● 今回のテクニック:【カウンター・エグザンプル(10)】
カウンター・エグザンプルとは、物事に対して、ある「一般化」の思い込みを
している人に対し、それが真実ではなく、単なる思い込みに過ぎないことを気
付かせるテクニックである。
「一般化」の表現をしている人は、「みんな」「すべて」「いつも」という表
現をよく使う。
本当に「みんな」そうなのか? 本当に「すべて」そうなのか? 本当に「い
つも」そうなのか?
具体的な過去の体験について語ってもらうことにより、その思い込みを気付か
せることができる。
あいまいな表現をする人には「具体的に?」「たとえば?」という質問を使っ
てみよう。
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● 今回のコミュニケーション例
部下 :
「部長、組織風土改革プロジェクトのリーダーを任されたのですが、どうす
ればいいんでしょうか」
マネジャー :
「リーダーとして任されたんだったら、まず自分で考えろよ」
部下 :
「友人が勤めている会社では、30の質問に答えるとわかる『性格診断』と
か、『適性診断』とかやってるらしいんです」
マネジャー :
「うまくいかないだろう」
部下 :
「えっ! どうしてわかったんですか?」
マネジャー :
「たとえば、君は今期の目標管理シートに記した定量目標、定性目標、3つ
ずつ覚えているか?」
部下 :
「えっ!」
マネジャー :
「もう一回聞くよ。今期の目標管理シートに書いた定量目標、定性目標、3
つずつ覚えているか」
部下 :
「目標管理シート、ですよね」
マネジャー :
「そうだ。4月初旬に決めたじゃないか」
部下 :
「あ、はい。もちろんわかっています。それぞれ3つあったと思います」
マネジャー :
「ちゃんと意識しているのか?」
部下 :
「え、ええ……。もちろんです」
マネジャー :
「じゃあ、それらを3つずつ言ってみたまえ」
部下 :
「今から、ですか? 目標管理シートを持ってきてもいいですか?」
マネジャー :
「どうして?」
部下 :
「えっ!」
マネジャー :
「いちいち『えっ!』と驚くなよ。意識しているんだったら、シートなんて
見なくても答えられるはずだ」
部下 :
「……そ、そうですね」
マネジャー :
「私は全部言える。何も見なくても」
部下 :
「ええっ!」
マネジャー :
「いちいち驚くなって。私は君の評価をしなくちゃならない。だから、評価
者として当然だろう。面談のときにだけ、その評価項目を確認していたんじ
ゃあ、正しく部下を評価できない」
部下 :
「た、確かに……」
マネジャー :
「ところで、君は目標管理シートに書いた内容を、シートを見ずに言えて、
常に意識している状態にしておいたほうがいいのか、それともどちらでもい
いのか。どっちが君にとっての『あるべき姿』だ」
部下 :
「も、もちろん、シートを見ずに言えて、常に意識している状態が、あるべ
き姿です。申し訳ありません」
マネジャー :
「それができていないのは、君の性格の問題か?」
部下 :
「えっ!」
マネジャー :
「それとも、君の適性の問題か? 別の職種に就いたら、シートに書いたこ
とを常に意識するようになるのか?」
部下 :
「い、いや……」
マネジャー :
「関係がないだろう」
部下 :
「……そ、そうですね。まったく関係がないと思います」
マネジャー :
「ところで、今期は全社的に5Sを徹底しようというスローガンがある」
部下 :
「ああ、はい」
マネジャー :
「意識しているか?」
部下 :
「もちろん、です……」
マネジャー :
「じゃあ、5Sを徹底するために、どんな行動をしているんだ?」
部下 :
「えっ!」
マネジャー :
「答える前に、いちいち驚くなよ。どんな行動をして5Sを徹底させようと
しているんだ、君は……」
部下 :
「いや、あの」
マネジャー :
「管理部の課長が、毎日、退社する前に机の上に置いてあるものを全部片付
けるように、と呼びかけていたのは覚えているか?」
部下 :
「あっ!」
マネジャー :
「覚えてるんだな……」
部下 :
「そ、そうですね。申し訳ありません。しかも、やってないですね」
マネジャー :
「それも、性格とか、適性の問題か?」
部下 :
「い、いえ……」
マネジャー :
「以前、リーダーシップ研修で、この業界の調査データと比較したところ、
君の意識レベルは非常に高いという診断結果となっている」
部下 :
「あ、はい……。確かにそうです。それで私が組織風土改革プロジェクトの
リーダーに抜擢されたんだと思います」
マネジャー :
「そうだよな」
部下 :
「しかし、あの調査もいい加減ですね。よく考えると、業界平均とか、他の
会社の管理者と意識レベルを比較したって、関係ないですものね」
マネジャー :
「私もそう思う。意識するかどうか、行動するかどうかは、性格も適性も関
係がない。他の会社と比較しても関係がない」
部下 :
「この前、『社員満足度調査』が行われていましたが、自分で目標管理シー
トに書いたことを意識しているかどうか、行動しているかどうかも自分でわ
かってもいないのに、満足しているかどうかと質問されても……という気が
します」
マネジャー :
「何をすべきことなのか、わかってもいないのに組織に不満を覚えるだなん
て、ちょっとおかしいよな」
部下 :
「本当にそう思います。今の部長のやり取りで、すごく反省させられました。
実は、この前の満足度調査で、会社に対する不満をいっぱい書いてしまった
んです」
マネジャー :
「ほう」
部下 :
「自分が恥ずかしいです。自分で決めた今期の目標を、シートを確認しない
と言えない状態であるのにもかかわらず。謙虚さに欠けていました」
マネジャー :
「謙虚さに欠ける人がいると、たとえば、どうなる?」
部下 :
「組織の空気が悪くなります。つまり、組織風土が悪化する、ということで
すね」
マネジャー :
「そうだな」
部下 :
「物事に先入観を持っている人が多くいます。妙な組織診断をすると、よけ
いに悪いレッテルを貼っていくことになると思います」
マネジャー :
「そうだ。よけいにフラストレーションをためていくことになる」
部下 :
「不平・不満のない会社にしていきたいです、部長」
……私、横山が「絶対達成」「予材管理」のオープンセミナーをするのは8月
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【15点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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先週、日本唯一のメルマガコンサルタントである平野友朗さんと「個人ブラン
ディング」の講座を開催しました。
(平野さんは『絶対達成』の言葉の生みの親でもありますし、このメルマガや
当社のホームページもプロデュースしています)
その平野さんの講座を聴いていて、ものすごく大きな気付きがありました。
以前にも聞いていたことですが、あらためて「これはマズイ!」と反省させら
れる言葉があったので、ここで紹介したいと思います。
「あまり『時間がなさそう』『忙しそう』というレッテルを貼られないほうが
いいですね。特にコンサルタントの方は気を付けたほうがいいです。お客様に
『忙しそうなので、仕事を頼んだら悪いかも』と思われると、仕事が来なくな
りますよ」
この言葉を聴いて、私だけでなく、多くの受講者も「これはマズイ!」と自覚
したはずです。
個人ブランディングに気を遣っている方は、ほとんどの場合「忙しい」方ばか
りですから。
だからといって、「暇です。時間はいっぱいあります。だから仕事をくださ
い」とも言えません。
ですから、人気のホテルやレストランのように、正しい空き情報を公開すれば
いいのかな、と私は思いました。
『8月のお盆明けまでは満席ですが、8月末から9月中旬にかけては、少し空
席もございます』
このような情報を、常に更新して配信すればよいのです。
そこで、このメルマガにて、現在のコンサルティングや企業研修の「対応可能
状況」について記述していこうと思いました。
しばらくは、どのような情報配信がいいのか試行錯誤を繰り返すと思います。
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