2015年5月11日

「楽しく」仕事をしたい人が心掛けるべきこと【規範アピール】

● 今回のテクニック:【規範アピール(2)】

「規範アピール」とは、「社会的規範」や「組織的規範」を論拠にして相手を
説得する技法。

その社会、その組織に属する多くの人に期待される「規範」を盾に説得される
ため、反論しづらい空気ができあがる。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


友人A :
「転職?」


友人B :
「うん」


友人A :
「4月に転職してたのか?」


友人B :
「9年務めた会社を3月末で辞めた」


友人A :
「どうして?」


友人B :
「どうしてって……」


友人A :
「お前、営業成績すごかったじゃないか」


友人B :
「うん」


友人A :
「確か、同期入社80人の中でもダントツ1位だったんだろ」


友人B :
「全社で1位だった」


友人A :
「350人の営業の中で1位?」


友人B :
「うん」


友人A :
「昨年度は?」


友人B :
「3年連続で全社1位。5年連続で社長賞もらった」


友人A :
「待遇が悪かったのか?」


友人B :
「外資系の保険会社だから、かなり良かった」


友人A :
「俺の年収の、5倍とか6倍もらってただろ」


友人B :
「たぶん」


友人A :
「もっと報酬もらえる仕事に就いたのか?」


友人B :
「いや、地元の工務店」


友人A :
「工務店?」


友人B :
「営業30人の」


友人A :
「経営者候補として?」


友人B :
「ただの営業」


友人A :
「どうして……。年収は?」


友人B :
「8分の1」


友人A :
「……なんか事情があるのか?」


友人B :
「その工務店の社長が、前の会社のお客様だった」


友人A :
「保険の?」


友人B :
「そう」


友人A :
「それだけ?」


友人B :
「いま営業所が2ヶ所しかないけど、3年後には10倍の20ヶ所に広げる
んだって。楽しそうだと思った」


友人A :
「楽しそう?」


友人B :
「その社長、俺と同じ32歳なんだ。すごく勢いがあって、一緒に仕事をし
ていると楽しそうだと思った」


友人A :
「でも、前の会社ではダントツだったんだろ」


友人B :
「前の保険会社は大きいし、安定しているけれど、業績がジリジリ落ちてる。
何かを変えたいと思っても、組織が大きすぎてスピード感が遅すぎる」


友人A :
「……で、でも、どう考えたって、前の会社のほうがラクにお金を稼げるだ
ろ。けっこう自由な時間に仕事をしてただろ」


友人B :
「そう。今度の工務店のほうが、労働時間は2倍ぐらいになる」


友人A :
「じゃあ、どうして?」


友人B :
「だから、楽しそうだと思ったからだって」


友人A :
「本当のことを教えてくれよ。なんか事情があるんだろ?」


友人B :
「ないよ」


友人A :
「ウソだろ? ラクに結果を出せたし、会社だって安定していたし」


友人B :
「"ラク"と"楽しい"は違うって」


友人A :
「"ラクと、楽しいは、違う"……」


友人B :
「楽しむためには、ラクしちゃダメ」


友人A :
「……」


友人B :
「それだけ」


友人A :
「過去、自分ができなかったことが、将来できるようになる。この成長の実
感がモチベーションに繋がるってことか」


友人B :
「難しいことはわからない。とにかく、ラクなことは楽しくない」


友人A :
「釣堀で魚を釣るより、自分で山に入り、自分の力でフィッシングスポット
を探り当てて大物を釣ったほうが楽しい。……そういうことか」


友人B :
「わからない」


友人A :
「そういうことだろ?」


友人B :
「俺は言葉にするのが下手なんだ。感覚だよ。どう感じるか、だ。理屈ばか
りで考えていたら、見失うこともあると思う」


友人A :
「どう、感じるか、か」


友人B :
「過去を振り返ってみて、ラクしてワクワクしたことが俺にはないだけ」


友人A :
「……ワクワクか」


友人B :
「……」


友人A :
「正直、俺は4月に新しい部署に異動してから全然、仕事が楽しいとは思え
ない。人間関係の問題かもしれない」


友人B :
「人間関係か」


友人A :
「新しい上司が、やって当たり前、みたいな態度をとってくるのがどうして
もイヤなんだよな。この前も、社内会議の資料を俺に作らせようとする。上
司の仕事だっていうのに」


友人B :
「……」


友人A :
「プロジェクトチームの副リーダーもさせられて、雑用ばかりだ」


友人B :
「雑用ばかり? でも、係長だろ」


友人A :
「そう。係長なのに雑用ばかりだ。だから楽しくないのかもしれない」


友人B :
「本当に雑用ばかりなのか。人事部の係長なのに?」


友人A :
「いや、もちろん、年がら年中、雑用ばかり、というわけじゃないけど」


友人B :
「本当に雑用ばっかりなのか?」


友人A :
「いや、だから、ばっかりじゃないって」


友人B :
「だったら、やればいいじゃないか」


友人A :
「え」


友人B :
「そんなことは当たり前だろう。俺は前の保険会社でダントツ1位だったけ
ど、事務作業も人一倍多かった」


友人A :
「……」


友人B :
「会社のルールだろう。上司が言うことを聞くのは当たり前だろう。生理的
に受け付けられないことを命令されてるのか?」


友人A :
「い、いや……」


友人B :
「あとさ、『雑用』って言葉を使わないほうがいいぞ。雑な仕事になる。
『資料作成』とか『打合せ』とか、ひとつひとつの作業の名称で言ったほう
がいい」


友人A :
「……そ、そうだな」


友人B :
「偶然かな」


友人A :
「何が?」


友人B :
「俺が転職したのを不思議に思うヤツらは、みんな共通していることがあ
る」


友人A :
「え、何?」


友人B :
「仕事を楽しんでいない人。楽しんで仕事をしていないヤツほど、今回の俺
の転職を不思議に思うようだ。偶然かな」



……仕事を「楽しむ」ためにはどうすればよいか? 「楽(ラク)をしなけれ
ばいい」

楽(ラク)に仕事をするためにはどうすればよいか? 「楽しまなければよ
い」

「楽しむ」と「楽(ラク)」は違う……とはよく言われることです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【49点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【編集後記】

昨今、「ため息」をつくときが、よくあります。すると、

『ため息ばかりついていると、幸せが逃げていくよ』

と指摘されます。そういうときは決まって、こう言い返したくなります。

『ため息ぐらいつかせてくれよ』

と――。

マイナスの感情があるわけでもないのに、自然と「ため息」が出るときがあり
ます。

奇妙な習慣です。しかし、今のところ治す予定はないのです。