2015年3月25日

褒めて伸ばす育て方「グッド&スルー」【フリンチ!】

● 今回のテクニック:【フリンチ!(13)】

フリンチ!とは、相手からの無茶な指示や要求を飲まないために、冗談ぽく驚
いてみせること。

相手の言葉をはじめから「本気ではない/ジョークだ」と決め付け、大袈裟に
驚いたり笑ったりすることで、相手も本気だと言えなくなるという強引なコミ
ュニケーション技術。

言われた瞬間、間髪入れずに笑い飛ばすぐらいの覚悟が必要。例えばお客様か
ら「もう少し安くできない?」と言われたとき「ええええええ! 価格交渉な
んてあるはずないでしょう。いやだなァ~、部長ときたらすぐにそんな冗談を
言うんだから~。前も言ったじゃないですか、価格交渉はないって。もしいま
値引いたら僕が嘘つきになっちゃいます~。ワハハハハ!」という感じで返す。

もちろん相手との強力な信頼関係(ラポール)が前提であり、それがないのに
実践すれば、大変な目に遭うことは間違いない。


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● 今回のコミュニケーション例


友人A :
「部下育成で、相談があるんだ」


友人B :
「私に?」


友人A :
「うん、君は確か今の会社でグループリーダーをしているだろう。部下が4
人いると聞いた」


友人B :
「でも私のとこって、みんな女性だから、男とは違うかも」


友人A :
「それでも参考に聞かせてほしいんだ。去年の4月に新しい部下が3人やっ
てきて、ちょうど1年になるけど、なかなかうまくいかなくて……」


友人B :
「具体的にどういうことで悩んでるの?」


友人A :
「叱ると萎縮するんだよね。そして、ハッキリと自己主張してくる。『私は
褒めて伸びるタイプです』って」


友人B :
「それならいいじゃないの」


友人A :
「えっ。そうか?」


友人B :
「簡単でしょう? 自分で言ってるんだもの。部下を褒めてやりなさいよ」


友人A :
「褒めたら育つんだろうか」


友人B :
「部下を信じてない証拠だよ。『私は褒めて伸びるタイプです』って公言し
てるんだから、褒めてあげないと」


友人A :
「褒めても伸びなかったらどうなるの?」


友人B :
「そもそも褒めてないんでしょう?」


友人A :
「うん……。まァ、ね」


友人B :
「やってもいないことをアレコレ考えてもしょうがないでしょう」


友人A :
「そりゃあ、そうだけど」


友人B :
「ウジウジ考えてるから、ダメなのよ。部下からハッキリそう言われてるん
だから、そうしてあげなさい。簡単じゃない」


友人A :
「うん……」


友人B :
「私の部下もいたよ。『私は褒められないと成長しません』っていうのが。
だから徹底的に褒めてあげた」


友人A :
「やっぱり、そうしたらうまくいったの?」


友人B :
「ううん」


友人A :
「えっ!」


友人B :
「全然、成長しなかった」


友人A :
「じゃあ、ダメじゃんか……」


友人B :
「ダメじゃないでしょう。単純にその子は『褒めて伸びるタイプ』じゃなか
っただけ。半年ものあいだ、褒めて褒めて褒めまくったのに、全然伸びない
から、今度は叱ってあげたわよ」


友人A :
「叱った……? 叱って、叱って、叱りまくったってこと?」


友人B :
「そんな執拗にはしないけど、ピシャリと言うことが多くなったかな。そう
したら伸びてきたのよ。負けん気の強い子で、意外とタフだった」


友人A :
「へええ」


友人B :
「私、3年前からマラソンをやってるんだけど、10キロ走だけやっている
ときは、後半バテるタイプだと思い込んでた。だからフルマラソンをやるよ
うになってから、後半バテないようにトレーニングを重ねてきたんだけど」


友人A :
「うん」


友人B :
「ところがフルマラソンの大会に何度か出場していたらわかった。私は『後
半バテるタイプ』じゃないってことが」


友人A :
「へええ」


友人B :
「だから、トレーニング方法を変えたらすごくラクに走れるようになったの。
これって、同じことじゃない?」


友人A :
「ああ、確かに。自分のことって、意外と自分自身じゃあわからないもんだ
よね」


友人B :
「それと同じよ」


友人A :
「わかった。俺も褒めて、褒めて、褒めまくってみるよ。それで成長しない
ようなら、方向転換してみる」


友人B :
「その時に覚えておいたほうがいいことが『グッド&スルー』」


友人A :
「『グッド&スルー』?」


友人B :
「褒められることを部下がやったら、キチンと褒める。これが『グッド』」


友人A :
「ああ、なるほど」


友人B :
「褒められないようなことをしていたら注意したりせず放置。これが『ス
ルー』」


友人A :
「ええっ! スルー?」


友人B :
「そうよ」


友人A :
「しかし、スルーしていい時と悪い時があるだろう。たとえばお客様からク
レームがあったのに上司に報告しなかったらどうだろう? スルーしていい
ものだろうか」


友人B :
「はァ? 何を言ってるの? ちょっと冗談でしょう?」


友人A :
「え……」


友人B :
「いいわけないでしょう。それはガツンと言わないと!」


友人A :
「……だって、さっきスルーしろって言ったじゃないか」


友人B :
「えええええええ! ちょっと何を言ってんの。こっちはマジメに相談乗っ
てるのにィ」


友人A :
「ご、ごめん」


友人B :
「わかってるくせに言わないでよ」


友人A :
「そ、そうだな……」


友人B :
「たまに頭が整理できてない上司っているでしょう? そんなんじゃ部下育
成なんてできるはずないのに」


友人A :
「あ、ああ」


友人B :
「クレームが来て上司に報告したら『よくやった! 凄いぞ』って、褒める
わけないでしょう。やって当たり前のことを褒めるわけがない」


友人A :
「確かに……」


友人B :
「やって当たり前のことをやってもいないのに、スルーできるはずがないよ。
別の会社の私でさえわかること」


友人A :
「そうそう。そうだな」


友人B :
「たとえば相手によって態度を変える部下っている?」


友人A :
「ああ、いるね。お客様によって態度を変えちゃう部下がいる」


友人B :
「そういうのをスルーして」


友人A :
「ああ、そうか。誰が見ても問題か、というと、そうでもないよな……。価
値観の違いというか」


友人B :
「でも、実際にはそういう態度を改めてほしいんでしょう?」


友人A :
「そりゃそうだよ。一応、営業なんだから」


友人B :
「お客様にいい態度をとったら思いっきり褒めてよ。褒めまくるの。『今日
の積極的な態度、よかったよ』とか、『すぐ見込み客にならないお客様にも
笑顔で対応するなんて凄いな』とか、嫌味っぽくならないように気を付け
て」


友人A :
「そうか、そうやって褒めていくんだな。そうやって褒め続けることで、本
来、お客様にどう接するべきかを気付くことだろうね」


友人B :
「うん。『褒めて伸びていくタイプ』はそうだね。でも、それを半年続けて
も、態度を改めないようであれば『褒めて伸びていくタイプ』じゃないって
こと。だからピシャリと言ったほうがいいよ。感度が低い部下だね」


友人A :
「『お客様によって態度を変えるのはやめなさい』とハッキリ言えばいいの
か。つまり、ハッキリ言わないとわからないタイプだ、と上司の俺が認識を
改めることが重要だな」



……「問題」を2つに分解すると「常識的な問題(common-sense problem)」
と、「個別特有の問題(specific problem)」に分けられます。

「期限を守らない」「挨拶をしない」「嘘をつく」「整理整頓ができていな
い」「目標が達成しない」……などは「常識的な問題」です。

しかし経営者やチームリーダーの価値観によって、組織の「あるべき姿」が個
別特有になる場合があります。

たとえば、「上司には1週間に1度は報告・連絡・相談をすべきである」「お
客様から電話を受けたら、その日のうちにコールバックすべきである」「朝礼
がある日は10分以上前に集合して社長の話を聞くべきである」……等。

共通認識を正しくしておかないと理解されない「あるべき姿」のこと。

この「あるべき姿」とギャップのある行動をしていると「個別特有の問題」が
発生するというわけです。

今回ご紹介した「グッド&スルー」の焦点は、「個別特有の問題」が発生して
いるときにスルーするのか、叱るのか、です。

このあたりが整理されていないリーダーがたくさんいて、部下指導に苦労して
いる人が多く見られます。

私たちの「組織風土診断サービス」は。この2種類の問題を明らかにして、組
織の空気を診断し、変革させていきます。


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 【39点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

(累計1500万人以上が見た、と言われる)プルデンシャル生命が運営する

「【日出ずる国の営業】――週替わり道場で学ぶ、至福の営業」

に、今週の月・水・金に私の記事がアップすることとなりました。

3.3万人もいるプルデンシャル生命のFBページに「社外師範」として紹介
されます。

日本全国に2000名以上の会員がいるという「営業部女子課」を主宰する
太田彩子さんからバトンを受けて登場させていただきました。

https://www.facebook.com/hiizurukuninoeigyo/photos/a.396000040458883.90464.370831779642376/884228984969317/

これまでの「日出ずる国の営業」の内容をまとめた

『アメリカ本国を驚愕させたプルデンシャル生命の「売る力」』

も先日発売され、ベストセラーとなっています。

どうぞよろしくお願いいたします。