるんだ?」


部下 :
「え」


マネジャー :
「組織改革については、ずいぶん前から社長が言ってる。君が入社する2年
ぐらい前からだ。ところが私たちは社長の期待にこたえられないできた」


部下 :
「当社の幹部でもできないことを、外部のコンサルタントならできるんでし
ょうか」


マネジャー :
「どういう意味だ」


部下 :
「外のコンサルタントに任せるぐらいなら、私たちでやりましょう。組織改
革はできますよ」


マネジャー :
「ダメだ」


部下 :
「え」


マネジャー :
「さっきのA社の案件は任せるが、当社の組織改革については任せられな
い」


部下 :
「どうして……」


マネジャー :
「さっきも言ったとおり、A社の案件のような仕事は、これまでにかなり場
数をこなしてきている。だから任せられる。しかし、組織改革についてはど
うだ?」


部下 :
「……」


マネジャー :
「君はどれぐらい組織改革について、やった経験があるんだ」


部下 :
「それは、ないですけど……。しかし私たちの会社ですから、私たちが一番
よく知ってるはずです」


マネジャー :
「去年の12月、君は口内炎になったな」


部下 :
「はい……。あの時は悲惨でした。よく口内炎になるのですが、今回のは特
にひどくて、1週間たっても治らないので病院へ行きました」


マネジャー :
「いつもはどうしてるんだ?」


部下 :
「し、塩を塗ったり、蜂蜜をなめたり……」


マネジャー :
「それで治ってたのか?」


部下 :
「……今回、そのことを病院で話したら、先生からメチャクチャ怒られまし
た。ちゃんと病院に来なさいって」


マネジャー :
「当然だろう」


部下 :
「反省しています」


マネジャー :
「A社の案件はどうするつもりなんだ? 競合が3社ある」


部下 :
「すでに競合他社の提案内容は掴んでいます。当社の見積額のほうが大きく
なりますが、お客様のニーズはしっかり聞いていますし、そこを外さなけれ
ば大丈夫です」


マネジャー :
「現地調査は?」


部下 :
「現地のヒアリングも終わっています。現場担当者は当社の提案を支持して
くださっています。去年、そこをおろそかにしていたので受注できる仕事も
受注できませんでした。今回は大丈夫です」


マネジャー :
「うん。やはり君に任せられる」


部下 :
「ありがとうございます」


マネジャー :
「じゃあ、うちの組織改革はどうする? まず社長のお兄さんがやっている
新規事業がまったく軌道に乗っていない。もう3年にもなるが、赤字を垂れ
流している」


部下 :
「……あ、はい。知っています」


マネジャー :
「さらに問題は、経営企画室だ。銀行からやってきたBさんが室長に就いて
から、企画室の空気は非常に悪くなった。社長も頭を抱えている」


部下 :
「噂は、かねがね……」


マネジャー :
「君ならどうする?」


部下 :
「どうする、って……」


マネジャー :
「社長を含め、経営幹部も君と同じように塩を塗ったり、蜂蜜をなめたりし
てきた。しかしそれではダメだと、ようやく気付いたんだ」


部下 :
「とはいえ、外部のコンサルタントに、なんて」


マネジャー :
「君の気持ちはわかる。しかし今は目の前の案件に全神経を傾けてくれ。君
がやりたがっていた別案件も任せるから。たとえばC社の案件はどうだ?
これは1500万円を超える大型の案件だ」



……「任せてください」「自分たちでやります」と言うのはよいですが、

本当に「任せてもらいたい」と思っているのか、「他の誰かに任せるのは嫌だ
から、私に任せてください」と言っているのかは区別しなければなりません。

特に、企業の「中間管理職・マネジャー」は目の前のことで手一杯です。

正しい知識のない人ほど、ノープランで「任せてください」と言います。間違
った決断をすると副作用が大きいですから、気を付けたいですね。


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 【32点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

最近、私にとってマイブームのキーワードが「孤独」です。

ビジネスにおいても、家庭においても、何をするにしても、ある程度責任のあ
る立場に就くと、

誰かに認めてもらいたいとか、評価してもらいたいとか――そんな欲求が強す
ぎると「やってられない」という気持ちになってきます。

過剰なほどの「承認欲求」「繋がりたい欲求」「絆を合言葉にしたがる欲求」
もいいですが、

根っこの部分は「孤独」なんだよな。

「孤独」に耐えられる自分でなくてはいけないんだな、と思うことが最近とて
も多いです。

「孤独力」というか「開き直りスキル」というか。

心のどこかに、そういうものが芽生えつつあります。1年以上前に書いた、自
分のコラムが自分を助けてくれたりします。

■ 誤解する人の10倍、あなたを正しく理解してくれる人がいる
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20131218-00030749/