2015年7月6日

やたらと「本音」を聞きたがる残念な人たち【ピア・プレッシャー(】

● 今回のテクニック:【ピア・プレッシャー(12)】

ピア・プレッシャーとは、人間は通常、同じ組織内の仲間に認められたい、疎
外感を味わいたくないと考え、仲間のあいだで自分がどのように見られている
かを気にする傾向がある。

そのせいで、仲間や社会と同じ考えでなければならないという圧力(プレッシ
ャー)を常日頃から感じているものだ。

これをピア・プレッシャーと言う。

特に「和」を尊ぶ日本人に対しては、このピア・プレッシャーは強力と言えよ
う。


───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


マネジャー :
「君たちはどう思うかな、今度の件について」


営業A :
「何がですか?」


マネジャー :
「新人のXさんのことだ。あんなクレームを出しておきながら、あまり気にし
ていない素振りだろう? 最近の若い子はどうしてああいう風なんだろうか」


営業B :
「『ああいう風』とは、どういうことですか?」


マネジャー :
「え……」


営業B :
「いや、部長が『ああいう風』って言うもんですから」


マネジャー :
「……ええっと、君は確か30歳だったな」


営業B :
「今年で32歳になります」


マネジャー :
「私は51だ。まだ若い子の気持ちがわかるかもしれん。どうなんだ、ああい
う風な態度は?」


営業B :
「ですから、『ああいう風』ってどういうことなんでしょうか。私は別に違和
感ないですけど」


営業C :
「私も別にないですね。私は今年40歳になりますが、23歳のXさんの態度
に違和感は覚えないですが」


マネジャー :
「そうか?」


営業C :
「はい」


マネジャー :
「私はどうしてもXさんの『本音』が知りたいんだよ。どうも仕事に身が入っ
てない感じがする。どうだろう?」


営業A :
「ええ。確かに仕事に身が入ってませんね」


マネジャー :
「やっぱりそうか」


営業B :
「私もそう思います」


営業C :
「私も、Xさんにはやる気を感じられません」


マネジャー :
「だから私は言ってるんだよ。私が言っている『ああいう風』とは、そういう
ことだ」


営業C :
「……?」


営業A :
「それで、どうして私たちを集めたんですか、部長」


マネジャー :
「私はね、Xさんの本音を聞き出したいんだ。本音というか、本心というか。
どうも、この仕事にやりがいを覚えないんじゃないか、と思っててね」


営業A :
「4月に入社してまだ3ヶ月しか経ってませんよ。やりがいなんて感じます
か?」


営業B :
「確かに……」


営業C :
「私は入社して20年近く経ちますが、一度もやりがいを感じたことありませ
んよ、この仕事に」


マネジャー :
「おいおい。そうなの? その割にはすごく頑張ってるじゃないか」


営業C :
「やりがいがなくたって頑張りますよ。仕事ですから」


営業A :
「Cさんの言うとおりです」


営業B :
「部長はいつからやりがいを感じたんですか?」


マネジャー :
「えっ! 俺? ……うーーん……。やりがいかァ」


営業B :
「そういえば部長、今度取締役に推薦されるそうじゃないですか。常務に聞き
ましたよ」


マネジャー :
「ああ、その件か……」


営業A :
「態度を保留してるそうじゃないですか。本音はどうなんですか?」


マネジャー :
「え、本音……?」


営業A :
「取締役に推薦されるなんて名誉なことじゃないですか。でも躊躇されている。
部長の本心が知りたいです」


マネジャー :
「本心かァ……。うーん、そう言われると困るんだよな」


営業C :
「そんなものですよ部長」


マネジャー :
「え」


営業B :
「本音だとか本心だとか、やたらと探りを入れると相手を困らせるだけだと思
います」


マネジャー :
「ああ……」


営業B :
「Xさん、やる気はないです。でもどうしてやる気がないかなんて理由はない
と思うし、本音を聞き出そうとしても、本人もわからないと思います」


マネジャー :
「そんなもんか……」


営業A :
「そんなもんですよ部長」


マネジャー :
「何となく、か」


営業B :
「何となくやる気が出ないときがあるし、何となくやる気が出るときがある。
その都度、理由を探っていたら疲れます」


マネジャー :
「私も昔はこうじゃなかったんだが、最近はやたらと『理由』を聞きたくなる
んだ。悪い癖だな」


営業C :
「やることやれ、と課長がXさんに言ってますから、そのうち変わってくると
思います。まだ3ヶ月なんですから。妙なレッテルを貼るのはやめましょう」



……やたらと「本音」「本心」を聞きたがる人がいます。企業の経営者やマネ
ジャーの中にもいて、自分の中に解決策を見いだせないから、相手の中に求め
てしまうのでしょう。

存在しない「本音」や「本心」を後付けで掘り当てようとする人もいますが、
要注意です。相手との関係を悪化させる要因にもなりますから。


■ なぜ「本音」「本心」を聞きたがる人は要注意なのか? これだけの理由
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yokoyamanobuhiro/20150528-00046101/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【22点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【編集後記】

日経BP社で今年の10月から「セールス・マネジメント・アカデミー(SM
A)」という6ヵ月間の講座がスタートします。

1回「3時間」、6回で「9万円」という価格になる予定。

講師は私、横山です。

「絶対達成」「予材管理」というフレーズを使わずにプロモーションをかけま
す。

キーワードは「ICT」。

情報通信技術によって、どのように営業活動を効率化するのか、マネジメント
するのかを解説する講座となります。

全6回出席すると「修了証」も進呈されます。

近日中に本メルマガでも案内していこうと思います。ご興味のある方はチェッ
クしてくださいね。

(ちなみに私はこの『セールス・マネジメント・アカデミー』という講座名を
気に入っています。とても普遍的なネーミングだからです。調べてみても他に
存在しなかったため幸運でした。「セールス・リーダーシップ理論」「キャン
ペーン・マネジメント概論」といった、あえて横文字の多いテーマ名を選択し
たのは、ICTに強く興味を持つ企業や組織人を意識しているからです)