2015年9月7日

行動分析学「パフォーマンス・マネジメント」を学ぼう!【カリギュラ効果】

● 今回のテクニック:【カリギュラ効果(11)】

カリギュラ効果とは、禁止されるとますますその行為をやってみたくなる心理
作用のこと。

「それを見てはいけません」「絶対にその箱を開いてはいけません」「男性は
出入り禁止」「15歳未満の方は鑑賞できません」

「禁令」が出るほど、その世界に足を踏み入れたくなるもの。その心理状態の
ことを「カリギュラ効果」と呼ぶ。

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● 今回のコミュニケーション例


部下 :
「Aさん、本当に言うことを聞いてもらえません。残業は月に20時間以内
と言っているのに、8月も40時間以上、残業をしているのです」


マネジャー :
「しょうがないな……」


部下 :
「Aさんは26歳の女性。20代の女性だからでしょうか。残業が苦になら
ないのだと思います」


マネジャー :
「残業が苦にならないから、残業をする、という行動分析はあり得ない。い
い加減なことを言うのはやめたまえ」


部下 :
「だって!」


マネジャー :
「君が怒るのはわかる。しかし人が行動を引き起こすには、特有のきっかけ
があるものだ。それを調べないと解決策など導き出すことはできん」


部下 :
「行動を引き起こすきっかけ?」


マネジャー :
「Aさんの残業が多いのは、前職での習慣が抜けきらないからだ。だいたい
いつも夜中の12時ぐらいまでは仕事をしていたようだ。これはもう調べて
ある」


部下 :
「つまり……」


マネジャー :
「夕方6時ぐらいになるとスイッチが入るタイプなんだ、Aさんは」


部下 :
「それじゃあ、Bさんはどうなんですか? Bさんも全然言うことを聞きま
せん。とにかく期限を守らない。時間を守らない」


マネジャー :
「あちゃあ……」


部下 :
「Bさんは東京生まれ、親が医者で、有名私立大学卒の32歳。やはり金持
ちのボンボンは期限を守らないんでしょうか」


マネジャー :
「だから、そういう先入観を持つのはやめたまえ。何の根拠もないだろう」


部下 :
「Bさんは生え抜きだから、前職の習慣などありません。入社して10年の
ベテランですよ? 先入観を持つなと言われてもムリですよ」


マネジャー :
「Bさんとは面談したことがある。以前の部署の問題かもしれないが、完全
にリテラシーが低い。つまり意欲が足りないとか性格の問題とかではなく、
リテラシーだ」


部下 :
「リテラシー?」


マネジャー :
「物事を適切に理解し、応用を効かす力だ。理由はわからないが、初期教育
が足りない」


部下 :
「初期教育……」


マネジャー :
「人間はみんな同じではない。Bさんの同期と比較したってナンセンスだ。
リテラシーが足りないんだから、たとえ32歳であっても初期教育をやり直
せばいい」


部下 :
「初期教育って……?」


マネジャー :
「社会人としての基本的な考え方、価値観とか、そういうものだ。根本的な
土台ができていないのであれば、しょうがないだろう」


部下 :
「しょうがないだろうって、私に言われても」


マネジャー :
「Cさんは?」


部下 :
「Cさんは最悪です」


マネジャー :
「おいおい……」


部下 :
「Cさんは、まったく言うことを聞きません。まったく、です」


マネジャー :
「Cさんは体育会系だったな。短距離走の選手で、世界じゅうの大会に出て
いたはずだ」


部下 :
「はい。そのせいなのか、何事も長続きしません」


マネジャー :
「メチャクチャな先入観だな!」


部下 :
「短距離選手ではなく、元マラソンランナーを雇ってくださいよ」


マネジャー :
「短距離選手とはいえ、継続的にトレーニングをしないと、それだけのパフ
ォーマンスを出すことはできない。継続力はあるはずだ」


部下 :
「だって!」


マネジャー :
「だって、だって、と言うな」


部下 :
「私が言うこと、本当に長続きしないんです。何もです。すべてです。まっ
たくダメなんです」


マネジャー :
「いい加減にしろ。そういう風に先入観を持つことを私は許さない。必ずC
さんの行動も変えることができる」


部下 :
「どうすればいいんですか?」


マネジャー :
「私に答えを求めるな」


部下 :
「え――」


マネジャー :
「そうだろう? 私が常に答えを言っていたら、何かあるたびに私に質問し
に来なくてはならなくなる」


部下 :
「そりゃあ、そうです、ね」


マネジャー :
「答えではなく、方法論を覚えろ。行動分析学だ」


部下 :
「行動分析?」


マネジャー :
「そう。どんな行動にも、必ず何らかの先行条件が存在する。いくつもある、
その存在をまずは知るべきだ」


部下 :
「それは、どんなものですか?」


マネジャー :
「どんなもの?」


部下 :
「はい」


マネジャー :
「どんなものって?」


部下 :
「ですからァ、その行動分析学とか、ソレですよ。いくつもある先行条件と
いうのは何ですか?」


マネジャー :
「君はどこの出身だ?」


部下 :
「私は名古屋です」


マネジャー :
「そう。名古屋出身のくせに阪神タイガースファンだ」


部下 :
「……それが、何か?」


マネジャー :
「名古屋出身の阪神タイガースファンは、この行動分析学を学んでも意味が
ないと思ってる」


部下 :
「はああああ?」


マネジャー :
「名古屋で生まれ、名古屋で育ったんだから、ドラゴンズを応援すべきだ」


部下 :
「そっちこそ、わけのわからん先入観はやめてください」


マネジャー :
「ということで、後は頑張ってくれ」


部下 :
「ちょっと! はぐらさないでくださいよ」


マネジャー :
「……」


部下 :
「マジで教えてくださいよ! ホントに」



……人の行動を、先行要因(A)、行動(B)、結果(C)と分類したABC
分析をはじめ、どうすれば人の行動を変えることができるのか。

人の行動する/しないによって、もたらされる問題解決の技法を紹介している
のが行動分析学です。NLPなどの「心理学」的な側面とは少し異なる立場に
あります。

著書なら、「行動分析学マネジメント」も良いですが、やはりビジネス系では
「パフォーマンス・マネジメント」をお勧めします。これは名著です。


■「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」
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 【32点】……本日のメルマガ本文に対する横山の「お気に入り度」
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【編集後記】

最近、キッチリと「言い切る」「断言する」という態度は重要だなと思うよう
になってきました。

言葉を濁したほうがよいときもありますが、ハッキリと言ったほうが人のため
になるときもあります。

特に、私のように公の場で情報配信する機会が多い人は、たとえ敵を作ろうと
も、そういった姿勢のほうが良いとときが多いと思えるようになってきました。

そういう意味で書かせてもらうと、やはり基本的に本を読まない人は信頼でき
ない。経営者で言うと、従業員に教育投資をしない人も信頼できない。

目先のことだけでなく、将来のために、自分に投資する。組織に投資する。

「何の意味があるのか?」「すぐに結果が出るのか?」と問い掛ける人は、そ
れが癖になっていて、投資のキホンがわかっていないのだと思います。

ノーリスクの投資などありませんが、読書や教育といった投資ほど期待リター
ンが高くなる投資がないのは常識です。

私はメルマガを書いたり、コラムを執筆したり、動画でテクニックを披露した
りしていますが、そこで紹介しているノウハウやテクニックは単なるパーツに
過ぎません。

今春の「絶対達成LIVE」で話しました。

知識というのは「はじめから終わりまで」持つことが重要です。ネットの社会
となり、自分の知りたいパーツ・部分だけ掻い摘んで手に入れたとしても、そ
の知識を生かすための土台がなければ意味がありません。

足りない栄養素をサプリだけで補うのではなく、キチンと野菜を食べなければ
なりません。果物や大豆、穀物を食べなければ健全にはなれないと私は思って
います。

ということで、私は"基本的"に、本を読まない人は信頼できないし、経営者
であれば、従業員に教育投資をしない人も信頼できません。