2015年9月2日

これ以上シンプルにできない「説得」のコツ【スリーパー効果】

● 今回のテクニック:【スリーパー効果(4)】

スリーパー効果とは、たとえ説得力のない人からの情報であったとしても、時
間の経過とともに「信頼性のマイナス度合い」が風化し、

本来の情報自体の信頼性による説得効果が働きはじめること。

まだ若く、そして経験が少なく、世間からまだ若輩者と呼ばれる人であろうと、
正しい情報を伝え続ければ、いずれ報われる、とも言える。

───────────────────────────────────


● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「本部長、9月になりました。また私の話を聞いていただいてよいですか」


マネジャー :
「――!」


部下 :
「こちらの地図を見てください。私が赤丸をつけた部分、ここが予材ポテン
シャルのあるお客様です」


マネジャー :
「……」


部下 :
「そしてこの青丸をつけた部分、こちらが現在、取引きをしているお客様で
す」


マネジャー :
「……」


部下 :
「そして、この青丸の上に星印がついているのが……」


マネジャー :
「取引き額の拡大余地がないお客様だ、というんだろう?」


部下 :
「はい、そうです」


マネジャー :
「……」


部下 :
「予材ポテンシャルの企業の拡大余地と、市場の伸張性を加味したとしても
……」


マネジャー :
「君の目標は達成しない、そう言いたいわけだ」


部下 :
「その通りです。私が話そうとしていること、もうわかってらっしゃるんで
すね」


マネジャー :
「当たり前だ。3ヶ月に1度は同じことを言ってくるじゃないか。もう2年
だよ、2年。さすがに君の言い分はわかった」


部下 :
「そうですか。わかってくれましたか」


マネジャー :
「わかったよ……。最初は聞く耳を持ってなかったが、本当に君はしつこい。
確かに、このエリアで営業をしている以上、君の目標は高いだろう」


部下 :
「はい。目標が高い、ということではなく、論理的におかしいのです」


マネジャー :
「君は入社何年目だ?」


部下 :
「3年です」


マネジャー :
「課長にも部長にも言ってるんだろう?」


部下 :
「はい。直属の上司である課長、そして隣の課の課長、そしてもちろん営業
部の部長にも言っています。ところが、みんな『本部長に言ってくれ』とし
か言いません」


マネジャー :
「……」


部下 :
「ですから本部長、何度も言いますが、私の目標は妥当ではないと思いま
す」


マネジャー :
「……ううーん」


部下 :
「今回も、『そう言われても困る』でしょうか?」


マネジャー :
「いやァ……」


部下 :
「……」


マネジャー :
「たいしたもんだな、と思って。26歳か?」


部下 :
「23です」


マネジャー :
「え、23?」


部下 :
「はい。専門学校卒なので、20歳で入社しました」


マネジャー :
「そうか、23歳か」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「見上げたもんだよ。2人の部長も、7人いる課長も、誰も私にそんなこと
言わないのに、君は2年もへこたれず、この私に言い続けるなんて」


部下 :
「最初は『新人のお前に何がわかる!』と、どやされました」


マネジャー :
「そりゃあそうだろう……。私は先代社長の時代から仕えてきた重鎮だよ?
40歳以上も年下のひよっこに意見を言われるだなんて」


部下 :
「去年はずっと、私の意見なんて、まったく聞いてもらえませんでした」


マネジャー :
「ホント、そうだったな」


部下 :
「去年の3月に地図を持っていったら、その場で投げ返されました」


マネジャー :
「そんなことしたっけ?」


部下 :
「しましたよ」


マネジャー :
「君の言い分はわかった」


部下 :
「そうですか、それじゃあ……」


マネジャー :
「だからといって、君の目標予算は変えない」


部下 :
「ええっ! どうして、ですか」


マネジャー :
「どうしてって……。君は入社してから3年連続で達成してるじゃないか」


部下 :
「達成はしていますが、妥当ではありませんよ」


マネジャー :
「どうして、いつも君の理屈はそうなんだ」


部下 :
「じゃあ、会社の出勤時間が朝の5時だったらどうしますか? 5時に来い
と言われれば、5時に来ることはできます。ですが、そんな朝早くから仕事
をする必要性がないのであれば、8時とか8時半ぐらいにしてもらいたいで
す。5時に来ることができるから5時が妥当だ、という話にはなりません
よ」


マネジャー :
「ううーん……不思議だ」


部下 :
「何が不思議なんですか」


マネジャー :
「私はね、これでも一応、10年前までは『鬼上司』と言われて部下から恐
れられた存在なんだ。君は私に向かって、よくそういうことを平気な顔で言
えるなァ」


部下 :
「言えます、簡単です」


マネジャー :
「お客様のところにも、それぐらいの図太さで訪問し続けてるんだろう」


部下 :
「はい。図太いかどうかはわかりませんが、こんな調子です」


マネジャー :
「君が言うとおり、理論上は目標予算が高すぎるのだと思う。けれでも君の
図太さが奏功しているのか、妥当でない目標を達成させている」


部下 :
「はい。ですから、妥当な目標に下げてください」


マネジャー :
「くどいなァ、どうしてだよ。目標を達成してるからいいじゃないか」


部下 :
「100%達成なんて当たり前です。私は120%とか150%とか達成さ
せたいのです」


マネジャー :
「そ、そういうことか。そのほうがやる気がアップするというのなら、目標
を下げよう」


部下 :
「ありがとうございます。ようやく言うことを聞いてくださいましたね」


マネジャー :
「君のしつこさには、まいったよ」



……若手だから、経験が浅いからといって自分を過小評価していたら、その
「思考」は必ず伝わります。

やはり「回数」ですね。まったく同じ内容でも、回数を繰り返すことで相手を
説得できるようなっていくものです。

ちなみに2014年2月からスタートし、1年半続けている日経ビジネスオン
ラインのコラム【絶対達成2分間バトル】は、最近アクセス数が安定して増え
てきています。

長く続けていると、やはり実績がついてきますね。今週火曜日の以下のコラム
は凄く読まれました。ご参考まで。「いいね!」も1000近くついています。


■どうして「否定から入る人」は騙されやすいのか?
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/258310/082700012/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【24点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【編集後記】

30歳の誕生日に自分で買った時計が、16年後の今年の5月、ついに止まり
ました。そしてしばらくそのまま放置していました。

修理しようか、買い替えようか、時計を持たずにいようか、いろいろ悩みまし
たが、

結局は修理することに。

研磨代も含めて「47500円」。

高いっ!

高いです。

昨日、修理された時計が戻ってきました。これまで16年間、そんなに強い愛
着があったわけではなく、何となくつけてきた時計ですが、

こんなに高いお金を支払って修理したわけですから、なんだか愛着が湧いてき
ます。これからも長く使いたい、という気持ちになりました。

さらに10年以上は使いたいですね。